細長比(Slenderness ratio)からの離脱 その2

構造は圧縮材の相互結合によってのみ
自律すると考えられてきた歴史は
圧縮材として自然素材の岩石を選択したことから始まる。

岩石は大地と不動の関係(=重力によって自重をより大きな固体的な大地に流して振動を回避する)を
維持できるという概念は
20世紀まで生き延びたのである。

テンセグリティにおいては
張力材を介した圧縮材との相互作用によって
外力を振動エネルギーとして分散する機能に変換されるので
細長比はそのままでも坐屈の可能性はなくなるばかりか
ついにテンセグリティ球の分割数の増大と共に
その球の大きさには際限がない最大の自律的自由を獲得できる。

圧縮材には圧縮力のみが
張力材には張力のみが作用する純粋な機能分化を作用させるためには
張力ネットワークは
つねに連続していなければならない。
 
統合力は圧縮力にではなく
張力の側に存在するからだ。