テンセグリティの懐胎期間

テンセグリティ原理が発見されるまで
圧縮力と張力の分離は
<構造とパターン>を問わず、いずれも構造の破壊行為とみなされた。

バックミンスター・フラーによる
初期の圧縮力と張力を分離し、統合する独創的な実験方法は、
酸素という不可視の気体元素の存在を証明する実験方法;

スズと空気を密閉した容器を加熱しても全体の重さに変化がないばかりか、
開封すると外気が流れる現象から、空気の一部が減少すると同時に
スズ自体が重くなっていることを証明し、従来のフロギストン説を葬り去った
ラヴォアジエの1777年の卓越した実験方法
と比較しても見劣りしないだろう。

つまり、見えない張力機能は圧縮材から<分離>することによって、
不連続な圧縮材を<統合>しているのである。

新たなテクノロジーの現実化を評価する
専門分化された科学者の理解よりも
さらに遅れて科学史は形成される。

21世紀の科学史で
テンセグリティ原理の発見がまだ扱われていないのは
テンセグリティの技術的な懐胎期間が
科学・産業史上最長になっていると考えるべきだ。

テンセグリティはより包括的なシナジェティクスによって
なおも未知な領域を残している。