半球状のテンセグリティ構造では
システム上の様々な問題が発生する。
バックミンスター・フラーと同じ考え方で
テンセグリティシステムを制作すると
その新しい問題は解決できない。
テンセグリティの実用化の関する問題の解決方法は
全天候性のモバイル・テンセグリティ構造に
居住するという現実的要求からしか生まれない。
それはテンセグリティ理論をより純粋にし、
新たな定義を与える機会になるだろう。
テンセグリティ作品の独自性を高めるために
アセンブルをより複雑にし、
その芸術作品の価値を向上させるために
テンセグリティのモジュール化を拒む。
現在のケネス・スネルソンから
テンセグリティ構造を
生存のための構造システムに変換する行為はついに見られなかった。
彼が球状テンセグリティに挑戦しなかったのは
バックミンスター・フラーの創造性と棲み分けしているからだとしたら
彼のテンセグリティに対する見解は実に局所的である。
彼の芸術は様式を模倣したくないだけのように見える。
しかし、テンセグリティの<構造とパターン>は
まだ一般化されていない。
<構造とパターン>は数学そのものである。
ケネス・スネルソンは
圧縮材の不連続の連続に魅せられたまま
美学的行為の無限性を表出しているかぎり、
バックミンスター・フラーによる
テンセグリティの定義のヘビーユーザにすぎないだろう。
その定義よりも前に
動植物のすべての細胞が採用してきた
テンセグリティシステムの包括的な先験性によって
彼の作品を時代遅れにしているのである。
バックミンスター・フラーによる
一般化された球状テンセグリティモデルの発見以後
この半世紀間の自然の観察から分かってきたことは
テンセグリティ原理は
生存のための構造安定化のためのデフォルトなのである。
テンセグリティシステムは
特殊ではなく、水素原子のように
ありふれた宇宙の構造システムなのだ。