月別アーカイブ: 2008年5月

有限要素法

有限要素法は解析したい領域をより小さな領域の「要素」に分割する。
解析領域全体が積分で表される場合、各要素内の積分の総和として表せる。

全体は部分から構成できるという還元主義のトリックがある。
つまり、総和が表せるように部分を定義する操作だ。

こうした独善的な推論によって、
つまり推測から得た安全性についての複雑でもっともらしい予測に基づき、
本来の構造システムは高価で過剰な物質で強化されるのである。

有限要素法は決定的にシナジーを除外したままだ。
工学的で合法的な記号システムによる富の損失は計り知れない。

シナジーは要素の総和の効果ではない。
要素から推論できない重さのない機能だ。

リダンダンシー(冗長度あるいは安全係数)からの脱出

大きな災害がある毎に、リダンダンシーの確保は
不可欠なテクノロジーとして考察されている。

自然は、酸化作用のないテクノロジーから脱出するための
煙のより少ない煙突を改善するよりも
煙突が不要なテクノロジーを用意しているように、
自然が構造をつねに非固体的に形成しているのは
リダンダンシーを非物質化するためである。

リダンダンシーを理論的に完全に排除できたのは
テンセグリティ原理の発見以後だ。

リダンダンシーの開発コストと構造体の全重量を増加させるテクノロジーは
時代遅れである。

テンセグリティと重力

テンセグリティを圧縮材よりも張力材をより多く使って
構造化するほうが、統合力はシナジー的に飛躍する。
これは、個別の結合力の増加を意味しない。

直径数キロメートルのテンセグリティ球は
ほとんどが張力材である。
だからテンセグリティは太陽光だけで
大気圏に浮遊できるのである。
(NASAは大気圏内を宇宙空間に含めなかった)

自然はすでに重力を断面積がゼロの張力材にデザインしている。

共鳴型と非共鳴型テンセグリティ

構造がある形態を維持しているのは、
閉じた有限のシステムを包括する連続的な張力機能によるのであり、
不連続で局所的な圧縮機能によってではない。

さらに、この形態からリダンダンシーをすべて排除した場合が
共鳴型のテンセグリティ構造である。

圧縮機能を連続させ、張力機能を非連続にした非共鳴型テンセグリティは
高い振動数でしか共鳴しない。
そして、外力の分散機能は著しく低下する。

しかし、通常の建物が、低い振動数(振幅は数m、周期は数十秒)の巨大地震で
ゆっくりと確実に破壊されるのは
自重を大地に流すようにしかデザインされていないからだ。

数学的自然からテンセグリティは生まれた

柔構造は五重塔をモデルとして考案されたらしい。
心柱が他の構造体と接していないという共鳴型構造が耐震性能を生む。

圧縮材をすべて非接触にすれば、
最大の柔構造になる共鳴型テンセグリティの原理の発見プロセスには、
自然の観察は関与しなかった。
自然や人工物を模倣しない唯一の方法は、観察を放棄することだ。
観察対象は観察者がそれまでに習得した概念で観察されるにすぎない。

バックミンスター・フラーの数学的自然観を理解すると、
葉の緑を重んじるエコロジーが局所的なビジョンに見える。

『宇宙船地球号操縦マニュアル』(1962)には
驚くことにエコロジーという言葉は一回も使われなかった。

社会化された自然に数学的自然が含まれたことはないのである。