月別アーカイブ: 2009年2月

2つの宇宙

地球人にとって、
宇宙は、大気圏外と大気圏内に区分できる。

雨や雪は、重力によって地球の中心に向かって落下し、
やがて海に集められる。
次に表面から放射状に水蒸気となって移動する。
バイオスフィアのすべての水は、
これらの相互変換の過程に、つねに保存されている。

意図的に、大気圏内の天然ガス、石油・石炭ガス、そして
それらを使用して生産されるメタノールなどから
燃料電池用の水素を取り出そうとしているのは、非効率的であるばかりか
これらの地下資源エネルギーの変換過程で発生する二酸化炭素の発生量を
論理的に削減する方法ではない。

石油や天然ガスなどの偏在する大気圏内の天然資源に比べれば、
ありふれた水から大気圏外から注がれる太陽エネルギーを使って水素を取り出せるので、
独占されにくい。
それゆえに、燃料電池は主に大気圏外で利用されてきたのである。
地球での生存に必要な一般化されたテクノロジーは、
大気圏内宇宙では独占されたままだ。

しかし、「宇宙は、環境を含むすべて (RBF) 」であり
宇宙は先験的で包括的なテクノロジーである。
大気圏内宇宙の独占は、じきに宇宙から陳腐化されるだろう。

環境とデザインサイエンス

「生活は継続的に環境を変化させ、変化させられた環境が今度は、
生活の可能性、現実性、課題を変化させる。
環境は、人間にとって外在的で発明によってのみ実現される代謝再生的有機体の、
非同時発生的でありながら、全面的に統合されている変化の複合体を包含している。RBF」
『クリティカル・パス』第4章 バックミンスター・フラー著 梶川泰司訳
白揚社 2007

バックミンスター・フラーはこの代謝再生的有機体を、産業化の過程と関連づけている。
この産業化の過程を、「一面的な利益のために生産力を利用する
金儲けのためのビジネスと見なして矮小化させない。」(同上)
のはデザインサイエンスに限ったことではない。

金融資本主義と協調したコングロマリット(複合企業体)と
軍産複合体が主導した産業化の様々な設備投資は、
国家や株主ではない大多数の地球人が支払ってきたのだから。

デザインサイエンスの包括的な視点は、『クリティカル・パス』と
『シナジェティクス』から学ぶことができる。

参照
『コズモグラフィー シナジェティクス原論』(白揚社  2007)は、
フラー自身の遺作となったシナジェティクスの解説書である。

動く住宅(シェルター)

人間は大地を移動するために足を使う。
だから、人間は根ではなく
足が生えて生まれてくる。

人間は様々な足を発明した。
船には、大地の代わりに海がある。
飛行機には、空がある。
(しかし、大地や海や空を発明したわけではない。)

ところが、
自動車はタイヤがスムースに回転できる道路がなければ、
また、住宅は基礎を打ち立てる大地がなければ、
いまのところ機能しない。

歴史的に住宅は最も生産されてきたが、
大量生産の方法を回避し続けたので
金融資本主義によって不動産として証券化され、
船や飛行機のような大陸間を移動する機能(経済用語では流動性)を得た。

これ以上奪われないためには
住宅自体に、大気圏内を移動し停泊するための
足や浮遊装置が必要である。
(惑星探査船には軟着陸用の足がある。)

物理的に空間を移動するためには、
イデオロギーではなく、
テクノロジーが必要である。

* 参照
動く住宅の未来は、テンセグリティの実用化にかかっている。
2008年、シナジェティクス研究所が独自に開発した
モバイル用テンセグリティ・シェルターに関する +81の編集部によるインタビューが公開された。
http://www.plus81.com/plus/tnf/02/talk2_1.html

プライム・デザイン

シェルター(住居)とは、
物理的な大きさ、経済性、耐久性、安全性に関する
人間の唯一最大の要求にちがいない。
にもかかわらず、科学的な配慮は後回しにされてきた。

構造を科学的に解決したならば、
都市は、これほど非経済的で醜い建物で
覆われていなかっただろう。

蒸気機関から燃料電池までの
あるいは、
ライト兄弟の複葉機からジャンボジェット機までの
1世紀間に蓄積された包括的な解決法を住居に転用すれば、
人間の唯一最大の要求に応えることができるだろう。

住居の軽量化と電子化は、
不況にあえぐ自動車産業と航空機産業が担うだろう。

移動する量産型自律的シェルターは、プライム・デザインの対象である。
さもなくば、
建築家が個別にデザインする高額な土地付き住居は、
つねにサブ・プライムの対象になるだろう。

テンセグリティの振動数(frequency)

30本の圧縮材からなるテンセグリティ球の各張力材に
ターンバックルを使用し、そのターンバックルを回転させて
すべての張力材に徐々に張力を増加させていく場合、
弦楽器の弦のように張力材を弾く毎に、
弦が発する音はより高音になっていく。

そして、ついにわれわれの聴覚では聞き取れないほどの音域に達する。
この段階を体験すれば、だれでもテンセグリティ球が
柔軟さのない剛体(rigidness)を形成していると感じるだろう。

言い換えれば、剛性のある構造は、
冗長度(redundancy)からではなく、
聴覚的に変換できないほどの超高振動数(frequency)によって形成される。

基底状態にある原子の発する光が、
特定の振動数のみに限られるのは、同じ理由からである。

そして住宅は、この剛性を木材やコンクリートや鉄に求めてきたが
それはつまり、振動を打ち消すことを
補強材という冗長度に求めてきたからである。

自然は構造に補強材を使用しない。
自然は構造に振動数を利用する。