構造化とは何か2ーーテンセグリティの機能

鳥は飛行するための美しい構造を持っている。
しかし、歩くときは実用的ではない。

美しければ実用的ではないし、
実用的であればきっと美しくない
これまでの専門分化した人工物の構造と違って、
テンセグリティ構造は、人間のデザインしたシステムではない。

原子核構造が理想的かつ経済的であるように、
テンセグリティ構造は、発見された究極の構造システムである。

酸素または水素自体の性質のなかに、水の性質はいっさい存在しない。
それぞれの気体が2対1で化学反応する条件が発見されたにすぎないように、
圧縮材と張力材とのシナジー作用が発生する条件は発見されたが、
なぜ作用するかは神秘に属する。

化合物としての水の性能は、
たとえば固体、液体、気体に変容する以外にも数百種類も発見されている。
現在も未知なる化合物である。

テンセグリティ構造の再現のためのデザイン過程には、
経験的な包括的理解のみによって、
圧縮材と張力材とのシナジー作用を予測する能力とその実験が要求される。

それは、合金を発見する科学者のような方法論に近いだろう。
合金の生成は形態デザインには含まれない。
言い換えれば、人間が物質をデザインできる可能性は
複数の原理間の調和以外、ほとんど存在しないことを理解することになるだろう。