月別アーカイブ: 2009年10月

続シナジェティクス講座

『シナジェティクス』のテキストは膨大すぎる。
さらに、シナジェティクス・モデルの再現と翻訳では、
モデル言語の壁がある。

しかし、本に書いてあることを聞いても、
まとめても、なにも変わらないだろう。

重要な思考は書籍ではなく、モデリングと耳学問から始まる。
もっと重要なことは、他者に対して自分の「思考を声にする」ことからである。

何を学ぶだかだけではなくて、
どにようにシナジェティクスを学ぶかも
シナジェティクスである。

独自に思考した人のみに与えられる飛躍によって、
メタフィジックスを通過できるだろう。

新たなシナジェティクス原理の発見と
それに伴う新たな認識を目指して。

シナジェティクス自主講座の翻訳会議は、すでに2年目を迎える。

テンセグリティの衝撃吸収機能

衝撃吸収とは、
衝撃エネルギーを短時間に分散することである。
(衝撃エネルギーを消費することではない。
エネルギーは増えも減りもしないから。)

テンセグリテは、通常は球面状の波状振動によって、
そして、その限界を超えたより大きな外力に対しては、
部分的な自己破壊によって
衝撃のエネルギーを最大限に短時間に分散できる。

柔軟な強度は、半世紀に発見された
衝撃吸収にはもっとも効果的なテクノロジーである。

実験幾何学

エコロジーは科学的概念ではない。
科学という専門分化では
捉えられないほどの包括性を含んでいる。
科学的概念にもっとも最も近い言葉で、
つまり、<シナジー>と言い換えてきた。

神秘といってもよかったが、
共産主義圏と資本主義圏の双方の
錬金術の系譜に属さないアカデミックな科学者たちによって拒まれてきた。

シナジーは有機体生命でなくとも、
合金のように、物質化した結果からのみ、
その予測できない飛躍した機能を比較することができる。

テンセグリティは、
シナジーの飛躍していく生成過程の可視化に成功した
最初の原子核モデルである。

大きさから独立しアナロジーに関与している実験幾何学(=シナジェティクス)は、
実験科学ではなかったので、
いまでもノーベル賞の対象外である。

テンセグリティとモデル言語

テンセグリティを知っていることと実際にテンセグリティを作ることは違う。
テンセグリティを作ったからといってシナジーが理解できる保証はない。

ゴム紐の張力材によるテンセグリティは、
外力分散機能がもっとも劣化する場合である。
テンセグリティの柔軟な強度を、
エラスティックナ張力材から連想することはあまりにも人間的過ぎる。
シナジーはもっとも人間の想像力を超えた作用である。

シナジーを知るには言語の限界がある。
光が波であり粒子(=光量子)であるように。

シナジーが物質を通して物質を超えているように、
モデル言語の習得にはもっとも時間を要する。

構造のエフェメラリゼイション

純粋な構造原理を物質化する方法は、
魔法と見分けがつかない。
その重量は通常の構造物の500分の1以下である。

そして、テンセグリティ構造は
ジオデシック構造の5分の1以下になる。

純粋な構造原理を物質化する方法は、
非物質化に接近するだろう。
その純粋な構造原理は、
見えない物質ではなく物質ではないからだ。

宇宙でもっとも豊富な元素の一つから炭素繊維を紡ぎ、
同じ素材から圧縮材も張力材も安価に生産できる時代にいる。

テンセグリティ構造の死と再生

テンセグリティ構造が現状維持する場合は、つねに振動する。
応力分散や外力分散機能に費やされるエネルギーが
構造自体を強化しているのである。

水分が樹木の無数の木部組織の細い導管を通過することによって、
構造にとって有用な圧縮機能を強化しているように、
樹幹の支持機能を形成する木部繊維だけが機械強度を維持しているのではない。

そして、導管が樹皮のすぐ下の外周にそって密集しているのは、
幹の表面に張力機能を形成するためである。

葉からの毛細管現象がなくなり、細い導管からも水流が止まるとき、
つまり、テンセグリティ構造が静止するときは、構造の死を意味する。

木は枯れると折れやすくなる。
水はすぐれた再生的な張力材なのである。