年別アーカイブ: 2007年

量子幾何学としての『コズモグラフィー』

音楽家は、「言葉では到達できない、その先の世界が音楽の素晴らしさ」という。

波と粒子の二重性から発見された非言語的世界は、量子力学の到達点ではない。
マックス・プランクは、波のエネルギーがhvの整数倍に制限されるという「量子仮説」を導入して
波の振幅が連続的に変わるという矛盾を解消したが、
不連続の連続という概念を形態化できるとは考えていなかった。
物理学は、エネルギーの形態化を放棄している。

不連続の連続は、バックミンスター・フラーのテンセグリティ理論によって
初めて視覚化され、
さらに体積の整数比を具現化するシナジェティクス・モジュール群によって、
空間充填の新しいた最小単位が証明された。

『コズモグラフィー』—シナジェティクス原論
(R.バックミンスター・フラー (著), 梶川 泰司 (翻訳) )は無矛盾な有理化されモデルによる量子幾何学論だ。

シナジェティクス講座では『シナジェティクス』以後に発見された
5回対称性のモジュール群によるアイコマトリックス(icomatrix)の空間充填システムも
扱う。
最小単位間に黄金比を介在させた新たな相補性の原理が潜んでいる。

シナジェティクス入門講座 お知らせ

シナジェティクス入門講座の第2期生のガイダンスは
以下の時間帯で行っています。


9月19日(火曜日)から22日(土曜日)
午後4時、または午後9時
の時間帯からご希望の時間帯を2通り選んで
黒野 迅<info@synergetics.jp>
のアドレス宛てに
ガイダンスの予約申し込みをしてください。


同時に、
御名前と御住所を明記してください。
電話またはスカイプまたは ichatの中から
御都合のよい連絡方法とアドレスなどを指定してください。


返信メールにて確定した時間と指定して頂いた方法に対応した
シナジェティクス研究所の電話番号またはスカイプ名または ichat名をお知らせ致しますので、
予約時間通りに上記の選択した連絡方法にてご連絡ください。

プログラムなどの詳細は梶川泰司が直接説明いたします。

また、
第2期のシナジェティクス入門講座に使用する主なテキストは
『コズモグラフィー・シナジェティクス原論』(バックミンスター・フラー 著、梶川泰司 訳 白揚社 2007)
http://www.amazon.co.jp /コズモグラフィー―シナジェティクス原論-R-バックミンスター・フラー/dp/4826901356/ref=sr_11_1 /250-7986946-4665019?ie=UTF8&qid=1189905642&sr=11-1
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4826901356.html
http://www.junkudo.co.jp/view2.jsp?VIEW=author&ARGS=%8A%81%90%EC%81%40%91%D7%8E%69
です。

シナジェティクス研究所
黒野 迅
http://synergetics.jp/

シナジェティクス入門講座

テンセグリティは工夫すればだれでも制作できる。

しかし、テンセグリティを美しいオブジェとして捉えるかぎり、
そして、テンション材にゴム材やステンレスワイヤーを使用する
擬似テンセグリティに夢中になっている限り、
テンセグリティの破壊実験を見ないで死ぬ人は減らない。

30-strutsのテンセグリティ球から張力材を6本程度ランダムに切って
それでも依然、球状を保っていれば、
テンセグリティの本質的なすべての機能が実現されていると考えていい。

この実験から誰でも
テンセグリティ概念が理解できるだろう。

吊り下げられたモデルを寝る前に一瞥する生活も悪くないが、
宇宙を理解するために、
つまり、死ぬまでに、テンセグリティモデルの破壊実験を
試みることには賛成だ。

有機的生命体でなくともシナジーは具現化されているのだから。

シナジェティクス研究所が開催する
シナジェティクス入門講座は
こうした経験に基づいた
数学的構造的な絶対的証明を駆使しながら
サイバー的な自己学習と体験的オリエンテーションを織り交ぜた
最初の包括的な教育プログラムである。

シナジェティクス原論『コズモグラフィー』(バックミンスター・フラー著、梶川泰司訳 白揚社 2007)を
テキストにしたシナジェティクス入門講座では
現在第2期生(10月下旬開始 前期3ヶ月コース)の募集を開始している。

尚デザインサイエンス・プロジェクトコースも同時期に開始する予定である。   Y.K


シナジェティクス入門講座の問い合わせ;
シナジェティクス研究所
黒野 迅<info@synergetics.jp>まで

テンセグリティと表面

張力は表面に移動しやすい。

さもなくば、内部に進入して圧縮的な外部によって包含されるかのどちらかである。

例えば、竹の青い部分の表皮は内皮以上に張力を生成するように
繊維の強度高くなる。繊維のと密度が、竹の弾性を支配している。
そして内部の文節的な円筒状の空洞化によって、構造はさらに強化される。

人類などの脊椎哺乳類は、筋肉や腱という張力材を外部において
むしろ骨格という圧縮材を保護し、
張力材によって圧縮材を相互に連結する。
人体学習用の骨格モデルのように、圧縮材だけでは自律しない。
骨格モデルは固体的すぎて非現実的だ。

固い圧縮材は主に内部に形成されるが、
頭蓋骨だけは、柔らかい脳髄を密閉して外部から固く保護しているように見えるが、
縫合によって外力と応力を分散し頭蓋骨の直径の成長を調節している。

一方、高圧の海底を移動する蟹などの甲殻類は、固い殻で張力と内部の内臓を保護した。

現代のハイテクを代表する固二足歩行ロボットのメカニズムは、
節と関節で構成されるリンク機構であり、関節はモーターで駆動される。
リンクとは剛体による構造物のことである。

ロボットの固いモノコック的な外壁は、こうしたメカニズムの保護と固体的な剛体をつくり出している。

しかし将来、剛体的な構造物はテンセグリティ構造にとってかわるだろう。
柔軟な強度をもったテンセグリティシステムは、高度に単純化された宇宙の原理であり、
やがてもっとも進化したハイテクロボットの運動原理として受け入れるだろう。

なぜならわれわれの人体は、骨格と筋肉という相補的な構成要素から
つくられたテンセグリティ構造だけではなく、
すべての細胞が、すでにテンセグリティ構造として
自律的な最小単位の集積から形成されているからである。
人体の強度は、筋力以上に細胞レベルのテンションに依存している。

そして動脈と静脈、それから無数に枝分かれし
組織に網の目のように張り巡らされた毛細血管は、
圧力調整によって骨格に代わる圧縮の機能を形成しているのである。
毛細管の総長は地球を2周半もあるが、テンション・ネットワーク、
つまりテンション材の総長はそれをはるかに凌駕する。

これこそは、全体構造をより軽量化しながら
なおも強度や剛性を高めるための原理だ。

これはシナジェティクス・モデルから証明可能だ。

科学・技術史

科学・技術史を編纂するアカデミズムの科学史家たちは
実はジレンマに陥っている。

たとえば、長岡半太郎の原子核モデルが、
ニールス・ボーアより早く概念化されているにもかかわらず
世界の科学史に異論を唱えられないような立場が
国境別の科学史家に生じているからではなく、
科学史に残るほどの重要な発明発見ほど、
大学の外で成されてきたからである。

主要産業国が個別に作成した科学・技術史を比較すれば、
より明確に資格のない科学者や発明家たちによって
形成されているのがわかるだろう。

マンハッタ計画に参加し、アラモゴードで原爆を技術的に可能にした
発明家の一人はイギリスで原爆製造に関する最初の特許出願をしている。
科学・技術史ではこうした事実こそ抹消されたままだ。

この惑星の教育課程では、真実に基づいた科学・技術史は
けっして公開されない。
公開された歴史は、戦争映画のように編集されているだろう。

教育を、ひたすら貨幣のように資格を発行する機関に求めた代償は
発見・発明を自己評価する独創性をつねに減らすことになった。

発見・発明は個人によってのみ実現できるにもかかわらず、
世界権力機構(=グランチ)によって独占されるのは、
個人こそが真の産業上の膨大な利益を生んできたからである。

その結果、事実は分断され、破壊され捏造されている。

(追記;それゆえに、真の構造(テンセグリティ構造)の歴史を
編纂するアカデミズムの科学者はナノチューブの研究者を含めて存在していない。)

本邦初・完全版『コズモグラフィー』

『コズモグラフィー』の出版は最終段階を迎えた頃は順調であった。
8月24日刷了、8月31日製本終了。
9月3日取次見本、9月6日か7日に書店に配本となり、
9月中旬に全国の書店に並ぶ予定。
シナジェティクス講座生には今月のシナジェティクスキャンプ時に
少し早く配本される。

本邦初の完全版『コズモグラフィー』には、明確に翻訳された
フラー自身の解説ばかりではなく、
追加されたシナジェティクスから引用された豊富な図版と解説が含まれている。
私たちは430ページを超えるそれらの翻訳編集に5年の歳月を要した。

そして、フラーのスーパーバイズのもとで1983年まで2年間進行していた
当時の私の研究とその後の理論形成をより分かりやすくするために、
書き下ろしの論文(38ページ)が含まれている。
<対称性の破れ>をシナジェティクス原理から初めて解明した論文である。

超軽量テンセグリティ・シェルター

予測されたように台風は巨大化している。
風速40mで人間は歩行できないばかりか、
空中に飛ばされてしまう。

時速200キロで走行する自動車は
約風速60mの風の抵抗を受ける。

しかし、風速120mの風でも吹き飛ばされない超軽量シェルターはデザインできる。
この構造にはテンセグリティ・システムのみが採用される。

圧縮材にはつねに圧縮力が、
張力材にはつねに張力がかかるようにデザインすることはテンセグリティの基本だ。
この場合に使用されるテンション材は、
弾性のあるゴム材などではないことは実験で確認できる。

出生率

21世紀の人口爆発は農村部ではなく都市部での貧困層で起こっている。

バックミンスター・フラーは、ワールドゲーム理論による長期的な統計調査で、
電気エネルギーの利用度の向上にしたがって、
出生率は低下することを発見した。

地球が自転している以上、地球の反対側では
交互に彫像できない電気エネルギーが捨てられている時間帯がある。
そして、人口爆発を制御するためのもっとも優先されるべき効果的な方法として、
全世界の農村と都市で、電気エネルギーの利用度を向上させる
全世界的な球状エネルギー・ネットワークの構築を提案した。

都市部に集中する33億人のなかで、より急増していく貧困層の人々は
つねに家賃と電気料金を支払うことができない。
出生率の低下のための手っ取り早い手段として
避妊具を無料配布することではないことは明らかだ。

しかし、国連では、最近人口の制御のために
住宅と避妊具の提供を計画している。

エネルギー・ネットワークの分断状態は、人口爆発の原因であるばかりか、
二酸化炭素の増加そのものだ。

そして、エネルギーネットワークの統合によって、
原子力発電所の建造はいっさい不要となるという
30年前の予測的デザインサイエンスの包括的解決方法は
ますます意味を持っている。

そしてこれが『自己エコロジー』(仮題)の主題である。

テンセグリティ(tensegrity)vs包括的進化論

バックミンスター・フラーはシナジーという言葉をつくったのではない。
薬学の専門用語に註釈を加えたわけでもない。
シナジーという概念を証明する物理的なシステムを発見したのである。
包括的デザイナーは科学者や哲学者よりも前に
普遍的な可視的「構造」を発見したのである。
それ以後のアカデミックな「包括的進化論」哲学のすべては
シナジーの註釈にすぎなくなった。

しかし、彼らはテンセグリティをシナジーの物質化とは考えていない。
彼らの書斎にいまだにテンセグリティモデルがない理由である。