シナジェティクス」カテゴリーアーカイブ

Doing More With Lessの私的見解

「Doing More With Lessを事実に基づいた具体例に変換してみましょう。
我々の住居の平均的な壁の厚みは30cm程度です。
部屋の幅が6m程度とすると、その厚みは幅の20分の1となります。
人間の頭蓋骨の平均の厚さは6mm程度なので、直径との比率は40分の1以下です。

ところが、鳥の卵の殻の厚みと卵の直径の比率は80分の1以下になっています。
彼らは産卵する直前まで飛行しなければならないからです。
適切にデザインされたジオデシック・テンセグリティドームのその比率は200分の1以下となります。
我々が惑星地球上で生存するには、移動しなければならないからです。

実際、我々の細胞膜のこの比率がさらに小さくなるのは、細胞自体がテンセグリティ構造だからです。
身体を構成する60兆もの細胞を周期的にすべて入れ換えるために、
自然はテンセグリティ構造を再生システムとして採用したのです。

人類のこれまでの固体的住居を構成する殻や壁は、圧縮材ではなく張力材として機能すべきです。
そして、テンセグリティ構造は、周囲の環境と共存した状態を形成するために常に振動するシステムです。
自然が振動というDo More with Lessを採用するのならば、
振動は構造を常に軽量化すると考えられます。

Do More with Lessは、張力材を構造に包含させるための、
構造デザイン上で最も効果的な方法論になるでしょう。


2008年の私へのインタビューから引用
このインタビュー以後も、テンセグリティ構造をより高度に単純化するための
種々の発見に基づいた新たなテンセグリティ理論が形成されている。
その理論を応用したテンセグリティシェルターのプロトタイプの制作以上に、
デザインサイエンスの歴史にとって重要なTrimbTabはないかもしれない。
なぜなら、アメリカに於いてもこの日本においても
個人のための<生活器のデザイン>を他の誰も挑戦してこなかったからだ。

プラトン以後

幾何学は死んだ。
そして新しい幾何学は始まったばかりだ。

動力学的幾何学な観点から
あるいは
反幾何学的な起源を提起するのではなく
幾何学が幾何学から離陸するための概念形成が
いつから起こったのかを問うならば。

プラトン以後の幾何学がどのような型の発展をしてきたのかを
歴史的に観る幾何学は、数学者からも幾何学者からも形成されなかった。

関係の幾何学

知覚したイメージを記憶に保ちながら
再び心のうちに表れた作用が
あるモデルに転写されるのではなく、
他の何ものかへの関係がその同一作用を引き起こすモデリングに帰される時
そのモデルは他者に伝達可能になる。

他の何ものかへの関係こそが
関係の幾何学(=シナジェティクス)を形成しているのである。

科学的な観察行為からテンセグリティモデルが発見されなかった事実を
説明するだろう。

つまし、テンセグリティモデルは
テンセグリティ理論が形成される前に発見されたのである。

プライムデザイン再考

シナジェティクスにおいて
容赦なく幾何学と分離する時間は、むしろ
デザインサイエンスと融合させる活動をより明晰に包括的なものにする。

こうした時間はプライムデザインの主権を
実践的だが、脆く、妥協に満ちた不確定的なノウハウと呼ばれる
知的習慣から奪い返すことができる。

デザインサイエンスの概念には
これまでの知的階層構造を無化する
反権力的思考が含まれる。

デザインサイエンスは、建築とはその起源を異にする。

シナジェティクス・モデリング

モデリングには、モデル言語に基づいた技法が生まれる。

その役割は、現象によって誘導される他の現象を翻訳するための
作業仮説を打ち立てると共に
作業仮説に現象の再現と意義を形成することにある。

モデリングは
自由という形式のもとで
作業仮説と現象との差異を取り除く言語形成にある。

技法は、モデル言語の生成過程に生まれる。

ロシア構成主義は
美的な技法から抽象性(非対称性・幾何学的形態)を獲得したが
不可視の自然の形態を翻訳し再現する技法ではなかった。

技法や理論から生まれたモデリングは
人類の生存形式に影響を与えなかった。

未知な自然を探究するシナジェティクス・モデリングの方法は
既知となった技法の解体、またはその破壊
さもなくばまったく別なものへの転換、または逸脱や絶縁、
へと到るような何か未知を経験することを意味している。

臨象テンセグリティの誕生

テンセグリティは
ポジティヴとネガティブな相互関係を
圧縮材と張力材の非鏡像的で相補的な関係を
物質に変換した瞬間に
無限性を否定する有限性から切り離した。

その時に出現した構造は、
技術的かつ社会的限界を設ける臨界的機能と
起源を発見する機能とを同時に果たす。

不連続な圧縮材からなる球系テンセグリティ構造に
直径の限界は存在しない。

相補性というものに権力構造を超える構造を賦与する
思考の幾何学が誕生したのは
テンセグリティ原理の発見からである。

シナジェティクス研究所
梶川泰司

自然の形態を超える

動けば変わるのではなく
動けばより安定するばかりか
共鳴によって動きを統合するのは
テンセグリティの本質的機能である。

この自然の構造は、まだ解析できていない。

その理由は、全体が部分の集合以上なのではなく
自然がUnknownを統合しているからではなく
シナジーが自然を統合しているからである。

テンセグリティは自然の形態を視覚化したモデルではない。
テンセグリティはシナジー作用が物質化された稀有な原理モデルである。

テンセグリティ構造が結晶構造のように
これまで自然界でその形態が発見されていないのは
自然の構造モデル以上だからである。

シナジェティクスと操作主義

構造とパターンを相互に調整する言語は
シナジェティクスによる
新たな操作主義の収穫であり、数学である。

デザインサイエンスは
最も効果的な構造とパターンを物質に変換する
すべての方法に関わる。

このシナジェティクスの操作主義の有効性は
もっとも知的なプロトタイプで実証されるだろう。

プリセッション(計画的偶然)への再考

宇宙開発の副産物によって人間の生存方法とその状態が
改善されることよりも
搾取による大多数の不利益が増大する方がつねに優位ならば
個々人が、そして個々人にとって
もっとも優先すべ生存上の課題は
軍産学複合体による大気圏外の宇宙開発ではなく
大気圏内の宇宙開発である。

この目的を理解するための
デザインサイエンスのプログラムは
モデル言語の習得から始まる。

だが、実際に行動するに至る過程で
幾つかのプリセッション(計画的偶然)が介在して
その探査がはじめて成就する時
個人的な出来事の記録とその変化こそが重要になることを
その探査する前に、いったいどのような方法で
知ることができるのだろうか。

それはもはや方法ではない。
メタフィジックスが導く道に地図はない。

プリセッション(計画的偶然)

宇宙開発の副産物によって人間の生存方法とその状態が
改善されることよりも、
グランチの支配と搾取による大多数の不利益が増大する方がつねに優位ならば
個々人が、そして個々人にとってもっとも優先すべ生存上の課題は
軍産学複合体による大気圏外の宇宙開発ではなく
大気圏内の宇宙開発にちがいない。
ーーーーーーーーいうまでもなく、欠乏のない科学的で経済的な食料とエネルギー、
そして、住居の生産方法などについて。

だが、実際に行動するに至る過程で
幾つかのプリセッション(計画的偶然)が介在して
その探査がはじめて成就する時
個人的な出来事の記録とその変化こそが重要になることを
その探査する前に、いったいどのような方法で
知ることができるのだろうか。

この先見的な目的論を理解するための
デザインサイエンスのプログラムは
モデル言語の習得から始まる。