月別アーカイブ: 2012年12月

テンセグリティの破壊実験

コンピュータシミュレーションは
模擬実験の手法である。
科学的な構造計算の信頼性は
原寸大モデルの破壊実験からのみ確立されてきた。

その原寸大の破壊実験から
テンセグリティの<安全率>は
最新のコンピュータシミュレーションによる
構造計算値よりも小さいことが分かるだろう。

連続したテンションネットワークの統合作用がもたらす
<未知なる補償作用>のために
重さの増加を伴わないリダンダンシーが増加する度合いは
圧縮材のみから構成されたジオデシック構造よりも大きい。

テンセグリティ球においては
単位体積あたりの重量増加と強度の増加は
明らかに半径の増大に反比例する。

テンセグリティの破壊実験において
もっとも困難なことは
テンション材が連続し、圧縮材が非連続で、
大地から完全に自律した純粋な原寸大のテンセグリティ構造を
経済的に短時間に制作できないことにある。

とりわけ、テンション材の張力調整にターンバックルを使用する場合の
アセンブル方法は正確さと軽量化において未だに絶望的である。

参照
「失われていく過程について」
犬のしっぽブログ http://two-pictures.net/mtstatic/

シナジェティクスとデザインについて

現実は物理的である故に
現実化によって得られる認識は
つねに不完全である。

原理から生成される
生物的・物理的形態(form)よりも
シナジェティクスモデルは
原理により接近する。

19世紀の光速度の絶対値を測定する装置のデザインが
回転鏡による方法によって
反射光の像ができる位置のズレの発見から生まれるには
光の反射という光学原理を歯車駆動に関する工学原理とを
調整する行為を必要とした。

しかし、その行為は
光に速度があるという<作業仮説>がなければ生まれなかった。

デザインは
ある<作業仮説>に基づいて
複数の原理を
互いにより接近させるための
操作主義的な行為である。

Dare To Be Naive

Dare To Be Naive

1975年7月2日 バックミンスター・フラーの講義 および
『シナジェティクス第一巻』の序文 <Moral of the Work>から

バックミンスター・フラーが言うNaiveとは
経験不足がまねく素朴なふるまいを意味する。
したがって知性の方向性は、anti-naiveである。

しかし、彼は
生得的で原始的な思考方法の展開力をNaiveに託していた。

梶川泰司