テンセグリティの振動数(frequency)

30本の圧縮材からなるテンセグリティ球の各張力材に
ターンバックルを使用し、そのターンバックルを回転させて
すべての張力材に徐々に張力を増加させていく場合、
弦楽器の弦のように張力材を弾く毎に、
弦が発する音はより高音になっていく。

そして、ついにわれわれの聴覚では聞き取れないほどの音域に達する。
この段階を体験すれば、だれでもテンセグリティ球が
柔軟さのない剛体(rigidness)を形成していると感じるだろう。

言い換えれば、剛性のある構造は、
冗長度(redundancy)からではなく、
聴覚的に変換できないほどの超高振動数(frequency)によって形成される。

基底状態にある原子の発する光が、
特定の振動数のみに限られるのは、同じ理由からである。

そして住宅は、この剛性を木材やコンクリートや鉄に求めてきたが
それはつまり、振動を打ち消すことを
補強材という冗長度に求めてきたからである。

自然は構造に補強材を使用しない。
自然は構造に振動数を利用する。