理論的なアイデアをもつに止まらず、
それを実行しなければならない。
それが真の戦略である。
どんな理論的なアイデアも
ハードウエアに結晶化できる。
あるいは、
ハードウエアを介在させることによって、
最終的に主要な機能を不可視にまで変換できる。
自然がそうしているように。
理論的なアイデアをもつに止まらず、
それを実行しなければならない。
それが真の戦略である。
どんな理論的なアイデアも
ハードウエアに結晶化できる。
あるいは、
ハードウエアを介在させることによって、
最終的に主要な機能を不可視にまで変換できる。
自然がそうしているように。
最悪のことを考えて、
なおもポジティブでクリティカルに行動するデルス・ウザーラは、
バックミンスター・フラーのデザインサイエンスの包括的な方法と重なる。
最悪とは、もっとも包括的な想像力で描かれる。
専門家は最悪のことは、苦手だ。
最悪の情況は、同時的かつ非同時的に、
そして連続的かつ断続的に
生成され、その経路は最長になる。
デルス・ウザーラは、タイガの森で生き延びた猟師として演じられたが、
彼の先祖はロシア沿岸部をカヤック(=バイダルカ)で移動する海の民だった。
それゆえに、20世紀最初の張力を応用した最初の正4面体状の軽量シェルターをデザインできたのだろう。
このシェルターの軽量と分解機能は、
最悪の情況を回避するための最重要な機能の一つだ。
そして、デルスは誰よりも(つまり、軍隊よりも)天然素材を含む
既製品を利用する包括的な知恵に長けていた実在の人物である。
もっとも創造的な木工技術は、一本の樹木自体に備わっている。
無数の葉を受光させるために枝を水平に伸ばすには、
大枝の幹の部分には数トンの圧縮力と張力がかかる。
そして、葉脈まで水分を循環補給させるための導管は、
水で満たされた圧縮機能と同時に、
木質素からなる側壁の曲げに対する張力機能を形成している。
水と導管は強度の向上をコントロールする主要構造要素である。
多くの人々は材木を利用した構造物に住んでいるが、
強度と柔軟性が調和しないので、
大地震でほとんど倒壊してしまう。
自然の木工技術を模倣できていないのである。
成長しながらも維持される樹の強度と柔軟性を、
物事にも適応させることは、
圧縮力と張力の分離と統合に関する
一般化されたテンセグリティ技術である。
ブナの葉は、一日1トン以上の水分を蒸発させる。
大地震が来るたびにモービルホームの生産は開始されるが、
大恐慌が来る前に、生産を開始する必要性に関して
バックミンスター・フラー以上の予測はこの30年間存在しなかった。
移動式住宅の生産にこそは、
地産地消が不可能なメタボリック・デザインが効果的である。
移動可能な住居こそが、エコ住宅である。
「・・・・人工物デザイン計画の優先順位で
世界的電力ネットワーク統合の次にくるのは、
当面は地理的に固定されている世界中の人間の活動のための、
物理的環境を制御する装置である。
人間の活動は、自動車、バス、鉄道、航空機、衛星といった
迅速に移動する環境制御人工物とは対照的に、固定されているのである。
都市の超高層ビルは静止して見えるので、
それらの部品がすべて遠隔地から輸送されてきており、
また、そういった部品と素材の多くは製造とその組み立ての過程で
何度も相互に輸送を繰り返している事実に気づいている人はあまりいない。
1980年の時点で、アメリカの平均的家庭は3年ごとに住んでいた町を出て、
新しい場所へ転居した。彼らがそうするのは主として、
移動した工場やオフィス、そして新しい空港やショッピングセンターが
もたらす地域生活の利便性に合わせて、
人間の生産機能を再調整するためである。
私が移動式住居について語るとき、それはショッピングトレーラーや
テントを指しているのではなく、
長期にわたって地理的に固定しておくこともできるが、
どんな距離でも広い範囲を容易に、
そして経済的に輸送でき再設置可能な住
居のことを指している。」
『クリティカル・パス』第10章から引用
バックミンスター・フラー著 梶川泰司訳 白揚社2004
物質を互いに結びつける力は、不可視である。
重力は、本質的に不可視である。
宇宙の統合性は、つねに不可視にデザインされている。
しかし、統合性のふるまいに関しては
理解可能であり、
計量可能で、永遠に信頼できる。
テンセグリティは、最初の可視化された圧縮と張力の統合性を示している
テンセグリティモデルが、単なる概念モデルではない所以である。
これはもっとも神秘な現象の一つといえるだろう。