月別アーカイブ: 2011年8月

デザインサイエンティスト

人類最長の学習過程を必要とする
デザインサイエンスにおいて、
芸術家・科学者を自認する
それらデザインサイエンティストは、
40歳代までに数学や科学の分野で
まったく新しい独自な研究を見出せないならば、
最終的に<普遍的な生活器(livingryまたはTrimtab)>
のデザインを生み出すまでには至れないだろう。

そのデザインにおける普遍性こそは
自ら発見した自然の秩序と複数の原理間との
統合性から生まれる
非物質化(=エフェメラリゼーション)の度合いで決定される。

この非物質化への挑戦、
つまり
バックミンスター・フラー死後40年間に渡り
デザインサイエンスの歴史が生んできた
<普遍的な生存のためのTrimtab>は、
総合性を自負する”学際的科学”から
ついに生まれなかった。

彼らの目指す独創性と
人類が生存のために必要とする自然の秩序とが
あまりにも隔たっていたからである。

シナジェティクスと独創性

<独創性(originality)>とは
“新しい場所に置かれた元々の原型”であるとされるが
自然の構造とパターンの前では
それは言い逃れに過ぎない。

<独創性>から
この言い逃れが排除できないのは
この語が、
時系列的なタイムカプセルから
高度な経験の秩序化が非同時的に生まれる瞬間を
まったく表現していないか、
あるいは
表現しようとしない言葉だからだろう。

<独創性(originality)>は
人間のアイデアが
幾度も物質へと変換されていく過程において
デフォルト言語の破壊を好まない社会構造が抱いている、
個人に対するある種の幻想である。

シナジェティクスはこれらの幻想から
絶縁している。

<独創性>から生得的な領域(ドメイン)が奪われて久しい。

シナジェティクスが発見する自然の構造とパターン以上に、
人間の独創性を否定する「秩序」は存在しない。

それゆえに、
シナジェティクスは
自然の構造とパターンに関する思考辞書(thinktionary)の
編集方法 ―『Synergetics vol.1,2』編集で使用された最初のハイパー言語とその形式―をも
発見しているのである。

シナジェティクス的思考(thinktionary)

シナジェティクスの発見は
思考方法の曖昧さを、
回避する以上に破壊しなければ
到達できない原理の探求方法(thinktionary)の発見を伴う。

この20世紀に発見された
モデル言語から始まる探求方法は
しばしば
思考自体に潜む言語の論理的構造でさえ
躊躇なく破壊してしまう。

しかしその破壊された言語は
個人の生得的な文法から
構成されていなかった可能性がある。

なぜなら、
発見された原理からは
自然の論理的な相互関係を理解できるが
この原理の探求方法のほとんどは
非論理的であるからである。

人間の理解とは
遅れてやってくる論理的な事後承諾でしかないのかもしれない。

唯一、
電磁誘導的な直観による理解を除いて。

クリティカル・パスにおける共同性

「すべての細胞はテンセグリティである。」

その細胞が同型の基本構成単位物質を扱う生化学工場から生産されるように
すべてのテンセグリティ・シェルターは
同型モジュール(=最小の構成単位)を扱う
デザインサイエンス工房から生み出される。

その工房はテンセグリティシェルターで覆われ
食糧、エネルギーを
同時的・非同時的に生産するコロニーを形成するための
共同性を備えている。