日別アーカイブ: 2009年5月30日

デザインサイエンスにとって、「既製品を使う」とは何か。

ーーーーシナジーの階層構造化ーーーーー

あらゆるカタログで販売されている部品が、
それらが作られた最初の目的から逸脱して、
新たな機能へと再統合される確率は、加速度的に増加している。

シュルリアリズムは、
「手術台におけるミシンとコウモリ傘との出会い」を美学理論としたが、
デザインサイエンスでは、既製品をこれまでに存在しなかった関係の発見
(技術者はしばしば用途開発という概念で説明する)によって、
諸関係の階層構造を可能な限り統合する目的論(テレオロジー)へと変容する。

新たなリアリティの生成過程に登場する「手術台とミシンとコウモリ傘」が
すべて既製品であるように、量産可能な工業製品のプロトタイプにこそ、
可能な限り既製品から構成する可能性は、
バックミンスター・フラーが1933年にダイマクシオン・カー(註)を
デザインしたとき、空力学的なボディー以外のすべての部品が
既製品として調達可能だった経験から始まった。

それから76年が経過した現在、
既製品の種類と機能は比較にならないほど増大し、
ついに自動車は家電やPCと同じ部品、
そしてソフトウェアをより共通化するようになったのである。
(住宅が高価であるかぎり、住居の共通部品化は、
もっとも遅延させられていることになるだろう。)

少なくとも、シナジェティクス研究所が
2008年に公開したテンセグリティ・シェルターのプロトタイプは、
化学的抽象物(ケミカル・アブストラクト)のシナジー、
つまりシナジーの階層構造が物質化したものである。

わずか5種類の既製品から構成されているデザインは、
超軽量化と開発コストの問題を解決する方法論を確立した結果である。

しかし、この目的論には美学理論のパラメータ化では、
とうてい到達できない計画的偶然性(プリセッション)が介在する。
あらゆるプリセッションは、論理的に生成できないが、
生成され結果は論理的に単純化されている。


1927年に発明したダイマクションカーは
ロケット・ジェットタイプの支柱構造をもち、
全方向性に対する操舵性もよく、2基のガソリンエンジンによって駆動し,
高い操縦性も兼ね備えた翼のない輸送手段の開発
(翼があるバージョンも同時にデザインされている)