自然は、構造を安全にそして経済的にするために張力を導入する。
不可視の構造に接近するテンセグリティは
もはや形態デザインではない。
月別アーカイブ: 2013年10月
エフェメラリゼーション再考
テンセグリティの存在確率
より重要な部分をけっして形成しないで
付加的なリダンダンシーを排除したテンセグリティは
最高の知性が物質化した基底状態(garnd state)なのである。
それは自然(cosmic integrity)の方法であった。
人間の知性は
<つねに動的に統合された構造>を20世紀に初めて発見したのである。
プラトンの正多面体(solid)の静的な世界観から離脱するために
25世紀も経過しなければならなかった。
その構造は大理石よりも振動するがゆえに、より強度と剛性がある。
人間の生存空間が形成される時
電子軌道が電子の存在しうる空間であるように
その生存空間は圧縮材と張力材との相互作用による最も高い存在確率とみなされる。
反網膜的(anti-retina)
可視的な虹のスペクトルの識別可能な構成色が
色彩を表す言語数に依存するならば、
1677万色1原色あたり8ビット(256階調)以上のデープカラーは
色として網膜で感受できていても
脳では認識できていない。
人類はすでに色以外の情報の領域に達している。
網膜では
肉眼によって画素を認識できないほどの解像度やコントラストよって
可視的な色彩は、より鮮明で深みを感じるように変換される。
しかし、不足した色彩(例えば、墨絵や雪国の風景)が
過剰と同様に豊かさに変換できるのは、ひたすら言語による。
テンセグリティのモデル言語もまた反網膜的である。
テンセグリティの構造とパターンだけでは
その圧縮力と張力の動的な均衡は説明できないからである。
反対称的に統合されたテンセグリティモデルは
美的な色彩を拒み、素材の質感を超越するほどに反網膜的である。
モデル言語は視覚情報以上の<構造と意味>の相互作用領域に達しているのである。
実験装置としてのテンセグリティモデル
生命が自分の細胞を所有することではないように
テンセグリティ原理を理解するには
テンセグリティモデルを所有しないことだ。
テンセグリティを理解することは
テンセグリティモデルを制作するよりもはるかに困難である。
1995年にそれまで不可能とされていた
展開型のテンセグリティの完全なメカニズムを発明し
直径11mのプロトタイプを制作する過程で
100個以上の展開型のテンセグリティモデルを制作し
30種以上の新しい構造とパターンを発見することができた。
(そのプロトタイプの展開プロセスとジョイントのディテールの映像などは
『宇宙エコロジー』美術出版社 2004 P.352 などに記載)
しかし、テンセグリティを現在のように理解することはできなかった。
テンセグリティというもっとも単純な構造部材から構成された構造のシナジーは
まだ完全に言語化されていないのである。
反対称的な構成要素とは、圧縮力と張力の相互作用である。
種々の圧縮力と張力の相互作用を具体的な
実験装置としてのテンセグリティモデルにはまだ発見と発明が混在している。
この相互作用を新たな物理的な実験によって科学的に発見する時、
美的なテンセグリティオブジェは単なる副産物である。
発見的エンジニアリングは、実験者の内部で形成される物質化への過程にある。
美の複製は実験者の外部で形成されるかぎり、物質化の遅延を引き起こすだろう。