モントリオールドームは妥協の産物かもしれない。
決定的なことは、分解できないデザインとして大地にインストールされたことだ。
もし移設できるデザインをアメリカ情報局が採用していたら、
NASAのバイオスフィア計画よりも 20年早く人工気象の実験がはじまり
イギリスのエデンドームよりも30年早く、透明な皮膜が集合住宅に採用されていただろう。
バックミンスター・フラーのデザインした構造物の初期の図面と比較すれば、
彼が妥協しなかったときはないと考えられる。
しかし、ディテールが財源的に蒸発しても
彼の基本デザインなくして達成できなかった手法だけが残った。
彼の基本デザインのすべては数学的原理に関与している。
(モントリオールドームを覆った可燃性のアクリル板は非構造的なディテールデザインに属する。)
数学原理の懐胎期間は建築家のどんなディテールデザインよりも長い。
実際、モントリオール後のフラー以外の建築家や企業によるジオデシックドームは模倣の産物だ。