シナジェティクス講座」カテゴリーアーカイブ

Foldable Tensegrity Shelter [バラック・テンセグリティ]

風と共鳴するテンセグリティもあるが、
窓側に置かれたアブノックスなテンセグリティオブジェもある。
雨や風、そして雪を内部から感じながら
大地から自律する半球テンセグリティ原理を
応用した量産のための原型デザイン
つまり、最新の安価な素材から成るセルフビルドの
バラック・テンセグリティの原型がついに完成した。
大気圏と共鳴しながら移動する空間以上に
安全で経済的なサバイバルがあるだろうか。

バラック・テンセグリティシェルター その元型モデルの発見 1995
シナジェティクス研究所 構造デザイン 梶川 泰司 + 嶋 あゆ子

焚火と共鳴テンセグリティ・ワークショップ 2020    
1月11(土)・12(日)(一泊二日) 

第2回 公開シナジェティクス講座 
 
自分自身の存在以外の何ものをも受容しない固体的構造が振動を拒む状態が続く限り、
ある振動数によってその構造は最終的に破壊される。
自己充足する構造は宇宙では存続できない。

テンセグリティ構造では、システムを通過したエネルギーはそのシステムをより強化する働きがある。

共鳴テンセグリティモデル 直径35cm  140 g 

共鳴テンセグリティモデル 直径35cm  140 g
誰でも1時間以内で完成できる世界初のテンセグリティモデルキット教材
デザイン シナジェティクス研究所

つまり、外部エネルギーを受容し分散しない構造はテンセグリティではないのだ。テンセグリティ構造は共振し、共鳴する。

この動的な共鳴・共振現象には時として、美しい共鳴音を伴う場合がある。微風に吹かれるだけで球状テンセグリティは風のエネルギーを音に変換することができる。共鳴音を形成しないテンセグリティモデルはまだ調律されていない楽器であり、フラーレンは、自然が調律した最小限の量子的な楽器である。

しかし、アーティファクトの共鳴テンセグリティを誰でも作成できる。

テンセグリティモデルの作成方法においては、張力材として伸度が大きい釣糸や弾性に富んだゴムバンドなどを使用する間違った非共鳴型教材が、これまで採用されてきた。それは、テンセグリティ構造の形態を再現するだけの学習に終始してきたように思われる。

本質的なテンセグリティ構造を学ぶには、圧縮材の端部を相互に最短で結合する張力材に対して、その2点間距離をより一定に維持する素材が求められる。
バックミンスター・フラーの時代は、テンセグリティモデルの最良の張力材は、テトロンの釣糸であった。ナイロンよりも伸度が低い性質からであったが、その伸度は5%である。ステンレスワイヤーでさえ5%である。当時は、まだカーボン材は一般には市販されていなかった。
私は、テンセグリティジョイントと共に、最新の素材から張力材も統合的に再構成できるテンセグリティモデルの可能性を試験してきた。

今回の第2回公開「裏庭のテンセグリティ・ワークショップ 2020」で採用するテンセグリティ教材は、オリジナルな最新のカーボン材を使用している。それによって、テンセグリティモデルを落下させる実験映像に見られるように、落下して床と強い衝撃を受けたモデルは、その反作用を受けた次の瞬間に、空中に浮かび、テンセグリティの表面に球面波が発生し互いに干渉している現象を観察することが出来る。

宇宙から見た大規模な大気重力波

宇宙から見た大規模な大気重力波

テンセグリティ構造の独自な外力分散機能が複雑に作用するその過程において、遂にテンセグリティモデルは共振し始める。心臓のように脈動を形成しながら床へのバウンドを反複する現象は、速度カメラで記録することで初めて認識できるようになったのである。

テンセグリティモデルの球面波のように、大気圏内でもサイズを超えてつねに絶えず大気重力波が存在している。
「裏庭のテンセグリティワークショップ」では、シナジェティクス研究所が開発したこの共鳴するテンセグリティモデルと同一タイプの、本質的なテンセグリティ教材を使用し、動くテンセグリティの原理を手から学ぶことができる。
手が思考する精密機器ならば、テンセグリティ原理を理解する際の外部化した重要な道具への再認識になるはずだ。
このハンドメイドのテンセグリティ・モデルキットを使用すれば、誰でも(中学生以上)一時間以内に最も幾何学的に正確なシンメトリックなテンセグリティモデルを組み上げることが可能になる。完成したモデルの張力がハイテンションなので、自重による変形をほとんど受けない。

さらに、今回のワークショップでは、このモデルを再現した後に、北アルプスに続く広大な裏庭の片隅で、直径3.2mの木製テンセグリティをアセンブルする。このプログラムによって、よりリアルなテンセグリティ体験ができる。張力が加わる毎に変容する構造形成時の、直接手から伝わってくる統合されていく連続的なテンションネットワーク感覚は、幾何学だけからは捉えられないシナジェティクスな生命感覚である。

この共鳴テンセグリティは、観察者の内的体験によって、初めて風を受容する自律型テンセグリティ楽器となる。

このネットワークが完成したテンセグリティ内部(Your Private Sky)から、参加者は、自然と共鳴するテンセグリティを内的体験(inperience)できる。

ワークショップの詳細はこちら

振動する球面

テンセグリティは
ギリシア人の考えた球の概念に基づいて
同一球面に内接すると思われているが
中心からその球面までの
すべての半径が同一になる
瞬間は存在しない。

なぜなら、テンセグリティは外力を受けて
つねに振動しているからである。

本質的に振動するテンセグリティは
時間の経過によってはじめて
統計的に非固体的な球面を形成するのである。

球面は同時には存在しない。

解説 梶川泰司

Fig. 770.11 System Turbining in Tensegrity Structures:by RBF

シナジェティクスと独創性

<独創性(originality)>とは
“新しい場所に置かれた元々の原型”であるとされるが
自然の構造とパターンの前では
それは言い逃れに過ぎない。

<独創性>から
この言い逃れが排除できないのは
この語が、
時系列的なタイムカプセルから
高度な経験の秩序化が非同時的に生まれる瞬間を
まったく表現していないか、
あるいは
表現しようとしない言葉だからだろう。

<独創性(originality)>は
人間のアイデアが
幾度も物質へと変換されていく過程において
デフォルト言語の破壊を好まない社会構造が抱いている、
個人に対するある種の幻想である。

シナジェティクスはこれらの幻想から
絶縁している。

<独創性>から生得的な領域(ドメイン)が奪われて久しい。

シナジェティクスが発見する自然の構造とパターン以上に、
人間の独創性を否定する「秩序」は存在しない。

それゆえに、
シナジェティクスは
自然の構造とパターンに関する思考辞書(thinktionary)の
編集方法 ―『Synergetics vol.1,2』編集で使用された最初のハイパー言語とその形式―をも
発見しているのである。

シナジェティクス的思考(thinktionary)

シナジェティクスの発見は
思考方法の曖昧さを、
回避する以上に破壊しなければ
到達できない原理の探求方法(thinktionary)の発見を伴う。

この20世紀に発見された
モデル言語から始まる探求方法は
しばしば
思考自体に潜む言語の論理的構造でさえ
躊躇なく破壊してしまう。

しかしその破壊された言語は
個人の生得的な文法から
構成されていなかった可能性がある。

なぜなら、
発見された原理からは
自然の論理的な相互関係を理解できるが
この原理の探求方法のほとんどは
非論理的であるからである。

人間の理解とは
遅れてやってくる論理的な事後承諾でしかないのかもしれない。

唯一、
電磁誘導的な直観による理解を除いて。

シナジェティクスとクロノファイル

どんな科学からでも
解釈可能な意味を生成する
最も単純な構造を
原理というならば
デザインとは
その意味と構造を
同時に調和させる直観的な方法だ。

シナジェティクスには
この方法をさらに増幅させる
クロノファイルという
タイムカプセルがある。

時系列的なタイムカプセルから
高度な経験の秩序化が生まれる。

梶川泰司

MADデザイナー

コンピュータでデザインする人は実に多い。
たいていの構造も
CAD(computer-aided-design)でデザインできる。

シナジェティクスの発見は
コンピュータで支援されるデザインよりも
モデリングで支援される概念モデルに依存している。

このMAD(model-aided-design)デザイナーは
アプリケーションではなく、
構造と意味を統合する
メタフィジックスに属している。

直観的なMAD(model-aided-design)で到達する
シナジェティクス・モデルは
思考言語(thinktionary)でのみ記述可能である。

2011年度 デザインサイエンス講座開講の準備 その3

社会経済の問題を解決するための
政治的な手段ではなく、
アーティファクトの発明と開発だけを手段として
デザインサイエンスの目的を続行するうえで
不可欠となる作業項目を日々遂行するには、
お金ではなく、<食料、エネルギー、シェルター>が必要だ。

食料とエネルギーとシェルターを
すべて同時に十分に与えられていない
個々人にとって
他人からの贈与や補助金、
そして貯蓄など当てにしないで
アーティファクトを唯一の手段として
問題を解決する責務に耐えるだけの
時間と経費を計算できる包括的能力は
最初の重要なノウハウである。

このノウハウを実践的な行動によって習得するのが
デザインサイエンス講座である。

ノウハウという実際的知識の習得プロセスにおいて
お金ではなく、<食料、エネルギー、シェルター>が必要だという
経験に基づいた認識は、
自己のテクノロジー(=自己規律)に属する。

テクノロジーの起源

どんな生命にも容認される方法で
基本的な環境の変化に適切に意識的に関与できる
テクノロジーを人間はつねに発見してきた。
「宇宙はテクノロジーである。」RBF

この神秘に驚嘆することから科学は始まるだろう。

しかし、それを容認できない超専門家たちを
生み出しているシステム
つまり、テクノロジーこそは
人間が創り出した頭脳の産物だと考えている集団が
イデオロギーに無関係に存在することは
じつに驚異である。

グランチは
頭脳明晰な若者から
神秘からの真の動機付けを破壊する
心理学の超専門家を抱えている。

2011年度 デザインサイエンス講座開講の準備 その1

太陽光から直接得られた電力のみによるパリからイギリスへの飛行には、
ドーバー海峡横断飛行に使用された
人間の筋力を動力とした翼長29mの人力飛行機
(炭素繊維アロイの構造とマイラー製の皮膜の総重量は32キログラム)が
最初にデザインされなければならなかった。

自然エネルギーの使用には、
doing more with lessによる
機能に対する重量の劇的な軽量化が絶えず要求される。

デザインサイエンス講座(☆註)では、
この40年前の科学的方法を
テンセグリティ・シェルターに適応させるための
複数のシナジェティクス原理の包括的理解から始まる。

☆註
原則としてデザインサイエンス講座は、
シナジェティクス入門講座を履修した講座生、
および
シナジェティクス・ワークショップの参加経験者を対象にした実践的講座。