無柱、無線、無管、無軌道へ

無柱、無線、無管、無軌道を同時に具現化する
4つの自律的な方法は
自己のテクノロジーが深く関与する。

税収奪システムからの回避バイパスではなく
自己と他者との包括的な相互関係こそが
自己と宇宙との実在する相互関係に及ぶ。

この自己規律なくして
4つの自律的なサバイバル方法は理解できないだろう。

ゼロ円ではなく
無柱、無線、無管、無軌道こそが
もっとも経済的なのだ。

デザインサイエンスのための元素群

全天候性のモバイル・テンセグリティシェルターのプロトタイプ制作は
画家が絵を描くための絵の具と筆を買うように
完全な既製品の組合せから可能だった。

いくつかのシナジェティクスの原理的発見を除けば
テンセグリティシェルターを構成する部材と
それらを自宅のガレージで2次加工するすべての工具は
インターネットから調達できるほど
すでに<平均的>に分布していたのだ。

完全な既製品の組合せからなるプロトタイプこそ
少量生産も可能な理想的な量産タイプである。

そのプロトタイプを移動させるときは
モジュールまで分解して折りたたんで
車のトランクで運べるほど<再生的>だ。

宇宙でもっとも豊富な水素元素が
宇宙を形成するための最初の既製品であったように
加速度的にバイオスフィア上に分布する工業化された既製品群こそ
デザインサイエンスの<平均的革命>をより加速している
新たな元素群なのである。

デザインサイエンスプロジェクト2014

この3年間のデザインサイエンスプロジェクトの詳細が
未だ公開できないのは残念だが
公開できるときは完全な構造の機能が実現した時だ。
この完全な機能とは実用段階を意味している。

モバイル・テンセグリティシェルターが存在するのは、
より経済的に生存するためではなく、
幸福になるためである。
——–夜空の星々と共に

今はテンセグリティシェルターが完成するまで
星々のように
自ら燃えなければならない。

モデル言語再考 1

<構造>は、特定の機能に特殊化されたものとして理解されてきた。
「機能は形態に従う」ように
<構造>も人間が作り出せるものとしてデザインされてきた。

<構造>をシナジェティクスのモデル言語から理解するというのは
一つの原理の形態的な変換方法を発見したり
複数の原理との調整方法を考察するだけにとどまらない。

モデル言語再考 2

専門用語をより増殖させ、包括的な理解を遠ざける
専門分化ための社会的な<構造>を強化するために
記号言語のテクノロジーが優越的に支配する情況が続くなかで
モデル言語の生成は
概念と物質、社会と私といった<諸関係>を形成しながら
観察する「私」と行為する私との同時的かつ非同時的な反映物を
刻々にデフォルトへと破壊していく峻烈な行為に起因する。

シナジェティクスを構築してきた科学的・数学的言語でさえ
高度により単純化されたプリミティブな構造と概念を発見し生成するための
その初期化(=デフォルト)の対象になるはずである。

このモデル言語による包括的な<デフォルト操作主義>こそ
産業化のための専門分化した科学者集団が
もっとも回避してきた行為に他ならない。

集団化した彼らのクライアントは
限りなく真実に見せかけた<構造>、つまり見えないグランチなのだから。

基礎と足場のない構造

真の構造は
まぎれもなく
非同時的な出来事における
物理的な相互関係から形成されている。

物理学において
非鏡像的で相補的な相互作用の全体象は
第2次世界大戦後に形成されている。

それから60年以上も経過するが
テンセグリティの革命的な概念形成の歴史を
バックミンスター・フラー以外に省察していない。

テンセグリティはもっとも反建築的であるのは
基礎部を必要としないからだ。
そして
足場も必要としない。

自然の構造の形成には<基礎>も<足場>も存在しないからだ。

シナジェティクス原理からプロトタイプへ

「科学的法則は証明を必要とする。
シナジェティクスに記述された原理とその理論は
これまで経験的に論証されてきた。」  バックミンスター・フラー

ほとんどのシナジェティクス原理とその理論は
デザインサイエンスの問題解決の過程で生まれている。

それに伴う数学的な証明は
シナジェティクスの優先的な仕事ではないばかりか
シナジェティクスから新しいシナジェティクスは生まれていない。

最優先の課題を物質化したプロトタイプで十分だ。

プロトタイプとは
最小限のメタフィジックスとフィジックスが
ほぼ同時的に融合した希有な場所(=ドメイン)だから。

2014年1月20日
梶川泰司
デザインサイエンティスト

沈黙の発見

神聖(divine)とは
蔓状に延びた網状のブドウ(vine)の樹木のような
存在の神々しさを意味するが
忘れられた不確実な状態を永続させるために
有史以前からの擬似的な論理性に見せかけて
人々を承伏させてきた初源的でメタフィジカルな言葉である。

シナジェティクスは
言語の限界の発見からはじまる。
思考する道具としての言語によってその限界と発見は生まれない。
限界から湧き上がる行為は言語から生まれる行為とは異なっている。

シナジェティクスを探究する動機には
言語の限界からはじまる長い沈黙が含まれる。

思考する道具としての言語からこの沈黙は生まれない。

シナジェティクスは
あらゆる表象や記号とイメージ、
そして、条件反射のための記憶と経験とイデオロギーから
頭脳(brain)ではなく
精神(mind)を自由にするメタフィジックスである。

この包括的なメタフィジックスは
無数のシナジェティクスモデルを発見し
そのモデルが内包するモデル言語を
思考言語(thinktionary)に変換してきた。

そして、神聖幾何学のような初源的でメタフィジカルな言語は
シナジェティクスの包括的なメタフィジックスによって
破壊され、そして陳腐化される。

そして、このプロセスは今後100年間は継続するだろう。

それほどまでに
人々を容易に承伏させる初源的でメタフィジカルな言葉は
未来の思考をも満たしているのである。

思考言語(thinktionary)の翻訳

バックミンスター・フラーの『クリティカル・パス』は
哲学(メタフィジックス)や経済学の専門分野の知識から
(英語版の出版から17年間に日本の出版社が
複数回にわたって版権取得したにもかかわらず)
日本語で編集し翻訳できなかっただけではなく
数学や物理学の専門分野の知識からR.B.フラーの『シナジェティク』を翻訳すると
不適切で、しばしば空疎な誤訳になるのは
フラーの独自の造語や先行した独創的な理知からではなく
これまでの翻訳者自身の思考言語やその構築方法を
全否定しないからだ。

さらに、バックミンスター・フラーの日本語翻訳に関する超訳が
ほとんど成功しないのは
シナジェティクスやデザインサイエンスに対する理解度とそれに関連する語学力や
シナジェティクス・モデリングに関する包括的な経験不足だけではなく
フラーの独自の思考方法を生成する<思考言語(thinktionary)>を
日本語に変換できなかったからである。

シナジェティクスのモデル言語なくして
<思考言語(thinktionary)>は構築不可能である。

言い換えるならば、思考言語(thinktionary)の
シンタックスとセマンティックの相互変換は
日本語だけの問題ではなかったのである。