シナジェティクス講座」カテゴリーアーカイブ

振動する球面

テンセグリティは
ギリシア人の考えた球の概念に基づいて
同一球面に内接すると思われているが
中心からその球面までの
すべての半径が同一になる
瞬間は存在しない。

なぜなら、テンセグリティは外力を受けて
つねに振動しているからである。

本質的に振動するテンセグリティは
時間の経過によってはじめて
統計的に非固体的な球面を形成するのである。

球面は同時には存在しない。

解説 梶川泰司

Fig. 770.11 System Turbining in Tensegrity Structures:by RBF

シナジェティクスと独創性

<独創性(originality)>とは
“新しい場所に置かれた元々の原型”であるとされるが
自然の構造とパターンの前では
それは言い逃れに過ぎない。

<独創性>から
この言い逃れが排除できないのは
この語が、
時系列的なタイムカプセルから
高度な経験の秩序化が非同時的に生まれる瞬間を
まったく表現していないか、
あるいは
表現しようとしない言葉だからだろう。

<独創性(originality)>は
人間のアイデアが
幾度も物質へと変換されていく過程において
デフォルト言語の破壊を好まない社会構造が抱いている、
個人に対するある種の幻想である。

シナジェティクスはこれらの幻想から
絶縁している。

<独創性>から生得的な領域(ドメイン)が奪われて久しい。

シナジェティクスが発見する自然の構造とパターン以上に、
人間の独創性を否定する「秩序」は存在しない。

それゆえに、
シナジェティクスは
自然の構造とパターンに関する思考辞書(thinktionary)の
編集方法 ―『Synergetics vol.1,2』編集で使用された最初のハイパー言語とその形式―をも
発見しているのである。

シナジェティクス的思考(thinktionary)

シナジェティクスの発見は
思考方法の曖昧さを、
回避する以上に破壊しなければ
到達できない原理の探求方法(thinktionary)の発見を伴う。

この20世紀に発見された
モデル言語から始まる探求方法は
しばしば
思考自体に潜む言語の論理的構造でさえ
躊躇なく破壊してしまう。

しかしその破壊された言語は
個人の生得的な文法から
構成されていなかった可能性がある。

なぜなら、
発見された原理からは
自然の論理的な相互関係を理解できるが
この原理の探求方法のほとんどは
非論理的であるからである。

人間の理解とは
遅れてやってくる論理的な事後承諾でしかないのかもしれない。

唯一、
電磁誘導的な直観による理解を除いて。

シナジェティクスとクロノファイル

どんな科学からでも
解釈可能な意味を生成する
最も単純な構造を
原理というならば
デザインとは
その意味と構造を
同時に調和させる直観的な方法だ。

シナジェティクスには
この方法をさらに増幅させる
クロノファイルという
タイムカプセルがある。

時系列的なタイムカプセルから
高度な経験の秩序化が生まれる。

梶川泰司

MADデザイナー

コンピュータでデザインする人は実に多い。
たいていの構造も
CAD(computer-aided-design)でデザインできる。

シナジェティクスの発見は
コンピュータで支援されるデザインよりも
モデリングで支援される概念モデルに依存している。

このMAD(model-aided-design)デザイナーは
アプリケーションではなく、
構造と意味を統合する
メタフィジックスに属している。

直観的なMAD(model-aided-design)で到達する
シナジェティクス・モデルは
思考言語(thinktionary)でのみ記述可能である。

2011年度 デザインサイエンス講座開講の準備 その3

社会経済の問題を解決するための
政治的な手段ではなく、
アーティファクトの発明と開発だけを手段として
デザインサイエンスの目的を続行するうえで
不可欠となる作業項目を日々遂行するには、
お金ではなく、<食料、エネルギー、シェルター>が必要だ。

食料とエネルギーとシェルターを
すべて同時に十分に与えられていない
個々人にとって
他人からの贈与や補助金、
そして貯蓄など当てにしないで
アーティファクトを唯一の手段として
問題を解決する責務に耐えるだけの
時間と経費を計算できる包括的能力は
最初の重要なノウハウである。

このノウハウを実践的な行動によって習得するのが
デザインサイエンス講座である。

ノウハウという実際的知識の習得プロセスにおいて
お金ではなく、<食料、エネルギー、シェルター>が必要だという
経験に基づいた認識は、
自己のテクノロジー(=自己規律)に属する。

テクノロジーの起源

どんな生命にも容認される方法で
基本的な環境の変化に適切に意識的に関与できる
テクノロジーを人間はつねに発見してきた。
「宇宙はテクノロジーである。」RBF

この神秘に驚嘆することから科学は始まるだろう。

しかし、それを容認できない超専門家たちを
生み出しているシステム
つまり、テクノロジーこそは
人間が創り出した頭脳の産物だと考えている集団が
イデオロギーに無関係に存在することは
じつに驚異である。

グランチは
頭脳明晰な若者から
神秘からの真の動機付けを破壊する
心理学の超専門家を抱えている。

2011年度 デザインサイエンス講座開講の準備 その1

太陽光から直接得られた電力のみによるパリからイギリスへの飛行には、
ドーバー海峡横断飛行に使用された
人間の筋力を動力とした翼長29mの人力飛行機
(炭素繊維アロイの構造とマイラー製の皮膜の総重量は32キログラム)が
最初にデザインされなければならなかった。

自然エネルギーの使用には、
doing more with lessによる
機能に対する重量の劇的な軽量化が絶えず要求される。

デザインサイエンス講座(☆註)では、
この40年前の科学的方法を
テンセグリティ・シェルターに適応させるための
複数のシナジェティクス原理の包括的理解から始まる。

☆註
原則としてデザインサイエンス講座は、
シナジェティクス入門講座を履修した講座生、
および
シナジェティクス・ワークショップの参加経験者を対象にした実践的講座。

デザインサイエンスは緊急時を待たない

われわれが包括的(comprehensive)に思考することは稀である。
21 世紀の惑星地球人は予測できなかった局所的な残酷さに
脅えはじめている。
恐怖心から問題を理解できても解決策は見つからないだろう。
問題を専門家が独占しているかぎり。

デザインサイエンスは緊急時を待たない。
デザインサイエンスは、緊急時のためのテクノロジーに備えるのはなく
目的論的テクノロジーに自発的に対処する。

自発性こそは、
緊急時の道具に包括的なデザインが反映される唯一の方法である。

包括的とはつねに全方向的である。  梶川泰司

シナジェティクス教育論 その1

教育のほとんどの過程は
教えることが目的である。

教師はその過程で
学ぶ学生から相互作用をほとんど受けない。

それは、
教師不在でなされる効果的な学習方法が
教師組合によって除外されてきたからだろう。

デザインサイエンス講座では教えることを目的にしない。
なぜなら、デザインサイエンス講座とは、
新しい原理を発見しその原理の再現性を目的にした、
つまり
物質を如何にメタフィジックスでコントロールするか、
についての探求だからだ。

原理を応用する以前の過程である、
原理発見にまつわる方法論は
ほとんど教育不可能だと思われている。

しかしこれも、
単なる組合内部の多数決によって採択された
便宜にすぎない。

☆図版解説ーーーーーーーー梶川泰司

真実と美、そして対称性との相互作用からでさえ
メタフィジックスの探求は十分ではない。

それらと自己(=観察者)との関係性を
統合的に形成するには、
異なった相互の関係性が少なくとも6個存在しなければならない。 

Fig. 542.02 Tetrahedral Analysis of Plato’s Triad
Fig. 542.02 Tetrahedral Analysis of Plato's Triad