月別アーカイブ: 2010年7月

シナジェティクスモデル&縮尺モデル

一般的にスケールモデルとは、複製技術を前提にした場合、
実在する静的または動的な「メカニズム」を、
縮尺に基づいて作製した模型を意味してきた。

しかし、その模型が実在の機能までも備えていることは稀である。
実際、飛行しない航空機のスケールモデルや
走行しない自動車のスケールモデルをみてもわれわれは驚かない。

シナジェティクスモデルはスケールモデルではない。
大きさから独立しているばかりか、
「構造とパターン」がすでに実在する機能を自動的にかつ自律的に形成している。

一方、われわれは,機能を備えた
実在する原子核構造の拡大モデルを
制作することは不可能である。

シナジーは縮尺に基づいて作用しない。

デザインサイエンス的認識

デザインサイエンスは、
認識上のまたは実行段階における誤りを
頻繁に発見できる方法の確立に注目する。

個人の生得的な勇気が、
そして真実の重要性の意識が
自尊心の意識よりも
大きい場合にのみこれらの誤りは認められる。
そうして
ただ、偶然に何が真実なのかを発見する。

この方法論は
従来の工学理論や芸術工学的理論には存在しない。
(そもそもギリシアにおいて、アートとは技術の在り方を問う認識論を含んでいた。)

この計画的偶然(=プリセッション)を
クリティカル・パスに導入することは可能である。

道具の奴隷

有限要素法を使いたいがために
建築家と構造家は複雑な曲面のある高価な建築に挑戦する。
なぜなら、金持ちが喜ぶからだ。
http://aedesign.wordpress.com/author/christopherlawrence2009/

掃除機を使うために
部屋を汚す生活者がいるだろうか。

(この段階ではとうてい有限要素法はテンセグリティの機能を理解していない。)

必要な既製品がない場合にのみ
デザインサイエンスは方法という道具さえデザインする。

デザインサイエンスの包括性

デザインサイエンスには最長の学習過程が要求される。
超専門化過程だからではなく、
包括的な思考と実践に関わる修行期間は
少なくとも12年間である。

その修行に使用されるテキストは
『コスモグラフィー』,『 シナジェティクス』,『クリティカル・パス』
そして、バックミンスター・フラーの特許明細書である。

包括的理解には無数のシナジェティクス・モデリングが不可欠である。
しかし、シナジェティクス・モデルに関するテキストを最初に読むべきではないだろう。
映画のシナリオを読んでからだれも映画を見ないように。