シナジェティクス・モデルを決定するのは、
自然の原理の理解だけではなく、
自分自身をいかに理解しているかということである。
包括的理解は、天球儀の外部から星の配置関係を観察する行為に共通している
観察者の視点の移動を伴う。
かつては神の目と言われたこの操作は
内部と外部の反転操作として理解できるが、
現象の記述には意味的な鏡像対称性がないように感じられるだろう。
このことが、同じ原理を2つの異なった現象として捉えてきたのである。
1944年、シナジェティクスはベクトル平衡体とその回転軸モデルとの相違を発見した。
あらゆる環境条件と出来事を観察する場合の相対性の発見が
バックミンスター・フラーの<操作主義>の独創性を表している。
「従来の科学における視点とアインシュタインの視点(そして結果的に利用した方法論)とのちがいは、
〈制御された条件〉内に隔離して実験をしようと試みていた従来の科学とは対照的に、
実験に付随するあらゆる環境条件と出来事をつねに包括的に考察の対象としていたことにあった。」
『コズモグラフィー』(バックミンスター・フラー著、梶川泰司訳 P.52 白揚社)