脱獄の概念から
固体的概念からの脱獄は
生まれないように、
デザイン理論から
デザインサイエンスは生まれなかった。
デザインの総合化と
統合されたデザインの発見の違いのように、
デザイン・サイエンスと
デザインサイエンスとの違いには
雲泥の差(world of difference)がある。
泥は土と水とが混じり合って形成されるが
雲は植物の葉から蒸発した水分が
遠隔的に移動し、
そして
浮遊できるように
電気的に生成される。
脱獄の概念から
固体的概念からの脱獄は
生まれないように、
デザイン理論から
デザインサイエンスは生まれなかった。
デザインの総合化と
統合されたデザインの発見の違いのように、
デザイン・サイエンスと
デザインサイエンスとの違いには
雲泥の差(world of difference)がある。
泥は土と水とが混じり合って形成されるが
雲は植物の葉から蒸発した水分が
遠隔的に移動し、
そして
浮遊できるように
電気的に生成される。
デザインサイエンスにはクライアントがいない。
科学的原理の探求にクライアントがいないように。
バックミンスター・フラーのデザインサイエンス教育プログラムは、
リダンダンシーを排除できないまま
「効果的なデザイン教育」をしている素振りを社会にプレゼンするような
堕落した教育産業的なサービスの義務から解放されている。
デザインサイエンス教育とは
<Trimtab>のデザイン方法の探求と共同性によるそのプロトタイプ制作である。
そのデザインサイエンス教育プログラムこそ、
『クリティカル・パス』の第6章のクリティカル・パス方から学ぶことができる。
『クリティカル・パス』バックミンスター・フラー著、梶川泰司訳 白揚社 2007
テンセグリティによって
形態学(morphology)に飛躍をもたらした
シナジェティクスは
形態学からテンセグリティという
構造システムを発見したのではない。
前例のないこの構造システムをもっとも鮮やかに説明する
doing more with lessという方法は
可視的な自然の観察方法から発見できなかった。
シナジェティクスを
複数の異なったモデリングから理解すると
短時間に科学、数学と工学
そして教育制度の欠点を発見できるのは偶然ではない。
そして、お金と富の違い、
そして産業と銀行と有価証券の特徴と役割などの
経済学の基本さえも理解できるのは
人間が引き起こすdoing more with lessでない<アブノックス現象>を
自然の構造と比較できるからにちがいない。
シナジェティクスは
不可視の自然に対する
もっとも包括的なメタフィジックスである。
それゆえに
もっとも直観的で信頼できる非・形態学である。
Circuit Pattern Tensegrity by R.B.Filler
Fig. 1033.019
In Anthony Pugh’s model 12 struts form four interlocking but nontouching triangular circuits.
The plane of each triangle of struts bisects the vector equilibrium which its vertexes define.
Each triangle of struts is inscribed within a hexagonal circuit of tensors.
どんな科学からでも
解釈可能な意味を生成する
最も単純な構造を
原理というならば
デザインとは
その意味と構造を
同時に調和させる直観的な方法だ。
シナジェティクスには
この方法をさらに増幅させる
クロノファイルという
タイムカプセルがある。
時系列的なタイムカプセルから
高度な経験の秩序化が生まれる。
梶川泰司
生き延びるために
食料代やエネルギー代を払い続けるという原理は
太陽系には存在しない。
バイオスフィアは
食料とエネルギーを
太陽エネルギーから変換できる唯一の場所だ。
そして
バイオスフィアの元素から
テンセグリティ・シェルターを個人が
アセンブルできる最良の場所だ。
化学的反応だけで
安全で完全なこのドメイン(=シェルター)は
最初にデザインされた
もっとも統合された既製品である。
広場や公園、パーゴラ、
屋上のビオトープやグリーンハウス、
どれも背戸には繋がらなかった。
みんな緑のエコロジーに囚われすぎていた。
背戸(=バックドア)は
いつでも開いている広葉樹の森への入口だ。
このドアから入る
分解可能なモバイル・テンセグリティシェルターを
デザインしよう。
森は移動する樹木たちのコロニーだ。
無線、無軌道、無柱、無管の
フィジックスとメタフィジックスを
携えた先駆者たちの
緑を超えたエコロジー。
デザインサイエンスは過去に為された種々の実験と独自の実験から
導かれた次の科学的思考に基づいて
もっとも包括的な具体的な方法と人工物をデザインしてきた。
1.
人類の高い生活水準が、日々の太陽エネルギーからの多様な派生物で
完全に維持できることは明らかである。
2.
この生活水準を達成・維持できる手段が、
パイプと送電線そして料金メータを介した少数の人間による大多数の搾取から
人間を解放する人工物であることは明らかである。
クリティカル・パスはアンチ・アブノックスである。
(パイプと送電線そして料金メータは20世紀以後の最大のアブノックスである。)
結果的に、
上記の科学的思考はつねに最新のクリティカル・パス方を更新することができる。
第2次世界大戦が開始される2年前、
バックミンスター・フラーがイギリスの産業都市に対する大量爆撃の予測に余念のない
スコットランドの政治指導者からの依頼で提案したのは
大量生産できるワンルームの小さな自律的な居住装置だった。
それは開発済みだったのである。
カンザス・シティーにあるバトラー・マニュファクチュアリング社で大量生産している
亜鉛メッキされた鋼鉄でできた直径六メートルの穀物貯蔵庫を、
耐火性と耐震性があり、適度に断熱され、灯油で稼働する冷蔵庫および石油ストーブ、
そして既製品の家具類を備えた即時入居可能な
自律的ユニット(当時1500ドル)に転換する方法で、
その自律的な居住装置はデザインされていた。
数千基のダイマクション展開ユニットを
確実に都市から退去させられる住民の宿泊施設として
スコットランドの荒野に設置するフラーの計画案に
その依頼者は疑問を抱かなかった。
バックミンスター・フラーは、
可能な限り「既製品を使う」デザイン理論を
ダイマクションカーの開発時から一般化していたのである。
この20世紀のデザインサイエンスの手法こそ、
21世紀の緊急災害時だけではなく
平時においても広く利用可能である。
シナジェティクス研究所 梶川泰司
コンピュータでデザインする人は実に多い。
たいていの構造も
CAD(computer-aided-design)でデザインできる。
シナジェティクスの発見は
コンピュータで支援されるデザインよりも
モデリングで支援される概念モデルに依存している。
このMAD(model-aided-design)デザイナーは
アプリケーションではなく、
構造と意味を統合する
メタフィジックスに属している。
直観的なMAD(model-aided-design)で到達する
シナジェティクス・モデルは
思考言語(thinktionary)でのみ記述可能である。
自然はテンセグリティ構造を再生システムとして採用した。
人類のこれまでの固体的住居を構成する殻や壁は、
圧縮材ではなく張力材として機能すべきだ。
そして、テンセグリティ構造は、
周囲の環境と共存した状態を形成するために常に振動するシステムだ。
自然が振動というDo More with Lessを採用する時、
振動は構造を常に軽量化すると考えられる。
Doing More with Lessは、張力材を構造に包含させるための、
構造デザイン上で最も効果的な方法論になる。
<角度と振動数(=分割数でもある)はテンセグリティ構造に変換できる> Y.K