テンセグリティにおける再分割化の無限性

張力材は、断面の直径と長さの相対的な比において、長さが無制限である。
これはテンセグリティ以前の前提条件である。
テンセグリティ構造の分割数を数倍に増加させていくと、
構造全体の長さの増加に対する相対的な重量が急速に減少しはじめる。

テンセグリティの場合、分割数が大きければ大きいほど、
張力材が構造物全体に占める割合が大きくなる。

さらに、各張力材自体の分割数を増加させると、
つまり、各張力材は複数の繊維に分割された後の張力材を構成する繊維は、
単位重量・単位断面積あたりの強度が飛躍的に増加しているのである。

合金におけるシナジー作用と、テンセグリティにおけるこのシナジー的作用は、
前世紀では同じ原理として理解されなかった。
この証明は『コズモグラフィー』(バックミンスター・フラー著、梶川泰司訳 白揚社 2007)
によってはじめてなされた。

張力材と圧縮材から構成されるテンセグリティ構造は、
合金を構成する非視覚的な金属原子とは違って、
視覚的存在でありながら互いに非鏡像的な構成要素だったからである。