回転に逆らうだけの革命

竜巻では〈放出evolve〉と〈吸収involve〉は非同時的だが共存する。
回転に逆らうだけの革命(revolution)とは無縁だ。
テンセグリティには、竜巻に近い構造の自律性がある。

つまり、進化(=evolution)も
退化(devolution)もしないシステムである。

外力分散機能だけではない
構造の局所的破壊に対する補償作用は
未知(unknown)を統合するシナジーである。
シナジーは自然(nature)さえも統合する。

どんな政治的・経済的革命も、時代遅れである。

概念モデルへ

私は、29歳の時、師と共に
シナジェティクスモデルの誕生に立ち会い
その概念モデルの爆発に
立ち会わねばならなかった。

それも、そのような概念が表されている書物ではなく、
概念を表明しているメタフィジックスの出来事にしたがって
やがて目的論の元で試行されていく
デザインサイエンスの実践活動に自発的に向かった。

直観と同時的に
そして概念と非同時的に。

はじめに
概念モデルの爆発ありきである。

デザインサイエンティスト

4つの無のテクノロジーに関する
デザインサイエンスによるプロトタイプとその量産方法が
デザインサイエンティストの意思として
政府が税収奪のために独占すべきだと望んできた現実の中に
刻み込まれるよりも前に
プロトタイプを完成させるテクノロジーこそが
自己のテクノロジーを練り上げていく。

無線、無管、無柱、無軌道について

皮膜のない宇宙服では大気圏外では生存できない。

皮膜や外殻がないかぎり
すべての生命は宇宙では生存できないにもかかわらず
テンセグリティやジオデシックドームよる
大気圏内の宇宙開発は確実に遅延してきた。

バイオスフィアという
最大のインドア(=大気圏)が素晴らしくデザインされているがゆえに
アウトドアのドームテント以上に
モバイル用のインドアはデザインされてこなかったのだろうか。

初期モデルのバックミンスター・フラーのダイマクションハウスから
第2次デザインサイエンス革命による
テンセグリティシェルターのプロトタイプ完成まで60年以上を経過している。

デザインサイエンスが供給する
テンセグリティシェルターでの
モバイル用インドア生活は
すべての都市インフラを完全に不要とするデザインがなければ
真のモバイル性の自由度から形成される精神の自律性は
実現できないという前提は
この半世紀間変わらなかった。

無線、無管、無柱、無軌道を実現する
デザインサイエンス革命による4つの無は
無為自然というテクノロジーへの進化過程に置かれている。

最初に、この無為自然を実現するのは
火星計画ではないだろう。

数字と形態

シナジェティクスは
経験的な内容に超越論的意味を付加したり、
経験的な内容を主観性から翻訳して構成する場合は
モデリングの現象学に従うだろう。

シナジェティクス・モデリングは
シンタックスとセマンティックが相互変換を行う場を形成するからだ。

数字と形態が表裏一体となる瞬間の現象学を学ぶことは
シナリオのない思考回路を受容する行為である。

愛好者たちのディレッタンティズム

シナジェティクスを
自己のテクノロジーではなく
個性を鍛える手段にする以上に
自己を楽しませる(dilettare)手段はないだろう。

それゆえに、
シナジェティクスの愛好者たちはこの半世紀間も
デザインサイエンスを生まなかった。

Doing More With Lessの私的見解

「Doing More With Lessを事実に基づいた具体例に変換してみましょう。
我々の住居の平均的な壁の厚みは30cm程度です。
部屋の幅が6m程度とすると、その厚みは幅の20分の1となります。
人間の頭蓋骨の平均の厚さは6mm程度なので、直径との比率は40分の1以下です。

ところが、鳥の卵の殻の厚みと卵の直径の比率は80分の1以下になっています。
彼らは産卵する直前まで飛行しなければならないからです。
適切にデザインされたジオデシック・テンセグリティドームのその比率は200分の1以下となります。
我々が惑星地球上で生存するには、移動しなければならないからです。

実際、我々の細胞膜のこの比率がさらに小さくなるのは、細胞自体がテンセグリティ構造だからです。
身体を構成する60兆もの細胞を周期的にすべて入れ換えるために、
自然はテンセグリティ構造を再生システムとして採用したのです。

人類のこれまでの固体的住居を構成する殻や壁は、圧縮材ではなく張力材として機能すべきです。
そして、テンセグリティ構造は、周囲の環境と共存した状態を形成するために常に振動するシステムです。
自然が振動というDo More with Lessを採用するのならば、
振動は構造を常に軽量化すると考えられます。

Do More with Lessは、張力材を構造に包含させるための、
構造デザイン上で最も効果的な方法論になるでしょう。


2008年の私へのインタビューから引用
このインタビュー以後も、テンセグリティ構造をより高度に単純化するための
種々の発見に基づいた新たなテンセグリティ理論が形成されている。
その理論を応用したテンセグリティシェルターのプロトタイプの制作以上に、
デザインサイエンスの歴史にとって重要なTrimbTabはないかもしれない。
なぜなら、アメリカに於いてもこの日本においても
個人のための<生活器のデザイン>を他の誰も挑戦してこなかったからだ。

銀河新年2016 絶望的な連帯の始まり 

貧困化は救済の形態と方法から作り出される。

あらゆる生産的な富の固定化と分配方法の独占こそが
富の緩慢な死である。

1000万人の移動する難民救済のための
食料、エネルギー、水、シェルターの供給が
国連ではなく、貧民の絶望的な連帯から生まれるならば
包括的な宇宙のテクノロジーを利用する以外の道はないだろう。

球状大地と富とをつなぐ本質的な媒介者は
もはや人間ではなく、バンアレン帯を通過する
無数の宇宙線のエネルギーになるだろう。

そのエネルギーを変換するテクノロジーは
すでに発見されているからだ。

そのテクノロジーを効果的に利用するには
最新の宇宙論を理解しなければならないだろう。

太陽系に存続する惑星地球は、つねにエネルギーを受容する器である。