エフェメラリゼーション革命                         ーーー『クリティカル・パス―宇宙船地球号のデザインサイエンス革命 』について

〈不可視〉のテクノロジーによって、
機能の一定の増加を達成するために
投入される素材の単位重量あたりの体積、
単位エネルギーあたり、
そして単位時間あたりの労働時間
と生産システムの維持管理時間あたりで
遂行される仕事は、
原理の発見と発明によって
絶えずそれらの量と質を高めていく。

この複雑な過程を、バックミンスター・フラーは
物質の短命化(エフェメラリゼーション)と呼ぶ。

全体的に増加した技術的ノウハウの総和と
その包括的な統合作用によって、
1970年代にすでに人類は、
目には見えない境界を超え、
全人類のための普遍的な成功が
技術的にも経済的にも実現可能な
革命的な段階に到達していたことを
『クリティカル・パス―宇宙船地球号のデザインサイエンス革命 』
(R.バックミンスター フラー 著, 梶川 泰司 訳 白揚社 2007)
で指摘している。

地球人による化石燃料と原子力のこれ以上の使用が
すべて段階的に廃止可能なことも実証している本書では、
<脱>原発や<反>原発以上に
テクノロジー自体が本質的なエフェメラリゼーションの過程を
指向していることに気づかせてくれる。

テクノロジーとは、
doing more with lessの無限性を内包している
自然の姿である。

孤立しながらも
真のテクノロジーを発見する個人こそは
つねに宇宙的段階を指向できる。

2011年5月4日
シナジェティクス研究所
梶川泰司