テンセグリティの作り方ーーー穴だらけのニューマチック

私がシナジェティクスを学び始めた頃、
丸善の洋書で見つけたテンセグリティ・モデルの写真から直ちにその再現を試みた。
自宅のあらゆる場所に、そのコピーを貼り付けてみたが製作方法は、
すぐには見つからなかった。

それから、様々なテンセグリティのタイプと大きさ
(最大直径は1995年の直径11mの展開型テンセグリティ・シェルター)を制作してきたが、
一度もテンション材に、エラスティックなゴム材などは使用したことがない。

2点間距離を可能な限り維持できるようにデザインすることが、
テンセグリティの力学的特性をより本質的に再現できるからだ。
力学的特性とは、柔軟な強度である。
すべての固体でさえ原子間は振動している。
原子間には見えない引力がある。
引力は断面積ゼロの張力である。
これを弾性体に置換すると、柔軟な強度は失われる。
柔軟な強度は、シナジー作用である。
構成部材の物質の特性からは推測できないのである。

テンセグリティの作り方のレシピをネットからコピペしてくる場合、
シナジー作用を捉えきれない構造原理の欠陥も複製される可能性がある。

新しい情報を共有することは、
自らの動機に遭遇することよりも簡単な時代に移行した以上、
インターネットが(もちろん、YouTubeも)ない状況で試行錯誤することは、
言い換えると、何でも自分で考えるしかない状況を意図的に作り出すことは、
本質的なテンセグリティを再現することにも関係する。
テンセグリティ・モデリングは、
関係の統合性を物質的に置換する包括的な行為である。

まだ高価なポケット計算機によって、
球面三角関数が10桁まで扱えることに驚喜した時代よりも、
さらに25年もさかのぼった1949年にバックミンスター・フラーは、
テンセグリティの圧縮材の純粋な不連続性を物理的に証明した。

短命なデザインの対極に到達したテンセグリティ・モデルは、
落下しても、その落下距離の少なくとも半分程度はバウンドするはずである。
ハイテク素材で適切にデザインされた超軽量の人力飛行機が、
条件が整えば数十キロメートル以上は飛行できるように。

テンション材がゴム材から構成されないかぎり、
ボールの球面を覆う皮膜素材の総重量よりも、
テンセグリティの構造材の総重量の方が、相対的に軽量に、かつ内部をより高圧にできる。
だから、テンセグリティはボール以上にボールのように弾む。
テンセグリティは、穴だらけのバーストしない
最初の空気皮膜構造体(ニューマチック)である。

したがって、テンセグリティが繊細で壊れやすく見え、実際に壊れる場合は、
テンセグリティ・モデルの構造原理の理解とその製作方法によるだろう。
(一カ所でもゴムバンドが切断されると、全体が一気に崩壊するインターネット上の
疑似テンセグリティモデルは、人力飛行機で言えば機体の構造上の設計ミスから
無惨にも墜落する機体に似ている。)

そして、もしテンセグリティが軽量ゆえに構造的に脆弱ならば、
われわれの60兆個の細胞にインストールされなかっただろう。