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構造と重力

構造をデザインした建築家はいない。

原子核が発見されたときにさえ、
まだ構造は発見されてはいなかった。

自然科学においてさえ
構造の定義は未だ存在していなかったから。

構造の原理は
バックミンスター・フラーによって
1927年に発見されたのである。

構造もまた重力のようにデザインできなかったのである。

発見された自律システム

巨大地震に対応できる構造システムの機能とは、
耐震、免震、制振システムなどであった。

テンセグリティは、
大地震の大きな振幅と振動に抗して、
アクティブに耐えたり免じるのでもなく
また、人為的なエネルギー吸収機構で
パッシブにそれを制御するのでもない。

それは、外力という振動エネルギーを短時間で
動的に全方向へ分散させると同時に、
変動していく振動とつねに動的に調和する
<自律システム>なのだ。

つまり、
制御のための一切の電気エネルギーから絶縁し
大地の固体性から絶縁した
自律的システムのことである。

従来の耐震、免震、制振システムは
構造に対して付加的であったが
テンセグリティに
耐震、免震、制振装置に関するすべてのハードウエアは存在しない。

テンセグリティ・システムを通過する外部エネルギーは、
このシステムをより統合するように作用するからである。

自然は統合するために、
パッシブでもアクティブでもない
重さのない<見えない機能>をデザインしているのである。

テンセグリティは
人間が空間を利用するために開発された超軽量構造システムではなく
自然における構造の原理である。

梶川泰司

90 struts-tensegrity 1980 copyright
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