テンセグリティ・モデルの作り方

テンセグリティ・モデルの設計方とその制作には、
その人のテンセグリティの概念の理解の深さと
エンジニアリング(engineering)のほとんどすべてが表れると考えてよい。
構成要素の単純さとその相補性から生じるために
人為性から定義するデザインの限界が、すべて見えてしまうからだ。

エンジニアリングとは内部に生じさせる巧みな処理力である。
内部から生じるこのベクトルを無視したり、
テンセグリティ概念をその起源からの理解を軽視すると、
骨と筋肉と言った生物的アナロジーや
非連続の連続と言った量子物理的アナロジーで満足することになる。
さらに反家父長的社会構造といった社会学にまで拡張すると、
すべて純粋な存在が具体性に置き換えられていく過程で生じる重大な誤謬について
無視できなくなるだろう。
なぜなら、発見者と発明者( 1927年のバックミンスター・フラー以上には遡れない)は、
そのようなアナロジーとはたいてい無関係に発見または発明をしているという事実である。

ではいったい何に触発されてそれが可能であったのか。
私には、人間のデザインを越えたテクノロジーを受け入れているか否かで
エンジニアリングのベクトルの向きが決定されているとしか思えない。
内部へか外部へかである。
内部が enginneringならば、
外部は exgineeringが対応するが、辞書には存在しない言葉である。

テンセグリティ・モデルほど作る人のエンジニアリングの度合いを表すものはない。
そして多くのデザイナーがテンセグリティモデルに挑戦するが、
主にexgineeringの度合いを高めたデザイナーは、
伸度の高いテンション材を選ぶだろう。形態だけは急いで複製できるからだ。

テンセグリティ・モデルは高度な単純さと高潔さを具現する。
『コズモグラフィー』を代表する原理モデルだ。
けっして高級なコーヒーテーブルに甘んじることはないだろう。
テンセグリティは人類の2億戸の住居のために生まれたのだから。