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危険な構造 その2

構造が未定義であった歴史を
容認できない彼らは、
構造をしばしば科学的にデザインしたがるが
決して自然が採用する構造は発見してこなかった。
この建築の歴史は彼らに、
大地震に対して自然災害という概念を
つねに適用させてきた歴史でもある。

マグニチュード7の激震でも破壊されない
自動車や飛行機、船舶をデザインするテクノロジーは
量産技術から生まれている。
移動するための動的なテクノロジーは重力と対立しない。
浮力や揚力は、重力の応用から生まれている。
空気中を運動する物体への影響を扱う
空気力学や航空力学などの動的なテクノロジーは、
移動中や飛行中に構造体が受ける振動による破損を
決して<自然災害>と呼ばない。

静止的なテクノロジーは、
<自然災害>という固定概念によって、
プレートが対流するマントルに乗って互いに動いているという
地球自体の動くテクノロジーとの統合を拒んでいる。

危険な構造 その1

一番危険な構造とは
大地震で瓦解する構造のことではない。
その構造が理解され採用されたら、
それによって建築業界全体が崩壊するような
構造システムのことである。

このシステムこそ、
30年ローンでより高価な
固体的構造を買わされてきたユーザーにとって
その非固体的で柔軟な強度がゆえに
未だ不可解なものであったとしても、
決してこの超軽量構造は
人間がデザインした構造ではなかった。

隕石から発見されたことで
フラーレンやナノチューブが
高温にも衝撃にも耐えることが<証明された>が、
この宇宙ではありふれた
この炭素の純粋なテンセグリティ構造に
21世紀の建築家たちは無関心を装ってきた。

炭素の純粋なテンセグリティ構造とは
圧縮材も張力材も炭素から構成可能であり、
生命有機体においてはタンパク質からも構成可能である。

新クリティカル・パス法

クリティカル・パスの利点は失敗しないことであるが、
それでも失敗したなら、見事な失敗になるだろう。

例えばダイマクションハウス。

このプロトタイプが量産に失敗したのは
投資家の期待する
「ほとんど何のリスクも負わない資本主義」にある。

それから70年が経過した。
もちろん、クリティカル・パスはすでに
バージョンアップしている。

ジオデシック理論やテンセグリティ理論を採用したとしても
生存に関与しないアブノックスなシェルターを量産するための
ノウハウからなにも革命的な構造は生まれなかった。

デザインサイエンスのためのクリティカル・パス法は
生まれ変わったのである。

産業技術の革命に最適化したばかりか、
ジオデシック理論やテンセグリティ理論自体が
生まれ変わったからである。

シナジェティクスによるプライムデザインは
ついにあたらな開発方法を選択できる環境を形成したのである。

太陽系エフェメラリゼーション

テンセグリティの最適な張力は引力である。

断面積さえ存在しない、
距離を超越した見えない張力以上の
テンション材は存在しないゆえに、
自然にのみ完璧なテンセグリティが存在する。

究極のエフェメラリゼーションに到達できる自然は
完璧な重さのない対称性を具現化する。

ジオデシック・テンセグリティ構造

ジオデシック・テンセグリティ構造をデザインするには
テンセグリティから始めなければならないだろう。

ジオデシック・テンセグリティ構造において、
ジオデシック構造よりも剛性や強度を倍加させ
重量を半減させるためには、
圧縮的なテクノロジーよりも
張力的なテクノロジーのほうが優位になる。

バックミンスター・フラーが
ジオデシックシステムよりも
テンセグリティシステムを先に発見し
テンセグリティ構造をデザインしているのは
偶然ではないだろう。

シナジェティクスの起源とその歴史は
シナジェティクスの学習過程ほど
論理的に構築されてはいない。

動的平衡

シナジェティクスは半世紀前に
その概念とモデリングに成功している。

その定義は、
ベクトル平衡体とテンセグリティがあれば、
有機体生命の複雑なメカニズムは不要だ。

つまり、
動的平衡はすでに高度に単純化され
視覚化されている。

共鳴テンセグリティ(Resonated Tensegrity)

本質的なテンセグリティは、楽器のようにどの瞬間にも共鳴する。

テンセグリティを通過するエネルギーが
システムをより安定させることができるのは、
閉じたネットワークが外力分散機能を自己形成するからである。

張力材にゴム紐のようなエラスティックな素材にすると
この機能は消滅してしまう。

ピアノから美しい音楽を聴きたければ、
その共鳴盤(たいていピアノの蓋と呼ばれている)に
ゴム板を使うべきではないだろう。

再考 Think Global, Act Local

テンセグリティの外力分散機能は
システムの絶えざる動的均衡を
より高めることができる。

つまり、システムを通過するエネルギーは
システムをより安定させることができる。

もしテンセグリティが
Think Global, Act Localに機能しているなら、
落下させたボールのように弾む前に
その衝撃によって一瞬のうちにバラバラになるだろう。

前世紀の還元主義者が主張した
「部分と全体」の関係に対する誤った概念は、
最初に政治的プロパガンダに、そして次に
商業主義的なエコロジー教育に転用されただけである。

道具の奴隷

有限要素法を使いたいがために
建築家と構造家は複雑な曲面のある高価な建築に挑戦する。
なぜなら、金持ちが喜ぶからだ。
http://aedesign.wordpress.com/author/christopherlawrence2009/

掃除機を使うために
部屋を汚す生活者がいるだろうか。

(この段階ではとうてい有限要素法はテンセグリティの機能を理解していない。)

必要な既製品がない場合にのみ
デザインサイエンスは方法という道具さえデザインする。

テンセグリティの破壊実験

テンセグリティには苦痛に満ちた破壊過程は存在しない。

あるのは人々の張力材の破断に対する局所的な反応と
リダンダンシーに対する無知である。

テンセグリティがデザインされるまえに
テンセグリティの定義が破壊されてきた。

テンセグリティの非破壊過程は
神秘を秩序づける自然の贈物だ。