クリティカル・パスのアーカイブ
クリティカル・パス的思考
デザインサイエンスは過去に為された種々の実験と独自の実験から
導かれた次の科学的思考に基づいて
もっとも包括的な具体的な方法と人工物をデザインしてきた。
1.
人類の高い生活水準が、日々の太陽エネルギーからの多様な派生物で
完全に維持できることは明らかである。
2.
この生活水準を達成・維持できる手段が、
パイプと送電線そして料金メータを介した少数の人間による大多数の搾取から
人間を解放する人工物であることは明らかである。
クリティカル・パスはアンチ・アブノックスである。
(パイプと送電線そして料金メータは20世紀以後の最大のアブノックスである。)
結果的に、
上記の科学的思考はつねに最新のクリティカル・パス方を更新することができる。
- 2011年6月1日 11:44 AM
- クリティカル・パス | デザインサイエンス(バックミンスター・フラー)
予測的デザインーーーーー既製品を使う
第2次世界大戦が開始される2年前、
バックミンスター・フラーがイギリスの産業都市に対する大量爆撃の予測に余念のない
スコットランドの政治指導者からの依頼で提案したのは
大量生産できるワンルームの小さな自律的な居住装置だった。
それは開発済みだったのである。
カンザス・シティーにあるバトラー・マニュファクチュアリング社で大量生産している
亜鉛メッキされた鋼鉄でできた直径六メートルの穀物貯蔵庫を、
耐火性と耐震性があり、適度に断熱され、灯油で稼働する冷蔵庫および石油ストーブ、
そして既製品の家具類を備えた即時入居可能な
自律的ユニット(当時1500ドル)に転換する方法で、
その自律的な居住装置はデザインされていた。
数千基のダイマクション展開ユニットを
確実に都市から退去させられる住民の宿泊施設として
スコットランドの荒野に設置するフラーの計画案に
その依頼者は疑問を抱かなかった。
バックミンスター・フラーは、
可能な限り「既製品を使う」デザイン理論を
ダイマクションカーの開発時から一般化していたのである。
この20世紀のデザインサイエンスの手法こそ、
21世紀の緊急災害時だけではなく
平時においても広く利用可能である。
シナジェティクス研究所 梶川泰司
- 2011年5月21日 9:11 PM
- クリティカル・パス | デザインサイエンス(バックミンスター・フラー)
新クリティカル・パス法
クリティカル・パスの利点は失敗しないことであるが、
それでも失敗したなら、見事な失敗になるだろう。
例えばダイマクションハウス。
このプロトタイプが量産に失敗したのは
投資家の期待する
「ほとんど何のリスクも負わない資本主義」にある。
それから70年が経過した。
もちろん、クリティカル・パスはすでに
バージョンアップしている。
ジオデシック理論やテンセグリティ理論を採用したとしても
生存に関与しないアブノックスなシェルターを量産するための
ノウハウからなにも革命的な構造は生まれなかった。
デザインサイエンスのためのクリティカル・パス法は
生まれ変わったのである。
産業技術の革命に最適化したばかりか、
ジオデシック理論やテンセグリティ理論自体が
生まれ変わったからである。
シナジェティクスによるプライムデザインは
ついにあたらな開発方法を選択できる環境を形成したのである。
グランチについて
バックミンスター・フラーは死の数ヶ月前に次の言葉を残している。
「北アメリカ大陸のアメリカ領内にある産業界のあらゆる工場とアメリカの領土、
そして物理的な富の生産能力があって実際に生産するあらゆる企業の九十パーセントは、
スイス銀行にある口座の見えない暗証番号を保有する人間によって目の届かないところから支配され、
冷酷に機能する超国家企業という、
人間には見えない所有物にすでになってしまったかまたはなろうとしている。」
ほとんど何のリスクも負わない資本主義という新たな巨人が、
現在の世界を支配しはじめていることを
バックミンスター・フラーは30年前に予想していた。
その彼が個人に期待し、何をして欲しかったかは、
『クリティカル・パス』(バックミンスター・フラー著 梶川泰司訳 白揚社 2007)
の第6章のワールドゲーム理論およびデザインサイエンス戦略に凝縮されている。
- 2010年12月31日 12:51 PM
- クリティカル・パス | デザインサイエンス(バックミンスター・フラー)
短命化(エフェメラリゼーション)
〈不可視〉のテクノロジーの発展における発明家の役割は、
機能的性能の一定の増加量を達成するために投入される素材の一単位体積
または重量、単位エネルギーあたり、
そして、単位の労働時間および生産システムの維持管理に要する時間あたりで
遂行される仕事において
絶えずその量と質を高めていく。
この複雑な過程をバックミンスター・フラーは漸進的な短命化(エフェメラリゼーション)と呼んでいた。
現在の人類が短命化(エフェメラリゼーション)に
総人口の1%も関わっていないのは
その教育プログラムが意図的に不足させられているからだ。
発明がお金もうけの手段として発明家さえも搾取できたのは、
国家や企業が設備投資と引き替えに特許制度の出願人から
発明家の知的財産権を譲渡する場合
短命化による膨大な収穫を非公開のままで
独占できたからである。
発明は無限に存在する。
宇宙の原理は無限に存在することは科学的に否定できなかった。
————————————–
参考文献:
この歴史的で包括的なエフェメラリゼーションについては
『クリティカル・パス』(バックミンスター・フラー著、梶川泰司訳 白揚社 2007)
に真実が述べられている。
- 2010年8月26日 8:07 AM
- クリティカル・パス
キンドル考ーーーー非物質化と課金システム
キンドル(kindle)とは、ウサギが子どもを生むことである。
(この場合、ウサギは基本的に食用である。)
一方、キンドル(Kindle)はamazonが展開している
ebookのプラットフォームの商標である。
この言葉は偶然の一致ではない。
歴史的に家畜は動く富であった。
牛は、ウサギの数百倍の体重をもっている。
タンパク質を豊富に蓄え、それほど短命でないこの大型の草食性動物は、
生命を維持するための実際的な富が可能な限り凝縮されているので
移動可能な換金手段になり得る。
銀行家が金銀銅の硬貨を貸し付けるときの担保にされた。
銀行家からお金を借りて貿易船に乗った冒険家は、航海が成功裡に終わると、
借金の返済と同時に、
担保とされた牛が航海中に生んだ子牛を〈利子〉として銀行家に支払った。
この支払い方法は、「カインド(Kind=現物)」による支払いと呼ばれた。
キンドル(Kindle)というハードウェアに、
読者は電子書籍という「現物」をダウンロードして知識を増す毎の見返りとして、
言い換えれば、「現物」のウサギが子どもを生むたびに
子ウサギという利子を支払うのである。
同時にアマゾンは作家から親ウサギという著作物の預かり料も徴収できる。
外見は著者の著作権料を支払う代行の課金システムに装っているが、
読者からも作家からも課金できる概念の構築に成功したのである。
彼らは21世紀の新しい銀行家に移行している。
Kindはかつて子牛を意味したが、 21世紀型銀行では、
ウサギのような小さな利子で十分なのである。
季節毎に草原を放牧させる牛の出生率とは違って、
餌を食べない重さのないウサギは無限に生めるから。
- 2010年4月25日 4:50 PM
- クリティカル・パス
不都合なエコロジーたちーーーiPadという小さなTrimtab
パソコンにもリダンダンシーがある。
IT革命に付随する無数のリダンダンシーを排除するには
2つのテクノロジーがいる。
他者とのコミュニケーションを介した仕事の道具(Trimtab)によって
環境により適応するためのテクノロジーと
PCから過剰なCPUと機能を排除する決断力だ。
どちらも産業的なテクノロジーよりも
自己のテクノロジーに関係するだろう。
iPadは、同時的かつ非同時的な宇宙の出来事の受容器になるだろう。
新聞や雑誌という紙媒体がなくなるのは
もっとも効果的なエコロジーであるが、
メディアには不都合なエコロジーだった。
- 2010年1月29日 10:58 AM
- クリティカル・パス | デザインサイエンス(バックミンスター・フラー)
エコ移動式住居
大地震が来るたびにモービルホームの生産は開始されるが、
大恐慌が来る前に、生産を開始する必要性に関して
バックミンスター・フラー以上の予測はこの30年間存在しなかった。
移動式住宅の生産にこそは、
地産地消が不可能なメタボリック・デザインが効果的である。
移動可能な住居こそが、エコ住宅である。
「・・・・人工物デザイン計画の優先順位で
世界的電力ネットワーク統合の次にくるのは、
当面は地理的に固定されている世界中の人間の活動のための、
物理的環境を制御する装置である。
人間の活動は、自動車、バス、鉄道、航空機、衛星といった
迅速に移動する環境制御人工物とは対照的に、固定されているのである。
都市の超高層ビルは静止して見えるので、
それらの部品がすべて遠隔地から輸送されてきており、
また、そういった部品と素材の多くは製造とその組み立ての過程で
何度も相互に輸送を繰り返している事実に気づいている人はあまりいない。
1980年の時点で、アメリカの平均的家庭は3年ごとに住んでいた町を出て、
新しい場所へ転居した。彼らがそうするのは主として、
移動した工場やオフィス、そして新しい空港やショッピングセンターが
もたらす地域生活の利便性に合わせて、
人間の生産機能を再調整するためである。
私が移動式住居について語るとき、それはショッピングトレーラーや
テントを指しているのではなく、
長期にわたって地理的に固定しておくこともできるが、
どんな距離でも広い範囲を容易に、
そして経済的に輸送でき再設置可能な住
居のことを指している。」
『クリティカル・パス』第10章から引用
バックミンスター・フラー著 梶川泰司訳 白揚社2004
- 2009年8月15日 9:20 PM
- クリティカル・パス | デザインサイエンス(バックミンスター・フラー)
『クリティカル・パス』再考 経済危機に直面して
この秋に経済危機の実態が具体化する前に
『クリティカル・パス―宇宙船地球号のデザインサイエンス革命 」
(バックミンスター・フラー著 梶川泰司訳、白揚社 2007)
から今回の危機をどう捉えるかに関連した、
30年前のバックミンスター・フラーの思考を敷衍して再び予測してみたい。
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私の著書『宇宙船「地球号」操縦マニュアル』
(EP ダットン、1963年)を読めば、富という現実を
私がどう位置づけているかが理解してもらえるだろう。
富は、(物質や放射という)フィジカルなエネルギーが、
メタフィジカルな目的認識と技術認識(ノウハウ)に結びついてできる。
科学者たちは、宇宙のどんなフィジカルなエネルギーも失われることはないことを
明らかにした。
つまり、宇宙全体として見れば、富を物理的に
構成しているものは減らないのである。
われわれは、目的意識(ノウワット)と技術的知識(ノウハウ)
というメタフィジカルな富を使うごとに、
さらに多くを学ぶことを経験から知っている。
経験は増す一方である。
ゆえに、富を構成するメタフィジカルな部分は増加する一方であり、
したがって統合された富全体もやはり増加の一途をたどることになる。
包括的に情報を与えられるワールドゲームの観点からすると、
お金を使って金儲けをするお金というのは本来、
富の交換手段でしかない方法を学んだ人たちは、
お金から本当の富と同じ不変の働きを完全に切断してしまったことになる。
金に金を生ませる連中と彼らのための経済学者たちは、
この地球は人間の生活を支えていくには根本的に不十分であるという
政治宗教界全体の仮説を、彼らのマネーゲームに利用しているのである。
こうしてお金で利益をあげるのは間違っている。
なぜなら、
(A)新しい合金の単位あたり(1ポンドあたり)の強度はたえず増加し続けており、
(B)飛行機のエンジンの単位あたり(1立方インチ及び1ポンドあたり)
の馬力はたえず上昇し、さらに
(C)新しい化学やエレクトロニクスの1立方インチ及び1ポンドあたりの
機能がたえず上昇し続けているので、われわれにはすでに全般にわたって
かつて誰も経験したことも夢に見たこともなかったような高い生活水準を
つくりだし維持していく能力があり、
しかも10年以内に完全にその能力が実現されるからである。
これは意見でも希望でもなく、技術的に証明可能な事実である。
すでに証明されているテクノロジーと、すでに採掘され精錬され
再循環している物質的な資源だけで実現することができるのである。
それは、すべての人間とそれにつづくすべての世代にとって、
本質的に持続可能な物質的成功をもたらすだろう。
10年以内に達成できるというだけでなく、すべての化石燃料や原子力エネルギー
の使用の段階的かつ恒久的廃止をもたらす。
われわれの技術的戦略からすれば、太陽の放射と重力が日々もたらす
エネルギー収入だけで、すべての人が贅沢に暮らせることに議論の余地はない。
放射として毎分地球に到達する宇宙エネルギーの富の物理的な量は、
すべての人類が1年間に使うエネルギーの総量よりもはるかに多いのである。
ワールドゲームは、真の富で計算すると40億人
(訳注1980年現在の世界人口で)の億万長者が地球上に存在することを
極めて明確に示している。
こうした事実は、勝手にでっちあげた諸権利で操作されているマネーゲームと、
その独占的な信用システムの会計学によって覆い隠され、
一般の人々には知られていない。
富とは、汎宇宙的に作用して天体から放射されてくる一定の自然エネルギーの収入だけを、次のように使う人間の組織化された能力と技術的知識(ノウハウ)にほかならない。
すなわち、かくも多くの人間がこれから迎える長い日々の生活に、
(1)保護、(2)快適さ、(3)滋養をもたらし、
(4)人間にまだ利用されていない知的・審美的能力の蓄えを
さらに発展させる環境を整備し(5)一方ではたえず束縛を取り除き、
(6)また一方では情報を増やしてくれる経験の幅と深さを増大させる
ことによって予想したとおりに対処していく能力とノウハウ、
それこそが富なのである。
全人類の成功は、技術的要求にかなった地球規模の包括的デザイン革命
によってのみ成し遂げられる。
この革命は、そのエネルギー利用効率を誘因として人類が
自発的に人工物を選定すること、社会的経済的に望ましくないものの見方、
習慣、慣例などを惜しみなく放棄し、永遠にそれらを陳腐化させるような人工物を
開発することでなければならない。
『クリティカル・パス』 第6章 ワールドゲーム から引用
- 2009年7月28日 8:42 AM
- クリティカル・パス | シナジェティクス講座
シナジェティクス・モデルによる対称性の破れ
『クリティカル・パス 宇宙船地球号のデザインサイエンス革命』新装版
(バックミンスター・フラー著、梶川泰司訳 白揚社、2007)には、
バックミンスター・フラーの短いが難解なシナジェティクスから引用した序文がある。
「従来のクリティカル・パスの概念は、直線的であり、
それ自体十分な情報を与えてくれない。
球状に拡大収縮し、軸回転し、極方向に伸開線的—縮閉線的な軌道システムからの
フィードバックだけが包括的にかつ鋭敏に情報を与えてくれる。
球状軌道的なクリティカル・フィードバック回路は、脈動して周期的な吸収放出を繰り返す。
クリティカル・パスの原理的要素は、
平面上で互いに重なり合う直線的な構成要素を単位としない。
それらは、汎-相関的に再生しつづけるフィードバック回路が、
システマティックに互いに螺旋を形成しあっている複合体なのである。」
(『シナジェティクス第二巻[改訂版]』から)
この球状軌道的なクリティカル・フィードバック回路に関する、
動力学的なシナジェティクス・モデルは存在する。
その実在するモデルから、フラーはつねにモデル言語によって記述していることがわかる。
そして、私はこのモデル言語を敷衍する他のシナジェティクス・モデル群を発見したことで、
偶然にもアメリカで『クリティカル・パス』が出版された直後から、
2年間にわたって新たなシナジェティクス原理の発見プロセスを
バックミンスター・フラーと共有することになったのである。
そしてこのフィードバック回路には予想外の原理が潜んでいた。
その研究論文は、『コズモグラフィー シナジェティクス原論』
(バックミンスター・フラー著、梶川泰司訳 白揚社、2007)
の補遺に記載されたシナジェティクス・モデルによる<対称性の破れ>の発見に
発展したのである。
物理学では到達できなかった対称性の破れのモデル言語は、
ついに視覚化されたのである。
- 2009年4月16日 12:06 PM
- クリティカル・パス | シナジェティクス講座
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