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シナジェティクス原論

宇宙の原理に接近するほど
原理の存在を証明するシナジェティクス・モデルとその種類は加速度的に増加する。

論理的な相互関係の証明はその後だ。 

バックミンスター・フラーによるシナジェティクスの入門書は
『コズモグラフィ—シナジェティクス原論』 バックミンスター・フラー著、梶川泰司訳 (2007 白揚社)

シナジー vs 動的平衡

生物学が<動的平衡>の概念を発見するはるか前、
そして1944年にシナジェティクスが
<ベクトル平衡体モデル>を発見する以前の1927年、
既にバックミンスター・フラーは
圧縮材が不連続であるテンセグリティモデルを発見していた。

<動的平衡>の概念は
複数のシナジェティクスモデルに変換されてきた。

シナジェティクスでは
<動的平衡>を形成するすべての作用を
<シナジー>と呼ぶ。

☆Fig. 465.03 Rotation of Four Axes of Vector Equilibrium: Articulation of Eight Triangular Faces.
by SYNERGETICS 1975, RBF

蝿の目(Fly’s Eyes)

☆バックミンスター・フラーのフライズ・アイズ

蝿の目は、三角形化を採用していないので、未だ自律的構造ではない。

その形態のパターンを拡大しても人間は内部空間を利用できない。

自然の形態を模倣する行為は、デザインサイエンスではない。
デザインサイエンスは、自然界に潜む純粋な構造とパターンに関する
シナジェティクス原理の発見に根ざしている。

Fly’s Eyes have no structure

Fly’s Eyes

テンセグリティーーーーその懐胎期の終焉

テンセグリティに関して
その学術的研究レベルに期待ができないのは
統合する張力への直観が
海賊の遺伝子に埋もれたままだったからではない。

テンセグリティが体系化されるには
まだ冒険的モデリングが少なすぎる。

航空力学が体系化する以前に
ライト兄弟が実際に飛行実験に成功したように
テンセグリティ原理の発見から生まれるテンセグリティ理論は
シナジェティクス・モデリングと原寸大モデルでの
力学的テストを通じてのみ高度に単純化するだろう。

大学や企業の研究室からは生まれなかったテンセグリティは
バックミンスター・フラーの予測さえ超えた懐胎期間を終えて
いよいよ実用化の段階を迎える。

張力の完全性

21世紀のエンジニアはテンセグリティーの有効性に同意する。
しかし、彼らは未だに圧縮構成要素を計算する技術だけで
テンセグリティの構造化の可能性を判断している。

引張による構造化には大きさの限度がないという
<張力の完全性>を除外したまま。

新たな水力学的および空気力学的エンジニアによって
テンセグリティーを開発しなければならない。

真の構造を求めると
自律的エンジニアリングを形成するのである。

デザインサイエンスの目的論

プルトニウムは
安定した同位体を持たないから、
人間には
その標準原子量を定められない
唯一の元素である。

自然が
これほどまでのプルトニウムの量を
この惑星上に作らなかったのは
偶然ではなく、
プルトニウムがごく微量になるまで
必然的に待機してきたのならば、

なぜ自然は
DNAの起源を否定し
その複製過程を短時間で奪うことによって
生命現象を破壊する、
すべての政治経済システムを
許すのだろうか。

奪われる前に、
破壊される前に
このシステムを排除することは
エコロジーを支える
あらゆる種族維持のための
自衛である。

モデル言語再考ーー『コスモグラフィー』シナジェティクス原論

物事の見方、考え方、そして定式化の方法において、
紀元前25世紀に幾何学的第1種の〈固体(solid)〉という概念を展開した。

しかし、プラトン学派とその系譜が定義した多面体群は、
いずれの線も同一の点を同時に通過しない
非固体的なテンセグリティに変換できる。

結晶は多面体ではない。
結晶でさえその原子群は振動して熱エネルギーをもっている。
固体的かつ非共鳴的な多面体は、間違った定義によって生じる物質感(=リアリティ)である。

テンセグリティが究極の構造の一般化された原理であることが発見された後に、
多面体ではなくテンセグリティによって
構造は、はじめて定義された。

中身の詰まった固体的な多面体を折りたたむことはできないが、
テンセグリティは折りたたむことはできる。
このテクノロジーに到達するために、
数千年間の概念の恐るべき牢獄期を経由しなければならなかった。
この単純で巨大な空洞をいまだに埋めることができない。

固体的かつ非共鳴的な物質観の起源の分析よりも
テンセグリティの懐胎期を加速するのは
シナジェティクス・モデル言語の理解である。

シナジェティクスの唯一の入門書は、

『コスモグラフィー』シナジェティクス原論
バックミンスター・フラー著、梶川泰司 訳 (白揚社 2007)

バックミンスター・フラーの最後の遺作(1983)となった。

ノウハウ (know how)からノウホワイ(know why)へ

Cosmic Integrityを科学的にも証明できるとするのが
シナジェティクスであるが、私は、シナジェティクスを学ぶ前に
数学が深く関与するはずだと考えられたのが一番リアリティがあったから、
バックミンスター・フラーと研究する場を共有できた。
しかし、そのリアリティをさらに具体的な形にするには当時の私には
数学的知識があまりにも不足していた。

だれでも現実を肯定して、考えることを考え始めざるを得ないと考えている。
与えられたすべてのデフォルトを受容する態度は
royal(王権)のデフォルトを排除する機会を失ってしまうだろう。
リアリティ(reality)は、 royal(王権)の名残りに今なお閉じられているからだ。

分断された異なった自己が統合されるには、
局所的な個人のそれぞれの挑戦と失敗が必要だ。

ノウワット(know what=目的意識)ばかりでは、ノウハウも発見も生まれない。
目的意識は簡単に捏造できる。
ノウハウ( know how=技術知識)ばかりでは、何も発見されない。
技術知識は独占されやすい。
ノウホワイ(know why=理由・動機を知っていること)には、国家や大企業、教育組織は無関心である。

個人は、ノウホワイを生得的デフォルトから自ら発見できる。

同時に、ノウホワイからノウハウとノウワットを分断する境界線を消去できる重要なオペレーションが生まれるはずである。

know whyは教育不可能であるという理由から、教育課程では完全に除外されているが、私は、バックミンスター・フラーからknow whyについてもっとも対話できた。
バックミンスター・フラーは、知識よりも概念を優先していたからである。
概念デザイン( prime design)は共有することができた。

偉大な師は、know whyをデザインサイエンスとシナジェティクスに リンクしたまま、去ったのだ。
(友人のシナジェティクス研究者ロバート・グレイ(Robert Grey)が立ち上げたサイトで、バックミンスター・フラーのシナジェティクスの原書のテキストと図版からいつでも自由に学ぶことができる。)
http://www.rwgrayprojects.com/synergetics/synergetics.html
このリンクを理解するには学校(建物)と教師は不要だ。
100ドルパソコンと辞書でモバイルするときが来たのである。

2006/11/27  シナジェティクス研究所 梶川泰司