柔構造は五重塔をモデルとして考案されたらしい。
心柱が他の構造体と接していないという共鳴型構造が耐震性能を生む。
圧縮材をすべて非接触にすれば、
最大の柔構造になる共鳴型テンセグリティの原理の発見プロセスには、
自然の観察は関与しなかった。
自然や人工物を模倣しない唯一の方法は、観察を放棄することだ。
観察対象は観察者がそれまでに習得した概念で観察されるにすぎない。
バックミンスター・フラーの数学的自然観を理解すると、
葉の緑を重んじるエコロジーが局所的なビジョンに見える。
『宇宙船地球号操縦マニュアル』(1962)には
驚くことにエコロジーという言葉は一回も使われなかった。
社会化された自然に数学的自然が含まれたことはないのである。