日別アーカイブ: 2009年5月28日

デザインサイエンスとは何か

バックミンスター・フラーのデザインサイエンスは、
最近、細分化されたさまさまな領域のデサインを
統合する科学的デザインだと思われている。

そこには、デザインは人間のみが造り出すだすもので、
そのデザインは科学的な方法論でもっとも効果的に試行できるという前提がある。

しかし、科学的な方法論以上に曖昧な前提はない。

たとえば、ナノチューブ・ラジオという最小のラジオをデザインする過程で、
ラジオのすべての部品を統合してより小型化しようとしたのではなく、
ナノチューブには、ラジオが必要とする機能が
まったく別の形式ですでにデザインされていたのである。

ナノチューブ・ラジオの原理を発見する以上のデザイン行為は存在しない。
人間はデザインを人工物で洗練できるかもしれないが、
自然以上に統合することは不可能である。

これは特殊なシナリオではない。
科学全体がプリセッションの歴史だ。
曖昧な概念が、人間を散漫で不確かなものにする。

バックミンスター・フラーの<予測的>デザインサイエンスは、
プリセッションを受け入れた最初のメタフィジクスの方法論である。

参照 「ナノチューブ一本でラジオ!」
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0906/200906_044.html