芸術と科学」カテゴリーアーカイブ

定義のユーザ

テンセグリティ作品の独自性を高めるために
アセンブルをより複雑にし、
その芸術作品の価値を向上させるために
テンセグリティのモジュール化を拒む。

現在のケネス・スネルソンから
テンセグリティ構造を
生存のための構造システムに変換する行為はついに見られなかった。

彼が球状テンセグリティに挑戦しなかったのは
バックミンスター・フラーの創造性と棲み分けしているからだとしたら
彼のテンセグリティに対する見解は実に局所的である。

彼の芸術は様式を模倣したくないだけのように見える。

しかし、テンセグリティの<構造とパターン>は
まだ一般化されていない。
<構造とパターン>は数学そのものである。

ケネス・スネルソンは
圧縮材の不連続の連続に魅せられたまま
美学的行為の無限性を表出しているかぎり、
バックミンスター・フラーによる
テンセグリティの定義のユーザにすぎない。

その定義よりも前に
動植物のすべての細胞が採用してきた
テンセグリティシステムの包括的な先験性によって
彼の作品を時代遅れにしているのである。

バックミンスター・フラーによる
一般化された球状テンセグリティモデルの発見以後
この半世紀間の自然の観察から分かってきたことは
テンセグリティ原理は
生存のための構造安定化のためのデフォルトなのである。

テンセグリティシステムは
特殊ではなく、水素原子のように
ありふれた宇宙の構造システムなのだ。

ネクスト・エッシャー「超遠近法」について その3 「退屈な上昇と下降」は「上昇と下降」に変換できる

エッシャーは対称性の概念を芸術に導入した20世紀を代表する作家である。
彼が表裏の概念を対象化したのは「メビウスの輪」からであった。
しかし、彼は版画芸術家であり、作品を紙の表裏に印刷することはしなかった。

シナジェティクスに2次元は存在しない。
人間が厚みをほとんど無視できる最小限の表裏とは、
スピンする原子の回転軸の南北の距離である。
さらにPCのデスクトップ上の映像はこの最小限の厚みからも解放される。

光の陰影にもはや表裏は存在しない。

Next Escher 超遠近法で解くエッシャーの秘密3

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★上記画像をクリックするとアニメションが表示されます。

[解説]エッシャー作品自体からエッシャーの気づいていない遠近法が発見された。
私は結晶学的な3つの操作「並進」「回転」「鏡像反転」を組み合わせた
「超遠近法」という概念と技法を発見した。
『滝』や『物見の塔』などの作品に対して超遠近法の操作を行うことで,
不可能な構造を可能な構造へと転換することができる。

参照 日経サイエンス 2007年1月号
[超遠近法で解くエッシャーの秘密]
梶川泰司
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0701/escher.html

ネクスト・エッシャー「超遠近法」について その2「一瞬の滝」は「滝」に変換できる。

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★上記画像をクリックするとアニメションが表示されます。

[解説]エッシャー作品自体からエッシャーの気づいていない遠近法が発見された。
私は結晶学的な3つの操作「並進」「回転」「鏡像反転」を組み合わせた
「超遠近法」という概念と技法を発見した。
『滝』や『物見の塔』などの作品に対して超遠近法の操作を行うことで,
不可能な構造を可能な構造へと転換することができる。

参照 日経サイエンス 2007年1月号
[超遠近法で解くエッシャーの秘密]
梶川泰司
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0701/escher.html

ネクスト・エッシャー「超遠近法」について その1「不思議のない物見の塔」は「物見の塔」に変換できる。

エッシャーの作品を「だまし絵」で分類する概念は古い。

彼がだましているのは、絵の鑑賞者ではなく、
認識を制御する脳のシステムだからである。

エッシャー作品自体からエッシャーの気づいていない遠近法が発見された。
表裏をフリップする画像処理のテクノロジーは
エッシャーの時代には存在しなかったからかもしれないが、
エッシャー自身はこの超遠近法から「物見の塔」の
「構造の不可能性」を編み出さなかった。

厚みのない表裏には見えない回転軸がある。
不可能性は表裏という可能性のハイブリッドだ。
そして、2次元という脳が生成する人為的な概念こそが
不可能性のエンジンである。
それは科学的な方法論として一般化できる。

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★上記画像をクリックするとアニメションが表示されます。

[解説]エッシャー作品自体からエッシャーの気づいていない遠近法が発見された。
私は結晶学的な3つの操作「並進」「回転」「鏡像反転」を組み合わせた
「超遠近法」という概念と技法を発見した。
『滝』や『物見の塔』などの作品に対して超遠近法の操作を行うことで,
不可能な構造を可能な構造へと転換することができる。

参照 日経サイエンス 2007年1月号
[超遠近法で解くエッシャーの秘密]
梶川泰司
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0701/escher.html

エフェメラリゼーションの起源  その1

ジオメトリーをアートにする試みからアートもジオメトリーも変革されたことはない。
アートをジオメトリーにしようとする試みも同じだろう。
芸術はつねに既存の芸術形式を模倣しない純粋な形式を作り出すが、
原理は異なった原理を作り出すために既存の原理を再利用するからだ。

ケネス・スネルソンはテンセグリティオブジェを創作した。
彼は形態的な独創性を、オブジェの回転対称性を乏しくするか、その非対称性に求めた。
しかし、形態的な美と引き替えに同型からなるテンセグリティモジュールは著しく後退したばかりか、構造としてのバックミンスター・フラーのテンセグリティを否定するという
この半世紀間の彼の見解はジオメトリーをアートにする試みと理念の限界を示している。

バックミンスター・フラーがシナジェティクスと幾何学の相違でさえ
オブジェという客体に求めなかったのは、シナジェティクスのモデルが
目的(object)ではなく方法だからだ。
シナジェティクスの包括的な思考は、理性によって獲得される最高の概念に対して
もっとも直観的にかつ物理的に到達できる方法をもたらしてきた。
この方法は科学で一般にいわれているような基礎と応用という産業化を
強要する社会的使命からも自由であるばかりか、
表現者独自の自己実現要求を魅了させる概念と絶縁していながら、
物理的な変換方法に拘束される条件でさえもっとも自由な思考を展開できる。

そして、テンセグリティは<自然を模倣しない>思考に共鳴した
史上初の構造原理として発見されたのである。

バックミンスター・フラーはこうした思考のプロセスから生まれる新たな実在を
アーティファクト(artifact)と呼んでいた。
分断された幾何学と芸術を統合するのは幾何学でも芸術でもない。分断する方法は、
可逆的に統合する方法にはならなかった。
そればかりか予測できない統合作用によって
かつての目的(object)さえも陳腐化され否定されるのである。

統合する方法は、物質を非物質化するための過程(=エフェメラリゼーション)を
記憶した人工物に変換される。

テンセグリティ・シェルター

テンセグリティ・シェルター

THE NORTH FACE × +81 インタビュー

遠近法を破壊せよと言った

体験可能な仮想空間の構築を目的とした現代のバーチャル・リアリティは、
可能性を前提にしている。
1950年代のM.C.エッシャー芸術のテーマである「非現実」は、
不可能性に根ざしている。
エッシャーの不可能性をテーマにした作品群は、
すべて体験不可能な空間の構築をめざしていた。
しかし、人工的な現実感の構築にも、
エッシャーの「非現実」的な不可能性の構築にも遠近法が関与している。

同時に、エッシャーの遠近法は
従来の遠近法が生み出すリアリティを利用して
遠近法は生得的なものではなく、
システムへ順応するための学習によって
形成されることを作品によって証明している。

古代ギリシアの曲面遠近法から
「視覚のピラミッドの切断面」の透明な窓から透かして
対象物を見るという平面遠近法の原理を発見したルネッサンス期を経て、
紛れもなく史上3回目の遠近法の変革時に属しているのである。
遠近法がもっぱら宗教芸術により
新しい幻想的な領域を構築する自然な視空間を求めた歴史からみれば、
この暗黒時代からの夜明けは
エッシャーが生涯無神論者であったことに関係している。

エッシャーの遠近法はだまし絵のための技法ではない。
順応システムを強化するための
遠近法を破壊せよと言っているのである。

この意味論的な解析は、
シナジェティクスの全方位的な幾何学的思考によってのみ明確にされるだろう。
つまり、
2次元的な平面に3次元的なリアリティを生み出す遠近法は
特殊で過渡期的にしか存在しないのである。

そして、この鏡像反転による遠近法の破壊方法
(参照 超遠近法で解くエッシャーの秘密」 アニメーション)に
エッシャーは全く気づいていなかった。

エッシャーは鏡像反転による遠近法(=超遠近法の発見–操作的な軸回転遠近法)
とは別の方法をアーティスト・サイエンティストとして
直観的にかつ経験的に構築したことは、
それらは、現存するスケッチや習作などの時系列的履歴から証明可能である。

http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0701/escher.html
http://synergetics.jp/gallery/index.html

☆参照
「超遠近法で解くエッシャーの秘密」 アニメーション公開
http://synergetics.jp/escher/index.html

鏡像的見解

芸術は「私」である。科学は「われわれ」である。
と考えている人から、芸術も科学も生み出されたことはない。

なぜなら、
芸術は「われわれ」であり、科学は「私」であるから。
Y.K

Cosmic Fishing

ある日、釣りに出かけた。
どうやって釣るのか
どこで釣るのか分からないまま。

しかし、入れ食い状態が突然起こる。
この経験に遭遇すると、
ふたたび、釣りに出かけないではいられない。
そのうち、釣った魚の種類と数に驚きそのすべてを時系列で記録するために
意図的に釣りをしないで釣り人のそばで記録をする人が現れる。

釣り竿は想像力で
餌は、直観だ。
魚とはもちろん原理のことだ。
シナジェティクスはこの記録(クロノファイル)の結晶だ。

シナジェティクスには出版社側ではない特別な編集者がいた。
その人が E.J.アップルホワイトである。

「釣りの楽しさは、釣ってみなければ分からない。」からは、
アップルホワイトの自発的な動機を説明できない。
彼は構造と意味との動的な生成メカニズムの編集者である。
シナジェティクスの発見されていく原理から生成する相互関係の
予測とさらにそれから発生する新たな発見のフィールドワークに徹したのである。

バックミンスター・フラーがそのクロノファイルをみて、
よりみごとな発見に出会える偶然を計画するある種のフィードバック機能が発生していたのである。
彼らは、ハイパー言語の完成とその効果を証明するために半世紀を費やしている。

私は1995年のニューヨークのフラー生誕100年祭で
アップルホワイト氏の最初の著作<Cosmic Fishing>を翻訳出版する約束を忘れたことはない。

すべては『コズモグラフィ』から始まる。

エッシャーのメタフィジクス

ある美術雑誌でエッシャー特集を監修する機会を得て、アート&サイエンスからエッシャーの全作品を分類し、特にシナジェティクス的な考察をエッシャー論としてまとめることができた。
ローマでの第1回エッシャー国際会議で発表したエッシャーに対する考察からすでに20年が経過したが、9月のオランダの美術館での取材から、新たなエッシャー論を試行できた。

[版画画廊]のエッシャーの制作目的を直接エルンスト氏のインタビューから聞けたことは、これまでの理解を組み替えるまでの出来事であった。

[版画画廊]はエッシャーが最晩年までもっとも愛着を抱いていた作品であったという理由を知りたかったのであるが、その調査は遂に遠近法の開発にまで拡張されることになった。この新しい遠近法は、科学雑誌に数学論文として掲載予定である。

http://synergetics.jp/publication/index.html

http://www.mcescher.com/

Print Gallery 1956 リトグラフ

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[描く手]を描く手として描けるが、その描かれた手が手自身を描くときには、手は描かれないという自己再帰的パラドックスは不可視な段階に止まっていたが、
[版画画廊]では空白の領域で客体と主体は等価の原理によって融合する構造にまで視覚化された。これほどまでに思考の幾何学に接近した絵画は他に存在しない。
リーマン幾何学空間の格子を分析すれば、4回回転対称性を有していることがわかる。この図版はBT今月号に記載されている。