都市の建築構造物は
バイオスフィの内陸部や極地に
適応できなかった。
それは、地球人口は70億人となったが
バイオスフィアの海岸線から隔たった
内陸部の都市人口が過密にならなかった理由の一つだろう。
過酷な地理的条件下でも
(たとえば、ブリザードの吹き荒れる南極のような極地にでさえ)
テンセグリティは自律的構造を再現できる。
航空機のような
張力による高度な鋭敏性を備えたテンセグリティこそが
望みの場所に短期間に
モバイル可能な空間を設営できるのである。
より少ない素材からもっとも安全な空間を
繰り返しアセンブルできるのは
全天候タイプのモバイル・テンセグリティの基本性能である。
大地に構造の強度と剛性を依存しないばかりか
構造の基礎部を持たない、
それゆえに
超軽量な構造体の自重をさらに自身の<浮力>で軽減できるのは
テンセグリティ構造だけである。
テンセグリティは
大地に係留された
翼のない浮遊機械であり
そして、スクリューのない推進装置であり
根を生やさない太陽の受光体なのである。
流動する球状大気圏に対して
球系エアロダイナミクスは
外力分散ネットワークによる動的な均衡を
絶えず自動更新している。