投稿者「synergetics」のアーカイブ

プラトン以後

幾何学は死んだ。
そして新しい幾何学は始まったばかりだ。

動力学的幾何学な観点から
あるいは
反幾何学的な起源を提起するのではなく
幾何学が幾何学から離陸するための概念形成が
いつから起こったのかを問うならば。

プラトン以後の幾何学がどのような型の発展をしてきたのかを
歴史的に観る幾何学は、数学者からも幾何学者からも形成されなかった。

関係の幾何学

知覚したイメージを記憶に保ちながら
再び心のうちに表れた作用が
あるモデルに転写されるのではなく、
他の何ものかへの関係がその同一作用を引き起こすモデリングに帰される時
そのモデルは他者に伝達可能になる。

他の何ものかへの関係こそが
関係の幾何学(=シナジェティクス)を形成しているのである。

科学的な観察行為からテンセグリティモデルが発見されなかった事実を
説明するだろう。

つまし、テンセグリティモデルは
テンセグリティ理論が形成される前に発見されたのである。

有限性

人々は自分のために
自分の利益のために
そして、自分の家族のために生きる。

しかし、それらの目的に生きる者が
絶えず自己とともに存在することにはならない。

さらに、自己を含む宇宙のために
存在することへの移行は
有限性に自分自身が繋がれている幻想に
直ちに呼び戻されてしまうだろう。

安全システムこそ、この有限性という幻想の結果である。

プライムデザイン再考

シナジェティクスにおいて
容赦なく幾何学と分離する時間は、むしろ
デザインサイエンスと融合させる活動をより明晰に包括的なものにする。

こうした時間はプライムデザインの主権を
実践的だが、脆く、妥協に満ちた不確定的なノウハウと呼ばれる
知的習慣から奪い返すことができる。

デザインサイエンスの概念には
これまでの知的階層構造を無化する
反権力的思考が含まれる。

デザインサイエンスは、建築とはその起源を異にする。

定義のユーザ

テンセグリティ作品の独自性を高めるために
アセンブルをより複雑にし、
その芸術作品の価値を向上させるために
テンセグリティのモジュール化を拒む。

現在のケネス・スネルソンから
テンセグリティ構造を
生存のための構造システムに変換する行為はついに見られなかった。

彼が球状テンセグリティに挑戦しなかったのは
バックミンスター・フラーの創造性と棲み分けしているからだとしたら
彼のテンセグリティに対する見解は実に局所的である。

彼の芸術は様式を模倣したくないだけのように見える。

しかし、テンセグリティの<構造とパターン>は
まだ一般化されていない。
<構造とパターン>は数学そのものである。

ケネス・スネルソンは
圧縮材の不連続の連続に魅せられたまま
美学的行為の無限性を表出しているかぎり、
バックミンスター・フラーによる
テンセグリティの定義のユーザにすぎない。

その定義よりも前に
動植物のすべての細胞が採用してきた
テンセグリティシステムの包括的な先験性によって
彼の作品を時代遅れにしているのである。

バックミンスター・フラーによる
一般化された球状テンセグリティモデルの発見以後
この半世紀間の自然の観察から分かってきたことは
テンセグリティ原理は
生存のための構造安定化のためのデフォルトなのである。

テンセグリティシステムは
特殊ではなく、水素原子のように
ありふれた宇宙の構造システムなのだ。

シナジェティクス・モデリング

モデリングには、モデル言語に基づいた技法が生まれる。

その役割は、現象によって誘導される他の現象を翻訳するための
作業仮説を打ち立てると共に
作業仮説に現象の再現と意義を形成することにある。

モデリングは
自由という形式のもとで
作業仮説と現象との差異を取り除く言語形成にある。

技法は、モデル言語の生成過程に生まれる。

ロシア構成主義は
美的な技法から抽象性(非対称性・幾何学的形態)を獲得したが
不可視の自然の形態を翻訳し再現する技法ではなかった。

技法や理論から生まれたモデリングは
人類の生存形式に影響を与えなかった。

未知な自然を探究するシナジェティクス・モデリングの方法は
既知となった技法の解体、またはその破壊
さもなくばまったく別なものへの転換、または逸脱や絶縁、
へと到るような何か未知を経験することを意味している。

浮遊するテンセグリティ

テンセグリティ構造の製造技術論は混乱していて
それらは、しばしば断片的な経験で組立てられ
体系的で継続的な理論形式はほとんど残されていない。

その理論が導く作用効果は首尾一貫しているにも関わらず、
ほとんどは、雑多で経験的な形式を引きずったままの
未知の原型システムとして捉えられているが
基礎で固定され、
そして、テンション材が一本でも破断すると崩壊する構造は
張力によって統合されたテンセグリティ構造ではない。

しかし、『クリティカル・パス』(バックミンスター・フラー著 1981)で
引用される<浮遊するテンセグリティ>は
現代の素材から水に浮かぶ超軽量テンセグリティモデルで再現可能である。

臨象テンセグリティの誕生

テンセグリティは
ポジティヴとネガティブな相互関係を
圧縮材と張力材の非鏡像的で相補的な関係を
物質に変換した瞬間に
無限性を否定する有限性から切り離した。

その時に出現した構造は、
技術的かつ社会的限界を設ける臨界的機能と
起源を発見する機能とを同時に果たす。

不連続な圧縮材からなる球系テンセグリティ構造に
直径の限界は存在しない。

相補性というものに権力構造を超える構造を賦与する
思考の幾何学が誕生したのは
テンセグリティ原理の発見からである。

シナジェティクス研究所
梶川泰司

エフェメラリゼーション

デザインサイエンスは、

比較するよりも、発明を
分析するよりも、実行を
生産効率を上げることよりも、
宇宙のなかの人間の役割の
先験的な企てに参加することに適している。

予測的な思考力と行動力こそが
物質に対して加速度的なエフェメラリゼーションを生む。

物質化よりも先行するテクノロジーは
メタフィジックスに属する。