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包括的教育プログラム

翻訳は、日本語として美しければ忠実とはいえない。
原文に忠実であれば、美しくない。

そのどちらかで決着がつかなかった場合
原著者に矛盾があるか、
訳者の日本語力に問題があるかのどちらかだったが、
バックミンスター・フラーの翻訳に関しては
新しい不足が発生した。

1970年代、バックミンスター・フラーは
難解だと最初の翻訳者が言い始めた。
シナジェティクスは英語力の問題ではなかった。
シナジェティクスを理解していなかったのがその原因だ。

シナジェティクスを理解するためのmore with lessは
シナジェティクスモデルの再現を経験することだ。

かつてのバックミンスター・フラーの翻訳者たちが
ベクトル平衡体モデルもテンセグリティモデルも
再現していなかった。
主要な概念を忠実に日本語化することは
ほとんど不可能だったに違いない。

実際、過去に出版された2冊の『宇宙船地球号操縦マニュアル』の翻訳においても、
概念の日本語化はまだ未完成であるし、
『テトラスクロール』や『ダイマクションの世界』に至っては
シナジェティクスの概念の翻訳は無残である。
そればかりか、『テトラスクロール』では原文の重要な概念を
意図的に省略して訳されている。

モデル言語力の不足は、決定的なメタフィジックスの欠如を意味している。

モデル言語力の習得を効果的にするプログラムは
包括的教育プログラムである。
つまり、現在の知的産業社会のもっとも弱点とする教育プログラムである。

非物質化のための共鳴

あらゆるジオデシック・ドームは、
人間の認識範囲で張力材と圧縮材の区別ができるかどうかにかかわらず、
テンセグリティ構造である。

ジオデシックドームは
構造を構成する圧縮材とテンセグリティにはない
ジョイントの各構成部材数が増加すると同時に、
テンセグリティの振動を伴う共鳴が減衰した状態である。

非物質化した構造とパターンが、
振動と共鳴を制御するテンセグリティにおいて、
振動と共鳴は、構造の剛性と強度を犠牲にしない
超軽量化のためのmore with lessである。

モデル言語再考ーー『コスモグラフィー』シナジェティクス原論

物事の見方、考え方、そして定式化の方法において、
紀元前25世紀に幾何学的第1種の〈固体(solid)〉という概念を展開した。

しかし、プラトン学派とその系譜が定義した多面体群は、
いずれの線も同一の点を同時に通過しない
非固体的なテンセグリティに変換できる。

結晶は多面体ではない。
結晶でさえその原子群は振動して熱エネルギーをもっている。
固体的かつ非共鳴的な多面体は、間違った定義によって生じる物質感(=リアリティ)である。

テンセグリティが究極の構造の一般化された原理であることが発見された後に、
多面体ではなくテンセグリティによって
構造は、はじめて定義された。

中身の詰まった固体的な多面体を折りたたむことはできないが、
テンセグリティは折りたたむことはできる。
このテクノロジーに到達するために、
数千年間の概念の恐るべき牢獄期を経由しなければならなかった。
この単純で巨大な空洞をいまだに埋めることができない。

固体的かつ非共鳴的な物質観の起源の分析よりも
テンセグリティの懐胎期を加速するのは
シナジェティクス・モデル言語の理解である。

シナジェティクスの唯一の入門書は、

『コスモグラフィー』シナジェティクス原論
バックミンスター・フラー著、梶川泰司 訳 (白揚社 2007)

バックミンスター・フラーの最後の遺作(1983)となった。

テンセグリティを破壊せよ

水素にも酸素にも水を予測させる要素と情報はいっさい存在しない。

テンセグリティを構成する圧縮材にも張力材も
テンセグリティの構造安定性を予測させる情報はいっさい存在しない。

テンセグリティの構造安定性は
破壊実験からのみ知ることができる。

原子核の理論的な構造安定性(質量欠損)が
アラモゴードの原爆実験から証明されたように。

テンセグリティを理解するには
同じ条件でテンセグリティモデルを
少なくとも2つ制作しなければならないだろう。

リダンダンシーを排除しても
可能な限り破壊に耐える理想的なテンセグリティモデルの
破壊と創造のために。

2009/12/28

A.男は自分が幸福にしてやれる女しか愛さない。
B.女は自分を幸福にしてくれる男からのみ愛される。

このような単純な鏡像性だけではない。

C.女は自分を幸福にしてくれる男しか愛さない。
D.男は自分を幸福にしてくれる女だけを愛する。

非鏡像的で、反対称的な相補性は
つねに4通りある。

シナジェティクスを学ぶと
こうした相補性はモデル化できる。

相補性のモデル化の可能性の探査とその収穫は、
アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドではなく
バックミンスター・フラーに始まる。

元素の存在比(ワールドゲーム理論のデフォルト)

太陽は地球と同じ元素の存在比をもっている。
地球に存在する元素の割合は太陽でも同じである。
そればかりか、
宇宙における元素の存在比はどこでも同じである。

この発見は、
われわれの資源もエネルギーも
人口比で分布させるべきであるという
バックミンスター・フラーの経済理論(反法律家資本主義)を説明するだろう。

インターネットによるシナジェティクス講座では
バックミンスター・フラーの死後この30年間に
計画されたワールドゲーム理論のデフォルト
の矮小化と抹殺の歴史を批判する。

重力とテンセグリティ

テンセグリティに誰でも惹かれるのは
重力に逆らっているのではなく、
別の引力を利用しているからだ。
引力とは、他の質量から受ける万有引力である。

しかし、重力も引力も同じ張力だ。
われわれはもっとも軽い存在(質量0、電荷0、寿命無限大)によって
統合される存在なのだ。

万有引力は、「二つの物体間に働く引力であり、
その二つの間の距離とそれぞれの物体に応じて働く力」である。
「引力を生じるのは物体に質量がある」という物理学の再帰的な論理から
脱出できるばかりか、
テンセグリティはその質量欠損の起源にも関与しているだろう。

なぜなら、原子核が陽子と電子だけではないように、
テンセグリティは棒とひもではないからだ。

テンセグリティ島

雲がある場所の下には島がある。
島には植物がある。
植物の上には雲ができる。

クリスマス島はすべて珊瑚礁でできている。
雨が降れば、地下浸透して
淡水は比重が軽いから、
海水の上にレンズ状に浮いている。
クリスマス島のすべての水は浮遊する。

水が浮遊すれば、人間が住める島になる。

テンセグリティ島も空気に比べて
比重が軽いから、
大気中を球状で浮遊することができる。

浮かぶテンセグリティの内部には
オクテットトラスの島(=都市)ができる。
そこには植物が茂り、ふたたび雲ができるだろう。

そして、月にも水がある。

クリスマス島

クリスマス島

シナジェティクスの思考

数学や物理学の難解さに挑戦する科学者はますます増える。

つねに非論理的に発見された原理は、論理的にしか説明できない。
原理が単純で論理的だからだ。

テンセグリティはもっとも単純な原理の一つだ。
しかし、この原理が発見されるまでギリシアの幾何学から25世紀間もかかった理由を
論理的には説明できない。

シナジェティクスも難解なテーマに挑戦するのではなく
新しいテーマを発見するための
もっとも単純な科学的思考をもたらす21世紀のメタフィジックスだ。

シナジェティクスは
「複雑な現象を複雑なまま理解しようとする思考」から
「複雑な現象を単純な原理の複合から理解しようとする思考」への
非線形的単純系サイエンスだ。

このことは1927年からシナジェティクスが発見した原理の履歴からも
論理的に定義される。

テンセグリティ・モデルーー張力への誤謬

宇宙で起こることは、モデルでも起こる。
シナジェティクス・モデルは純粋な統合作用を再現できる。

しかし、
テンセグリティモデルは、細胞のように顕微鏡では発見されなかった。

「見る」ためには、はじめに概念ありきである。
『コズモグラフィー(シナジェティクス原論)』
(白揚社 バックミンスター・フラー著 梶川泰司訳)
は、その入門書である。

テンセグリティモデルが見えなかった人類の歴史には、
明らかに、言語の牢獄化の問題がある。

圧縮(力)が縮むことではないように、
張(力)は、伸びることではない。

動くテンセグリティの再現で、張力材をゴムに置き換えることに
すでに言語の牢獄化が存在する。

振動しない物質は存在しないように
テンセグリティの振動は、統合作用の表れである。