年別アーカイブ: 2007年

メタフィジクスのデフォルト

言葉は経験を同定するために
少なくとも二人の人間によって発明されてきた。

シナジェティクスの自己教育は思考のライブだ。
自己教育とは自分で自分を教える過程に横たわる
理解のための操作主義でもある。

モデリング言語を発見するためには
少なくとも複数の人間が、
異なった経験と素材でモデルを形成しなければならない。

これまでのシナジェティクス講座で形成された言語と概念は
『コズモグラフィー』と『シナジェティクス』からの
引用だけではないことは明らかである。

同じ理解は学べないし、同じ理解を求めることはできない。
もっとも重要な学習と教育の共通した理解のデフォルトは
非同時的にしか形成されないのである。

メタフィジクスのほとんどは
非同時的な宇宙に属している。

最初のテンセグリティ

最初のテンセグリティ構造を発見したのは
バックミンスター・フラーではない。
まして最初にテンセグリティをデザインしたのはスネルソンではない。

自転車のホイールはそれ自体でテンセグリティ構造である。

テンセグリティの概念化の歴史で重要なことは、
最初に誰が自転車のホイールの中に
人類が居住できる空間をデザインできると考えたかである。
つまり、最初のテンセグリティ構造は、
1927年の4Dダイマクション・ハウスである。

自転車のホイールを構成するワイヤーからなるハブシステムから
海洋テクノロジーに見られるマスト構造を
より軽量に変換できることを発見した結果、4Dハウスが生まれた。

そして、バックミンスター・フラーより前に
このホイールを誰もテンセグリティとは呼ばなかった。
さらにこのテンセグリティ構造が
球状テンセグリティに変換できることまでを一般化するためには
さらに1944年の金属ダイマクション・ハウスの完成から数年間を要した。
最長の懐胎期間22年が経過している。

この歴史的事実を確信をもって理解するには
知識だけでは不可能である。
少なくともテンセグリティをゴム紐で構成して
クリスマスプレゼントにしている場合ではないだろう。

人力居住機械

炭素繊維を使った複合材の構造とマイラーの皮膜から構成された史上初の
翼長二十九メートルの人力飛行機は二十キログラムの重量しかなかった。
それは1979年の記録だ。

地球温暖化に適応したシェルターを金属でデザインしようが
再生的なプラスティックでデザインしようが、
分解・移動できない固体的住居は時代遅れである。

半永久的に個人が居住できるモバイル用シェルターが、
人間の平均体重よりも軽くできる構造は
原理的にテンセグリティ・ジオデシック構造しか存在しない。

人力飛行機の設計のように、
この人力居住機械はハンドメイドで十分だ。
なぜなら、必要な道具と素材はすべて生産されているからだ。

720度

すべての多面体は平面から 720度を奪った状態であり、
さらに球は多面体に720度を贈与した関係である。

自己の周囲は360度のパノラマではない。
周囲の角度の総和は720度である。
有限と無限の差異は、この720度にある。

私はこの角度をテトラマと呼んでいる。

エデンドーム

森にいて夜の星々は見えない。
しかし、森のそばから
夜空を眺めて眠りにつくことはできる。

砂漠の民の想像力を喚起させるシェルターはデザイン可能だ。
そのシェルターは透明でなければならない。

そして、
このエデンドームはテンセグリティ・ドームでなければならない。

3本の矢

一本の棒は簡単に折ることが出来る。
次に3本を束にして折るとかなり折れにくい。
一人一人で物事を行うよりも、協力して行う方が、大きな効果を得ることができる。
とい教訓は実験によって確認できる。

しかし、1本の棒を3分割した場合、
その1本ですらすでに折れにくくなっている。
この原理が建築に応用されることは稀である。
まして21世紀の常識とはなっていない。

長さ方向に3分割した圧縮材は折れにくい現象は、
3本の矢は折れないという発見を
断面積の増大で説明した毛利元就の経験主義からは推論できないことである。

さらに、
こうした圧縮材の歴史は、張力材の機能をほとんど説明しない。

プラグマティスト

「バックミンスター・フラーはプラグマティストである」
これは多くのフラー論や解説書に見られる決定的な誤謬の一つである。

基本的概念をよりプリミティブにその意味を他の概念との関係によって
それまでの定義に依存しないように明確にするために集中する行為、
つまり、それらの概念を自らの行為にむけることによって、
これまでになく鋭利に基本的概念を洞察できるシナジェティクスを発見した。

この思考方法で対象となる基本的概念を視覚的に再生する行為が
シナジェティクス・モデリングであり、
新しい意識の状態に到達する現象学的方法である。

これは 20世紀のもっとも優れた直観である。
なぜなら、それまでのメタフィジクスの真理はどんな方法でも
「暗黙の堰堤」と問題を起こしていたのだから。

ディテールデザイン

モントリオールドームは妥協の産物かもしれない。
決定的なことは、分解できないデザインとして大地にインストールされたことだ。

もし移設できるデザインをアメリカ情報局が採用していたら、
NASAのバイオスフィア計画よりも 20年早く人工気象の実験がはじまり
イギリスのエデンドームよりも30年早く、透明な皮膜が集合住宅に採用されていただろう。

バックミンスター・フラーのデザインした構造物の初期の図面と比較すれば、
彼が妥協しなかったときはないと考えられる。

しかし、ディテールが財源的に蒸発しても
彼の基本デザインなくして達成できなかった手法だけが残った。

彼の基本デザインのすべては数学的原理に関与している。
(モントリオールドームを覆った可燃性のアクリル板は非構造的なディテールデザインに属する。)

数学原理の懐胎期間は建築家のどんなディテールデザインよりも長い。
実際、モントリオール後のフラー以外の建築家や企業によるジオデシックドームは模倣の産物だ。

分割について(frequency vs tessellate)

シナジェティクスは、
ある図形が重複することなく
平面を埋め尽くす場合の<tessellate>という基本概念を
使用してこなかった。
なぜなら平面は存在しないからである。

シナジェティクスは、
5回対称性のあるペンローズタイリングでさえ、3次元的に解決してきた。

これらはシナジェティクス・モジュールと分割数(frequency)で証明される。