クリティカル・パス」カテゴリーアーカイブ

動的なベクトル平衡体と最短距離(再考)

地球から火星に宇宙船が移動する軌道が3次元曲線になるように
静的なベクトル平衡体(Jitterbug)の外接球面上の頂点から
収縮・拡大する動的なベクトル平衡体の外接球面上の
頂点へと連続する軌道も螺旋状の3次元曲線として考察できる。

それらはつねに最短距離である。
しかし、イデオロギーに関わらず政治経済システムが扱う最短距離は
つねに直線として考察されてきた。

客観的に、 そして直接的に

内部と外部を共有する一つの形態が観察者の位置で凹凸で反転する
テンセグリティシェルターを覆う厚み100ミクロンの被膜が
内部と外部の境界膜を形成すると同時に
圧縮材に対して筋膜的張力の役割を担う。

振動して外力分散する構造によって
強度と剛性の飛躍的加速度を体感できる
テンセグリティシェルターの内部に日々生存するにしたがって、
シェルター内部に共生する植物の光合成による物質と非物質との相互作用から生まれる
シントロピー現象に客観的に、そして直接的に参加することができる。

科学の対象領域を拡張する認識方法としての
テンセグリティシェルターは、エネルギーと食料の生産装置でもある。

こうした自己と宇宙との関わりにおいて、
結果的に、これまで都市に大多数の人間を繋ぎ止めてきた
すべてのインフラを陳腐化することができる。

政治的イデオロギーだけで
巨大化した課金装置であるインフラは無価値にはできない。

バイオドーム

現在の下水システムに関するすべての基本的なデザインは、
紀元前2,500年頃にインドで発明される。それ以来、本質的に改良したものはいない。
ーーーーー『クリティカル・パス』バックミンスター・フラー著、梶川泰司訳 白揚社

この下水システムは、映画『オデッセイ』でも変わらなかった。
下水システムは、宇宙船が移動する間、
個別の真空パックに一時的に保管されただけだ。

バイオテンセグリティドームでは、これらの矛盾は一掃される。

光合成モバイルシェルター

地球から1.5億キロ彼方で輝く太陽光を使う
光合成を手放した人類の課題を
科学的に解決する方法はクリティカル・パスにある。

自由な心と
自律的モバイルシェルターによって
再びバイオスフィアの生きた現実と出会えるのである。


『クリティカル・パス―宇宙船地球号のデザインサイエンス革命』
バックミンスター・フラー著 梶川泰司 訳 2007年 白揚社

無線、無管、無柱、無軌道について

皮膜のない宇宙服では大気圏外では生存できない。

皮膜や外殻がないかぎり
すべての生命は宇宙では生存できないにもかかわらず
テンセグリティやジオデシックドームよる
大気圏内の宇宙開発は確実に遅延してきた。

バイオスフィアという
最大のインドア(=大気圏)が素晴らしくデザインされているがゆえに
アウトドアのドームテント以上に
モバイル用のインドアはデザインされてこなかったのだろうか。

初期モデルのバックミンスター・フラーのダイマクションハウスから
第2次デザインサイエンス革命による
テンセグリティシェルターのプロトタイプ完成まで60年以上を経過している。

デザインサイエンスが供給する
テンセグリティシェルターでの
モバイル用インドア生活は
すべての都市インフラを完全に不要とするデザインがなければ
真のモバイル性の自由度から形成される精神の自律性は
実現できないという前提は
この半世紀間変わらなかった。

無線、無管、無柱、無軌道を実現する
デザインサイエンス革命による4つの無は
無為自然というテクノロジーへの進化過程に置かれている。

最初に、この無為自然を実現するのは
火星計画ではないだろう。

愛好者たちのディレッタンティズム

シナジェティクスを
自己のテクノロジーではなく
個性を鍛える手段にする以上に
自己を楽しませる(dilettare)手段はないだろう。

それゆえに、
シナジェティクスの愛好者たちはこの半世紀間も
デザインサイエンスを生まなかった。

銀河新年2016 絶望的な連帯の始まり 

貧困化は救済の形態と方法から作り出される。

あらゆる生産的な富の固定化と分配方法の独占こそが
富の緩慢な死である。

1000万人の移動する難民救済のための
食料、エネルギー、水、シェルターの供給が
国連ではなく、貧民の絶望的な連帯から生まれるならば
包括的な宇宙のテクノロジーを利用する以外の道はないだろう。

球状大地と富とをつなぐ本質的な媒介者は
もはや人間ではなく、バンアレン帯を通過する
無数の宇宙線のエネルギーになるだろう。

そのエネルギーを変換するテクノロジーは
すでに発見されているからだ。

そのテクノロジーを効果的に利用するには
最新の宇宙論を理解しなければならないだろう。

太陽系に存続する惑星地球は、つねにエネルギーを受容する器である。

思考言語(thinktionary)の翻訳

バックミンスター・フラーの『クリティカル・パス』は
哲学(メタフィジックス)や経済学の専門分野の知識から
(英語版の出版から17年間に日本の出版社が
複数回にわたって版権取得したにもかかわらず)
日本語で編集し翻訳できなかっただけではなく
数学や物理学の専門分野の知識からR.B.フラーの『シナジェティク』を翻訳すると
不適切で、しばしば空疎な誤訳になるのは
フラーの独自の造語や先行した独創的な理知からではなく
これまでの翻訳者自身の思考言語やその構築方法を
全否定しないからだ。

さらに、バックミンスター・フラーの日本語翻訳に関する超訳が
ほとんど成功しないのは
シナジェティクスやデザインサイエンスに対する理解度とそれに関連する語学力や
シナジェティクス・モデリングに関する包括的な経験不足だけではなく
フラーの独自の思考方法を生成する<思考言語(thinktionary)>を
日本語に変換できなかったからである。

シナジェティクスのモデル言語なくして
<思考言語(thinktionary)>は構築不可能である。

言い換えるならば、思考言語(thinktionary)の
シンタックスとセマンティックの相互変換は
日本語だけの問題ではなかったのである。

生活器と武器

1967年当時の第3次中東戦争で使用されイスラエル群の戦車は
広大な砂漠地帯の高速移動の要請から剛性と強度のある純粋な鉄の使用とともに軽量化された。
1972年の第4次中東戦争ではエジプト軍の戦車はさらに軽量化され高速移動できる戦車で対抗した。

それでも、その戦車の1台あたりの重量は
1967年のモントリオール博のアメリカ館で使用された
バックミンスター・フラーのジオデシックドーム
(=最初のバイオスフィアとしてのエデンドーム)の全重量の2倍以上もあった。

<浮かぶ都市>のための前駆体のジオデシックドームの浮力計算をしていた事実は
現代の建築家にもほとんど知られていない。

直径85メートルのモントリオールドームは大気圏内に<宇宙線地球号>として係留されていたのである。

兵器を生活器にする変換テクノロジーは、冷戦開始と共にもっとも進化した。

その後、それ以上に進化したのは権力テクノロジーである。
そしてもっとも後退したのは自己のテクノロジーである。

われわれの創造的能力は、未だに文系と理系に分断されたままである。
この分断こそ、冷戦時代をくぐり抜けた19世紀的な教育論の生き残りである。

備考;
武器(weaponry)に対して生活器(livingry)と対比的に翻訳したのは
『クリティカル・パス』(バックミンスター・フラー著 梶川泰司訳 白揚社 1998)が最初である。

クリティカル・パスの解決方法  

その1

クリティカル・パスの問題解決方法は、

1.いつまでに何を成し遂げたいか

2.いつまでにどのように成し遂げたいか

という2つの要素から成り立っている。

つまり、方法と経験の秩序化の過程(あるいは工程)の全履歴を

行動によってのみ客観的にかつ動的に形成(あるいは記述)することが目的化されている。

その2

プリセッション

クリティカル・パスの過程において、

本来の目的外の異なった問題とその解決方法の発見に遭遇できた場合は、

上記の2つの要素が選択されるまでの履歴だけではなく

クリティカル・パスを必要とした動機にまで遡れるだろう。

その3

上記の方法は、発見的クリティカル・パス方法であり、

従来の帰納法的(induction)とも演繹的方法(deduction)とも異なっている。

決定的な違いはクロノファイルの有無にある。

梶川泰司