月別アーカイブ: 2007年6月

氷モデル

正四面体だけでは、空間は隙間なく埋められない。
水分子が周囲の4つの水分子と水素結合して、正四面体型の配置をとる、
氷の結晶構造の場合、いかに隙間だらけであるかは想像できる。

氷が融けて水になるとこの構造パターンが壊れ、
この空隙部分に水分子が入りこんでくるので、密度が1割ほど増える。
しかし、物理学ではこれ以上の構造モデルは提示できていない。
この隙間を空気と考えるべきではないだろう。
気泡が氷の浮力を生んでいることは別問題だ。

シナジェティクスではこの具体的なモデルをデザインできる。
正四面体型の配置では氷の結晶の説明は不可能だ。
隙間は正4面体ではない。
新たな空間充填システムは、重要な宇宙論だ。
任意の整数比で空間充填できる4面体モジュールの発見
(つまり整数比で空隙を残すという構造システム)は、
氷が水に浮かぶことのできる唯一の説明となる。

数学的、科学的な絶対的証明

日本版『コズモグラフィー』(監修 シナジェティクス研究所、白揚社)の
出版は、編集作業と精緻な図版制作のため再度延期されることになった。
9月の初旬に決定。

原書の理解のための追加図版の翻訳とそれに伴う編集などで
未完成の遺稿となった『コズモグラフィー』はやっと、
バックミンスター・フラーの意図した本来の<シナリオ宇宙>が見えてた。
その結果、『クリティカル・パス』と同じテキスト量となり、
『クリティカル・パス』と同様の歳月を費やしたことになる。
彼の独自な思考言語の翻訳言語の形成には、『クリティカル・パス』の思考言語形成から
さらにほぼ10年の懐胎期間を経なければならなかった。

『コズモグラフィー』は、最晩年のバックミンスター・フラー自ら書き下ろした
シナジェティクス原論であり、最初のシナジェティクス入門書である。
<シナリオ宇宙>は、数学的、科学的な絶対的証明のみで構成されている。

最初のハッカー

未来を予測する最善の方法は、
原理を発見し、その応用を発明することだ。
大企業が独占する前に
その効果的なプロトタイプだけを最初に生産する。
そして、次が重要だ。
それ以上はしないことだ。

洞察力のある個人が包括的なプライムデザインに挑戦する。
その結果、従来のシステムは自然に陳腐化できる。
では、それまでのコストは誰が支払うのか。
その計画が漸進的変化に対して純粋で論理的あれば、
社会が支払う。
ただし、官僚が審査する助成金や補助金ではない。

これが、私が知る
バックミンスター・フラーの20世紀の
最初のハッカー的手法である。
彼はこの計画的偶然をプリセッションと定義している。

プリセッションは、人為的な多勢に無勢式社会の対極にある宇宙の原理だ。
大学という専門分化した教育機関ではプリセッションは
拒否されてきたが、シナジェティクスに興味を抱く個人は確実に増えている。
デザインサイエンスとの関連が、これから経験されていく懐胎期に入ったのだ。

『コズモグラフィー』(9月刊行)と思考言語

「教育を装った権力システムは、本質的な包括的思考能力を
初歩的で一時的な主題へと故意に分断する。」 1983 RBF

知らないことは知ることの不可欠な要素である。
そこに試行錯誤が生まれるが、
われわれは、めったにこの能力を使わない習慣を
学んでしまう。

モデルは、純粋原理の具現化だけではなく
自己教育のための思考言語装置でもある。

日本版『コズモグラフィー』(監修 シナジェティクス研究所)には50種を越える
これらの思考言語が紹介されている。

最初の量産用プロトタイプ

鳥や魚、そして昆虫たちは、トイレットを必要としない。
すでに一般化されたシステムを無意識に利用する
宇宙船の優れたユーザたちだ。

バックミンスター・フラーの最初の量産プロトタイプは
1938年のトイレットと浴室の合体した
ダイマクション・バスルームの金属製品であった。

画家の最初の絵が将来を潜在的に決定するならば、
彼は明らかに建築家志向ではなかった。
その浴室には、マニボールドが部品として設計されたが、
水洗トイレットではなかったので、外部へは無管であった。
この自律的なエネルギーの循環をデザインした
彼は明らかにプロダクトデザイナー志向ではなかった。
住宅が自律的でなければ、地下資源に依存しなければならないと考えたのは
1927年である。

エネルギーの設計までを許容する職業は、いまでも
発電所やプラント、そしてエンジンの設計者のように
かなり限られている
そして彼らはデザイナーという意識をもっていないだろう。

建築家やプロダクトデザイナーが提案するエコロジーデザインが、
自律的エネルギーの設計に関与しない限り、
住宅のエネルギーは効果的に利用できないだろう。
せいぜい太陽光パネルや壁面の断熱効果を主張する程度だ。

建築家が新築の家に指定する電子化された最新式の高価なトイレは、
常に有管である。それによって、最新式のエコハウスは、
無管ではなくなる。
そして、有用なエネルギーを再循環できるシステムを
デザインできるプロダクトデザイナーは
建築家やユーザの望む美しいトイレットという住宅部品を
自らのデザインによって陳腐化しているだけである。

無管トイレットは、特殊ではない。
大気圏外の宇宙では、外部に依存しない
無管システムでなければ、船内では生存できない。
排泄物は太陽光のように貴重なエネルギーの集合体だ。
無管は一般化されたシステムを意味している。

水洗トイレットへの批判が、全世界的にエコロジー化の対象から外されているのは、
非論理的である。