デザインサイエンス(バックミンスター・フラー)のアーカイブ

テンセグリティ・シェルター

デザインサイエンスは
超軽量テンセグリティシェルターのプロトタイプを優先的にデザインするが
それは生存するためのシェルターがまだ存在していないからである。

クリティカル・パスの解決方法  

その1

クリティカル・パスの問題解決方法は、

1.いつまでに何を成し遂げたいか

2.いつまでにどのように成し遂げたいか

という2つの要素から成り立っている。

つまり、方法と経験の秩序化の過程(あるいは工程)の全履歴を

行動によってのみ客観的にかつ動的に形成(あるいは記述)することが目的化されている。

その2

プリセッション

クリティカル・パスの過程において、

本来の目的外の異なった問題とその解決方法の発見に遭遇できた場合は、

上記の2つの要素が選択されるまでの履歴だけではなく

クリティカル・パスを必要とした動機にまで遡れるだろう。

その3

上記の方法は、発見的クリティカル・パス方法であり、

従来の帰納法的(induction)とも演繹的方法(deduction)とも異なっている。

決定的な違いはクロノファイルの有無にある。

梶川泰司

経験(experience)から実験(experiment)へ

モデリングは実験すればするほどうまくいく。

経験(experience)と実験(experiment)との違いは
現象に対する「主観的な傍観者(経験)」と
「無干渉的な観察者(実験)」であるとするような
対比可能な関係にあるのではなく
実験が「実在に意図的に参加する(=「自己の外」へ出る)」
ことであるという点において
根本的に経験とは異なっているのである。

概念操作の違いから生まれる異なったモデリングの経験から
異なった実験的な、それゆえ客観的なモデリングを発見できるだろう。
実験的なモデリングによってのみ
構造とパターンの未知なる関係が明らかになるのだ。

蝿の目(Fly’s Eyes)

☆バックミンスター・フラーのフライズ・アイズ

蝿の目は、三角形化を採用していないので、未だ自律的構造ではない。

その形態のパターンを拡大しても人間は内部空間を利用できない。

自然の形態を模倣する行為は、デザインサイエンスではない。
デザインサイエンスは、自然界に潜む純粋な構造とパターンに関する
シナジェティクス原理の発見に根ざしている。

Fly’s Eyes have no structure

Fly’s Eyes

続)ネクスト・エデンドーム

デザインサイエンスは構造とパターンの原理と
他の物理学的な原理とを調整するだけではない。

シナジェティクス原理の新たな発見に遭遇するための
コスモグラフィックな探究心に燃えた峻烈な試みでもある。

原理の発見は必ず訪れる。
次に、優れた発明への変換は遅れてやってくる。

しかし、それが生存のために不可欠であればあるほど、
その物質化はもっとも遅れてやってくる。  梶川泰司

ネクスト・エデンドーム

1983年の最晩年のバックミンスター・フラーの2層膜のテンセグリティシェルターは
まだコンセプト段階であった。
そのモデリングの遺産を継承したノーマン・フォスターもまだ実用化していない。

イギリスのエデンドームは、テンセグリティではなかった。
このエデンドームの建造には2層膜のための巨大な足場を必要とした。
空間構造を構築するための足場のコストは構造システムと同等になる。

この30年間、だれもフライズアイ以上には技術的にも経済的にもデザインできなかった。

21世紀のテンセグリティシェルターは
個人のためのほぼ永久的な耐久性をもった全天候型の2層膜シェルターである。
そしてエネルギーと構造は自律型のモバイル用テンセグリティシェルターである。

足場の建造は現地生産のための固体的な建築技術である。
超軽量のモジュール型または展開型のテンセグリティは足場の建造コストを排除する。

フライズアイですら、未だ足場を必要とするモノコックデザインである。 梶川泰司

Fly’s Eye Dome
designed by Buckminster Fuller

33′ diameter fiberglass produced by John Kuhtik

テンセグリティーーーーその懐胎期の終焉

テンセグリティに関して
その学術的研究レベルに期待ができないのは
統合する張力への直観が
海賊の遺伝子に埋もれたままだったからではない。

テンセグリティが体系化されるには
まだ冒険的モデリングが少なすぎる。

航空力学が体系化する以前に
ライト兄弟が実際に飛行実験に成功したように
テンセグリティ原理の発見から生まれるテンセグリティ理論は
シナジェティクス・モデリングと原寸大モデルでの
力学的テストを通じてのみ高度に単純化するだろう。

大学や企業の研究室からは生まれなかったテンセグリティは
バックミンスター・フラーの予測さえ超えた懐胎期間を終えて
いよいよ実用化の段階を迎える。

テンセグリティ——–構造とエンジニアリング

テンセグリティの構造デザインに独創はいらない。
圧縮材と張力材が統合された
構造の安定性に自己表現は不要だ。

鳥は無駄のない翼の形態と機能を自己表現するために
飛行することはしないだろう。

構造を自律させるための膨大な試行錯誤は
自己表現の対象ではない。

新たな構造原理の発見がこそが
前例のないエンジニアリングの閃きを
もたらすにちがいない。

懐胎期間

それは
アイデアが生まれるまでの
苦闘する時間のことではない。

個人がまだ生産できない道具を
それをまだ必要としない期間において
そのプロトタイプを
個人が意識的かつ先駆的に準備することで
発生する時間のことである。

概念

発明とは、
まず自分も含む誰かによって
形成された概念がすでにあり、
そこから
誰も達成できなかった機能を
デザインすることである。

発見とは、
すでに目に馴染んだ物や知識に潜んでいる、
誰も気づかなかった関係を
言語化する行為だけではなく、
目に見えない自然の原理をも
視覚化する行為である。

発見が同時に複数の発明をもたらすのは
概念の発見と発明を伴うからである。

発見と発明の目的化には
「はじめに概念ありき」ではなく
はじめに概念の発見と発明ありきなのである。

参照
犬のしっぽ
http://two-pictures.net/mtstatic/
2011年11月7日  発明と発見の違い

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