柔軟な強度へ

テンセグリティ構造とは、思考の構造さえも否定する
前例のない構造の純粋な物質化なのである。
同時に、柔軟な強度と剛性を備えた構造の一般化でもある。

純度のもっとも高い (99.9999 %) 鉄は
表面が銀色に輝き、異種金属に接触しても
電気的に腐食しなくなるだけではなく
柔らかいが割れにくく容易に切断できなくなるように
圧縮材が不連続な純粋なテンセグリティ構造では
一部の張力材が破断しても共鳴作用に補償作用が形成されると考えられる。
実際、外力分散機能はほとんど劣化しない。

これまでの圧縮材のみから構成された構造や張力材が非連続な構造は
すべて特殊で部分的だったのである。
むしろ、それらを不完全な構造とさえ呼ぶべきではないだろう。

フラーレンはダイヤモンドの表面を損傷させるほどの<柔軟な強度>を備えていた。

自然が<固体的な強度>よりもより強度のある<柔軟な強度>を選択する場合
すべてテンセグリティ構造なのである。

備考
<柔軟な強度>については
『宇宙エコロジー』(バックミンスター・フラー+梶川泰司 著 美術出版社 2004)
の直径11mのフォーダブル・テンセグリティ構造(1995 by シナジェティクス研究所開発)を参照