月別アーカイブ: 2012年8月

細長比(Slenderness ratio)からの離脱 その3

このテンセグリティ理論によって
構造の革命を事件によって認識した瞬間に
これまで構造と言われきた
あらゆる種類の圧縮材の連続によって
物質とエネルギーはつねに浪費されていた事実に気づくのである。

テンセグリティにおいては
その半径の増大と共に
圧縮材は相対的に、より細くより短くなるのである。

超軽量構造を具現化するテンセグリティとは
外力からのリスクから解放されるばかりか、
内部の自重という束縛から解放するシステムを獲得した最初の構造を意味している。

この包括性の物質化した科学的実験を理解した最初の科学者の一人に
アインシュタインがいる。
1951年のプリンストン大学の構内に制作された
バックミンスター・フラーの直径10mのテンセグリティ球を見た瞬間こそ
圧縮力と張力との相互作用を具現化した原子核モデルの認識が始まった瞬間なのである。

しかし、一般化を追求する過程であまりも抽象性に陥っていた物理学は
その歴史的瞬間の言語化にはそれ以後も無関心であった。

原子核の陽子は記号として赤い球体、
電子は陽子を周回する小さな白い球体で表されたままである。

相互作用を視覚化した包括的な力学モデルは
シナジェティクス以外は挑戦してこなかったのである。

シナジェティクス研究所  梶川泰司

Fig. 730.12 Stabilization of Tension in Tensegrity Column: by RBF

We put a steel sphere at the center of gravity of a cube which is also the center of gravity of tetrahedron and then run steel tubes from the center of gravity to four corners, W,X,Y, and Z, of negative tetrahedron (A).
Every tetrahedron’s center of gravity has four radials from the center of gravity to the four vertexes of the tetrahedron (B). In the juncture between the two tetrahedra (D), ball joints at the center of gravity are pulled toward one another by a vertical tension stay, thus thrusting universally jointed legs outwardly, and their outward thrust is stably restrained by finite sling closure WXYZ. This system is nonredundant: a basic discontinuous-compression continuous-tension or “tensegrity” structure. It is possible to have a stack (column) of center-of-gravity radial tube tetrahedra struts (C) with horizontal (approximate) tension slings and vertical tension guys and diagonal tension edges of the four superimposed tetrahedra, which, because of the (approximate) horizontal slings, cannot come any closer to one another, and, because of their vertical guys, cannot get any further away from one another, and therefore compose a stable relationship: a structure.

細長比(Slenderness ratio)からの離脱 その2

構造は圧縮材の相互結合によってのみ
自律すると考えられてきた歴史は
圧縮材として自然素材の岩石を選択したことから始まる。

岩石は大地と不動の関係(=重力によって自重をより大きな固体的な大地に流して振動を回避する)を
維持できるという概念は
20世紀まで生き延びたのである。

テンセグリティにおいては
張力材を介した圧縮材との相互作用によって
外力を振動エネルギーとして分散する機能に変換されるので
細長比はそのままでも坐屈の可能性はなくなるばかりか
ついにテンセグリティ球の分割数の増大と共に
その球の大きさには際限がない最大の自律的自由を獲得できる。

圧縮材には圧縮力のみが
張力材には張力のみが作用する純粋な機能分化を作用させるためには
張力ネットワークは
つねに連続していなければならない。
 
統合力は圧縮力にではなく
張力の側に存在するからだ。

細長比(Slenderness ratio)からの離脱 その1

細長比(Slenderness ratio)からの離脱 その1

外力または自重による
あらゆる種類の圧縮材の変形はやがて
圧縮材の固有な細長比(=Slenderness ratio,圧縮材の断面の直径と長さとの比)
の限界を超えると、その構造材は坐屈するばかりか
構造の深刻な全体的な破壊は加速度的に進行する。

テンセグリティにおいては
圧縮材の細長比が引き起こすこのような坐屈へのリスクは皆無である。
なぜなら、細長比の限界を超えないように
圧縮材の直径に対する長さが調節可能になり
すべての圧縮材は不連続に形成できるからだ。

圧縮材を不連続にすれば、それらは同時的にかつ非同時的に
絶えず振動するようになる。