家は、最初から生命を安全に確保する
シェルターとして経済的に軽量にデザインすべきである
21世紀にその専門家がいないならば、
自分でデザインすることは唯一残された生存方法だ。
それは困難なことではない。
バックミンスター・フラーの時代と異なるのは
シェルターに必要なあらゆる部品は販売されているからである。
販売されていないのは、包括的デザインという物質を超えた
知識や知恵だけである。
投稿者「synergetics」のアーカイブ
テンセグリティの確率
どの家庭にも、棒とひもは備わっている
棒とひもを空中に放り投げて落ちてきたとき
たまたま、それらが互いにから絡まって、
テンセグリティになって落ちてくる確率を信じてみよう。
猿から人間は進化したと考える場合の確率と同じだとしても、
重要なことは、この確率が成立するには
観察者はテンセグリティが棒とひもから構成されているという
ことを予め知っている必要がある。
シナジェティクスモデル
音楽を作る人は少なくない。
しかし、作曲するためのピアノまで自分で作る人はいないだろう。
言葉を使わない人はいない。
しかし、言葉そのものを作る人は、限られている。
シナジェティクスモデルをつく人は、ピアノを作る人よりも少ない。
シナジェティクスモデルは知られているモデルだけでも
すべて制作すると1000点以上はあるだろう。
そのすべてを解読できる日は近づいていると感じたのは1992年だ。
しかしそれからが長い。
最大の問題は、解読するにつれて、その構造と意味を再構成する過程で、
新たなモデルが増殖することである。
シナジェティクスモデルは稀有な階層的なハイパー言語だ。
幾何学的オブジェには変換できないメタフィジクスモデルだ。
これらのモデル群は作ってから、学ぶことが圧倒的に多いことがその証明だ。
シナジェティクスは自動自己教育装置について、もっとも純化した教育工学を
確立している。
自己表現
多くの建築家は、建築デザインを
キャンバスに向かう画家のように
自己表現の場であることを疑わない。
デザインサイエンスは、美的な探求を構造デザインに求めない。
真の構造は、表面に関与しないばかりか、そのほとんどは不可視だ。
炭素繊維の張力材でテンセグリティモデルをデザインする前から
炭素繊維は、ミクロのテンセグリティ構造を具現化している。
キャンバスよりも概念の不足が、専門性を許している。
なぜ『クリティカル・パス』と『シナジェティクス』なのか
バックミンスター・フラーは、1983年まで
『クリティカル・パス』と『シナジェティクス』をさらに詳しく研究し、
自らの非凡な才能を投入し、人間が情報収集と問題解決のためにマインドを使う選択肢と、
平和と調和そしてかつて夢見たこともないほど高い
生活水準をこの惑星の全人類にもたらすために人類のテクノロジーの遺産を
応用する選択肢とを理解し、
その実現を促進することを目的とする個人に期待し
可能な限り支援していたと断言できる。
この事実は、アメリカの研究者と共に、
1984年から1988年まで彼のクロノファイルを
当時のカリフォルニアにあったバックミンスター・フラー研究所で
検証した結果である。
氷モデル
正四面体だけでは、空間は隙間なく埋められない。
水分子が周囲の4つの水分子と水素結合して、正四面体型の配置をとる、
氷の結晶構造の場合、いかに隙間だらけであるかは想像できる。
氷が融けて水になるとこの構造パターンが壊れ、
この空隙部分に水分子が入りこんでくるので、密度が1割ほど増える。
しかし、物理学ではこれ以上の構造モデルは提示できていない。
この隙間を空気と考えるべきではないだろう。
気泡が氷の浮力を生んでいることは別問題だ。
シナジェティクスではこの具体的なモデルをデザインできる。
正四面体型の配置では氷の結晶の説明は不可能だ。
隙間は正4面体ではない。
新たな空間充填システムは、重要な宇宙論だ。
任意の整数比で空間充填できる4面体モジュールの発見
(つまり整数比で空隙を残すという構造システム)は、
氷が水に浮かぶことのできる唯一の説明となる。
数学的、科学的な絶対的証明
日本版『コズモグラフィー』(監修 シナジェティクス研究所、白揚社)の
出版は、編集作業と精緻な図版制作のため再度延期されることになった。
9月の初旬に決定。
原書の理解のための追加図版の翻訳とそれに伴う編集などで
未完成の遺稿となった『コズモグラフィー』はやっと、
バックミンスター・フラーの意図した本来の<シナリオ宇宙>が見えてた。
その結果、『クリティカル・パス』と同じテキスト量となり、
『クリティカル・パス』と同様の歳月を費やしたことになる。
彼の独自な思考言語の翻訳言語の形成には、『クリティカル・パス』の思考言語形成から
さらにほぼ10年の懐胎期間を経なければならなかった。
『コズモグラフィー』は、最晩年のバックミンスター・フラー自ら書き下ろした
シナジェティクス原論であり、最初のシナジェティクス入門書である。
<シナリオ宇宙>は、数学的、科学的な絶対的証明のみで構成されている。
最初のハッカー
未来を予測する最善の方法は、
原理を発見し、その応用を発明することだ。
大企業が独占する前に
その効果的なプロトタイプだけを最初に生産する。
そして、次が重要だ。
それ以上はしないことだ。
洞察力のある個人が包括的なプライムデザインに挑戦する。
その結果、従来のシステムは自然に陳腐化できる。
では、それまでのコストは誰が支払うのか。
その計画が漸進的変化に対して純粋で論理的あれば、
社会が支払う。
ただし、官僚が審査する助成金や補助金ではない。
これが、私が知る
バックミンスター・フラーの20世紀の
最初のハッカー的手法である。
彼はこの計画的偶然をプリセッションと定義している。
プリセッションは、人為的な多勢に無勢式社会の対極にある宇宙の原理だ。
大学という専門分化した教育機関ではプリセッションは
拒否されてきたが、シナジェティクスに興味を抱く個人は確実に増えている。
デザインサイエンスとの関連が、これから経験されていく懐胎期に入ったのだ。
『コズモグラフィー』(9月刊行)と思考言語
「教育を装った権力システムは、本質的な包括的思考能力を
初歩的で一時的な主題へと故意に分断する。」 1983 RBF
知らないことは知ることの不可欠な要素である。
そこに試行錯誤が生まれるが、
われわれは、めったにこの能力を使わない習慣を
学んでしまう。
モデルは、純粋原理の具現化だけではなく
自己教育のための思考言語装置でもある。
日本版『コズモグラフィー』(監修 シナジェティクス研究所)には50種を越える
これらの思考言語が紹介されている。
最初の量産用プロトタイプ
鳥や魚、そして昆虫たちは、トイレットを必要としない。
すでに一般化されたシステムを無意識に利用する
宇宙船の優れたユーザたちだ。
バックミンスター・フラーの最初の量産プロトタイプは
1938年のトイレットと浴室の合体した
ダイマクション・バスルームの金属製品であった。
画家の最初の絵が将来を潜在的に決定するならば、
彼は明らかに建築家志向ではなかった。
その浴室には、マニボールドが部品として設計されたが、
水洗トイレットではなかったので、外部へは無管であった。
この自律的なエネルギーの循環をデザインした
彼は明らかにプロダクトデザイナー志向ではなかった。
住宅が自律的でなければ、地下資源に依存しなければならないと考えたのは
1927年である。
エネルギーの設計までを許容する職業は、いまでも
発電所やプラント、そしてエンジンの設計者のように
かなり限られている
そして彼らはデザイナーという意識をもっていないだろう。
建築家やプロダクトデザイナーが提案するエコロジーデザインが、
自律的エネルギーの設計に関与しない限り、
住宅のエネルギーは効果的に利用できないだろう。
せいぜい太陽光パネルや壁面の断熱効果を主張する程度だ。
建築家が新築の家に指定する電子化された最新式の高価なトイレは、
常に有管である。それによって、最新式のエコハウスは、
無管ではなくなる。
そして、有用なエネルギーを再循環できるシステムを
デザインできるプロダクトデザイナーは
建築家やユーザの望む美しいトイレットという住宅部品を
自らのデザインによって陳腐化しているだけである。
無管トイレットは、特殊ではない。
大気圏外の宇宙では、外部に依存しない
無管システムでなければ、船内では生存できない。
排泄物は太陽光のように貴重なエネルギーの集合体だ。
無管は一般化されたシステムを意味している。
水洗トイレットへの批判が、全世界的にエコロジー化の対象から外されているのは、
非論理的である。