テンセグリティ・シェルター」カテゴリーアーカイブ

展開型テンセグリティ構造 1995

静止状態の固体現象は発見されなかった。
出来事は物から記述できない。
機能は物からデザインできない。
私が発見したシナジェティクスモデルはすべて動く。
テンセグリティ構造でさえ展開型にデザインできる。
1995年直径11mのモバイルテンセグリティシェルターが制作された。

1995年バックミンスターフラー100年祭(ニューヨーク)で展示された
展開型テンセグリティ構造モデル(直径200㎝) 
構造デザイン 梶川泰司 
制作 シナジェティクス研究所


『宇宙エコロジー』バックミンスターフラー+梶川泰司 著 美術出版社 2004 p352

風と球面張力波

電磁気学的な波は全方法的に拡散する。
結晶構造と準結晶構造は全方向的に成長する。
球面張力波は全方向的に干渉する。
それらはつねに非同時的である。

共鳴テンセグリティ構造は、
非同時的な外力を固有振動数に同期させる。
さざ波のように絶えず押し寄せる球面張力波を
固有振動数に変換し
嵐で可視化される共振作用は半径の極めてスローな増減になる。

風による球面張力波のエネルギーが
3Way-Grid構造を共振回路に変容させる時、
テンセグリティシェルターは
風と共鳴することで自らをより非物質化しようとする。

SYNERGETICS RBF
Fig. 765.02 Stabilization of Three-Way-Grid Tensegrity Sphere;

平均律テンセグリティ

平均律は1オクターヴなどの音程を均等な周波数比で分割した音律である。
バッハの「平均律クラヴィーア」は、鍵盤楽器がどのような曲でも演奏できるように
「良く調整された(well-tempered)」音階から構成されている。

吊り下げられたあるいは机上の静止したテンセグリティの張力材は、
均等な周波数を保てない。
軽量構造といえども、重力の影響を受容し、
その自重による形状の変形から逃れるために
張力材は「良く調整された(well-tempered)」音階から構成されている。

共鳴テンセグリティは、
共鳴するためのより調整された張力をつねに求めている。

安全装置(fail safe)

動物には、匂いで危険を察知する能力がある。
人間の体にも、不慮の事故や故障に備えて、ある種の安安全装置(fail safe)が内在している。
生命には、生存するためのあらゆる種類の代替的な回路が与えられている。

都市化されたインフラに過剰に矯正され続けた野生の安全装置でさえ、
大災害時にこそ、瞬時に機能するはずだ。

3.11の朝、薪ストーブの煙が急に排出しなくなり、室内になんども煙が
充満した始めた時、私は大気圧の急激な変化の可能性に気づいていた。
煙は圧力の高い場所から低い場所へ移動する。

私はいまもその現象を、シェルターに備えるべき
<自然の空調システム>に変換しようとしている。

構造自体に内在するもっとも優れた安全装置(fail safe)は
テンセグリティシェルターである。

再考)住宅の空間機能について

住宅の空間機能は人間の意識を
矯正する空間になるばかりか
精神病を発現させる可能性が高い。

仮設住宅でその隠れた機能は
短期間に、そして
最大限に現実化する。

本来の空間機能は
物事の在り方に気づき、同時に自己との関わりを向上させる。

自分の住み家を、自分で作り出し
自分で管理し、修理できない哺乳類は
人類だけである。
住み家制作を専門分化し、その所有のみに従事したのは
怠惰に矯正された結果である。

これまでの住宅の空間機能に
エネルギーと食糧、そして水の包括的な再生装置が
まだ組み込まれていないのは、
意識的な進化を自負する哺乳類としては、もっとも不完全で
不健全である。

システムの優位性とは何か

モバイル・テンセグリティの現実的な居住空間に関して、
都市での労働や健康という概念、コストと耐久性との対比、
国家が定義する耐震性、
そして食料とエネルギーを貨幣で買う経済システムの優位性を放棄しなければならない。

銀河系での惑星地球システムの希有な優位性と
バイオシェルター内部での
植物の光合成によるエネルギー経済が忘れられているかぎり。

客観的に、 そして直接的に

内部と外部を共有する一つの形態が観察者の位置で凹凸で反転する
テンセグリティシェルターを覆う厚み100ミクロンの被膜が
内部と外部の境界膜を形成すると同時に
圧縮材に対して筋膜的張力の役割を担う。

振動して外力分散する構造によって
強度と剛性の飛躍的加速度を体感できる
テンセグリティシェルターの内部に日々生存するにしたがって、
シェルター内部に共生する植物の光合成による物質と非物質との相互作用から生まれる
シントロピー現象に客観的に、そして直接的に参加することができる。

科学の対象領域を拡張する認識方法としての
テンセグリティシェルターは、エネルギーと食料の生産装置でもある。

こうした自己と宇宙との関わりにおいて、
結果的に、これまで都市に大多数の人間を繋ぎ止めてきた
すべてのインフラを陳腐化することができる。

政治的イデオロギーだけで
巨大化した課金装置であるインフラは無価値にはできない。

シナジェティクスによる構造デザイン

シナジェティクスによる構造デザインとは、  

1.
「原理には重さがない」という科学的概念を
フィジカルなデザインとのインターフェイスにする。

2.
飛躍的な構造安定性と強度・剛性をもたらす
質量のないパターンの発見を構造デザインの目標とする。

3.
それらによって、超軽量で経済的なシェルターのデザインと
その製造方法を確立する。

バイオドーム

現在の下水システムに関するすべての基本的なデザインは、
紀元前2,500年頃にインドで発明される。それ以来、本質的に改良したものはいない。
ーーーーー『クリティカル・パス』バックミンスター・フラー著、梶川泰司訳 白揚社

この下水システムは、映画『オデッセイ』でも変わらなかった。
下水システムは、宇宙船が移動する間、
個別の真空パックに一時的に保管されただけだ。

バイオテンセグリティドームでは、これらの矛盾は一掃される。

自動気象シェルター(climate autonomous shelter)

構造において、圧縮力の限界を超え、
さらに構造の大きさの限界を超越することが
許されているような構造は
テンセグリティ以外に存在しない。

テンセグリティ構造は、形態デザインの自由と共に始まるのではなく、
圧縮力の境界と、超えるべからざる自重(=重力)とともに
始まるのだということを知っている。

食料・エネルギー・水の生産と再生のすべてを行うことが許されているような
環境制御(自動気象シェルター=climate autonomous shelter)は
テンセグリティと共に物質化される。