シナジェティクス講座」カテゴリーアーカイブ

デザインサイエンスは緊急時を待たない

われわれが包括的(comprehensive)に思考することは稀である。
21 世紀の惑星地球人は予測できなかった局所的な残酷さに
脅えはじめている。
恐怖心から問題を理解できても解決策は見つからないだろう。
問題を専門家が独占しているかぎり。

デザインサイエンスは緊急時を待たない。
デザインサイエンスは、緊急時のためのテクノロジーに備えるのはなく
目的論的テクノロジーに自発的に対処する。

自発性こそは、
緊急時の道具に包括的なデザインが反映される唯一の方法である。

包括的とはつねに全方向的である。  梶川泰司

シナジェティクス教育論 その1

教育のほとんどの過程は
教えることが目的である。

教師はその過程で
学ぶ学生から相互作用をほとんど受けない。

それは、
教師不在でなされる効果的な学習方法が
教師組合によって除外されてきたからだろう。

デザインサイエンス講座では教えることを目的にしない。
なぜなら、デザインサイエンス講座とは、
新しい原理を発見しその原理の再現性を目的にした、
つまり
物質を如何にメタフィジックスでコントロールするか、
についての探求だからだ。

原理を応用する以前の過程である、
原理発見にまつわる方法論は
ほとんど教育不可能だと思われている。

しかしこれも、
単なる組合内部の多数決によって採択された
便宜にすぎない。

☆図版解説ーーーーーーーー梶川泰司

真実と美、そして対称性との相互作用からでさえ
メタフィジックスの探求は十分ではない。

それらと自己(=観察者)との関係性を
統合的に形成するには、
異なった相互の関係性が少なくとも6個存在しなければならない。 

Fig. 542.02 Tetrahedral Analysis of Plato’s Triad
Fig. 542.02 Tetrahedral Analysis of Plato's Triad

数学的科学の収穫方法

数学と結合されなければ、
いかなるシナジェティクスモデルも存在しない。
シナジェティクスは数学的科学である。
この数学的科学の収穫方法はエンジニアリングにある。
数学を変換した庭には多くの果実が実る。

Transformation of Vector Equilibrium and Octahedron as Space-Filling Jitterbug:

『コズモグラフィー』(バックミンスター・フラー著 梶川泰司訳 白揚社 2007)から引用

参照 http://www.rwgrayprojects.com/synergetics/s04/figs/f7002c.html

プラトンの正多面体

最も深く頑なに信じられているものは
最も知られていることである。
例えばプラトンの正多面体(Platonic Solids)。

中身がつまった固体的世界観をだれも疑わなかった。
シナジェティクスに多面体は存在しない。

多頂点体(polyvertexia)は科学的な概念を表している。

『コスモグラフィー』(バックミンスター・フラー著 梶川泰司訳 白揚社2007)は
シナジェティクス入門講座
デザインサイエンス講座のテキストである。

非物質化のためのシナジェティクス入門講座

授業に遅刻しても遠足に遅刻するこどもはいなかった。

シナジェティクス入門講座は
黒板式授業でも、
シナリオのある誘導型のワークショップ形式でもない。

森のなかで見知らぬ昆虫の採集に夢中になるように、
週末の金曜日から概念の遠足に出かけ、
理解した数だけモデリングが始まる。

遠隔地を結ぶスカイプによるダイアローグ形式は
シナジェティクス概念の物質化だけではなく、
デザインの非物質化という非鏡像的で相補的な手法に
到達する機会を提供する。

この5年間、シナジェティクス入門講座に
一度も欠席した講座生はいなかった。

真の教育を非物質化するためには
キャンパスと通学、そして土地不動産取得に伴う金利の支払いのための入学金
は最初に廃棄されなければならない。

さもなくば、学習は自律しないだろう。

太陽系エフェメラリゼーション

テンセグリティの最適な張力は引力である。

断面積さえ存在しない、
距離を超越した見えない張力以上の
テンション材は存在しないゆえに、
自然にのみ完璧なテンセグリティが存在する。

究極のエフェメラリゼーションに到達できる自然は
完璧な重さのない対称性を具現化する。

モデル言語

簡単には説明できないことこそ
モデリングできる。
そうすれば、簡単な言葉で説明できるだろう。

それを受け入れることが
シナジェティクスのはじまりだ。

モデル言語から概念に到達した時に
古い言語はひとりでに破壊されているだろう。

モジュールという交換機能

鳥は翼を傷つけたとき、
他の翼、つまり、仲間の鳥の翼と交換することは出来ない。

われわれの住宅はすべての部品が交換できないので
非モジュール的に設計されている。
交換出来てもせいぜいドアや窓、畳程度である。

交換できないことで、利益を追求している世界は
まだ支配的である。

現代のジェット機の翼やエンジンは交換できる。
モジュールという概念はパソコンや冷蔵庫、自動車にも適応されているが
自然は原子核を構成する核子に適応している。
(核分裂や核融合では陽子や反粒子などのモジュールが交換される。)

交換機能のデザインは見えないテクノロジーに属する。

非連続の連続

テンセグリティは自然の形態からの模倣や盗作では到達できなかった。

テンセグリティの機能を視覚化できなかったのは、
自然の形態から圧縮と張力の関係を抽象化し、
物質に変換できなかったからである。

構造の歴史に
テンセグリティ以上の言語の革命はなかった。
つまり、「非連続の連続」という概念の物質化を
古典力学の範囲内で達成したのである。

シナジェティクス入門講座の後期講座では
非共鳴型テンセグリティと共鳴型テンセグリティを
概念モデルまたは原寸大モデルでそれぞれデザインする。