月別アーカイブ: 2008年3月

シナジェティクス入門講座 最終講義

理解が試行錯誤によって到達するならば、
手は思考する器械になり得る。

しかし、新たな概念を生むプライムデザインは、
個別の理解からも手からも到達できない。
古い概念を破壊できるのは、モデル言語の包括的な習得からだけだ。

モデル言語を習得するシナジェティクス入門講座は
予定どおりこの3月末で終了する。

私のシナジェティクス講座を半年受講した学生たちは
以前よりも本を読まなくなるだろう。
あるいはモデリングの経験を読書に求めないだろう。

個々人が包括的な世界像を引き寄せるテクノロジーと段階を経験することで、
シナジェティクスの評論家はあと150年間は失業するはずだ。

概念の牢獄

かつて修道士たちは、三角法を発達させ、対数によって解を求めるために、
正弦(sin)、余弦(cos)、正接(tan)、余接(cot)を示す一度単位の表を数百年をかけて製作した。
1930年から1936年までの大恐慌の間に、イギリスとドイツの数学者が共同プロジェクトに雇われ、
一分単位の弧と対応する正確な関数表を計算した。
その後、第二次世界大戦後には計算機が出現し、大学の建物は何千もの真空管で埋め尽くした。

現在は数万円のCADが安価なCPUで10桁の数字を瞬時に計算し、
円弧と弦の長さを自動計算するだけではなく、複雑なオブジェクトを3次元に表示できる。
しかし、3DのマニュアルはXYZの直行座標を25世紀間も存続する世界観に圧倒的に支配されている。
道具の真の機能は、概念の牢獄化によって深く閉ざされたままだ。

シナジェティクスを学ぶ講座生がこの道具を最初に購入した時の最初の課題は、
この道具の新しい使い方だ。

この1年間でシナジェティクス講座で出会った第1期生と2期生は、
いかなる専門家よりも直行座標を利用しなかった最初の人類だ。

シナジーとは

シナジーのシナリオは、資本主義システムにおける土地所有とその利益に関する価値付けに関して、
カール・マルクスの時代から思い描かれてきたいかなる経済学よりも革命的である。

道具(tool)について

人間が作る法律、法的な合意、そして国家のあらゆる命令は、道具(tool)ではない。
人間が作る法律と慣習は、テクノロジーではない。
それらは物理的な武力(つまり、政治権力)によって維持されたきた
〈権利〉によって制定された策略にすぎない。
企業は道具ではない。
権力の法的な計略によって慣習的に容認された装置にすぎない。

個人によって実践可能な方法論を開発し、諸物質を結合させて
これまでに存在し得なかった道具とその機能を具現化する
デザインサイエンスは道具に関する
史上初の包括的な科学である。