社会や学校では、今なお
ポジティブとネガティブは
互いに反転可能な鏡像関係に置かれている。
正義とモラルは
悪と懲罰にそれぞれ置換できる。
そして、
明晰は、愚鈍と非論理性に、
裕福は、貧困と不足に、
愛情は、暴力と無関心に、
知識は、無知と競争に。
自然は、ポジティブとネガティブを
互いにネガティブな関係で構築しない。
ネガティブな存在は
けっしてポジティブな存在の反転からは生成されない。
中性子が電子(ベータ粒子)と反電子ニュートリノを
放出して陽子になる現象のように
電子が陽子から生成されないように
自然は非鏡像的な存在を共存させている。
同時的または非同時的に。
そして、テンセグリティ構造における張力は
圧縮力と非鏡像的に共存し、圧縮力からは生成されない。
圧縮材からのみ思考した構造とその歴史は
決定的に反自然であり
地震などの種々の振動によって構造の崩壊を防止するために
自然に対立する固体的構造しかデザインしなかったのである。