テンセグリティ ワークショップ」カテゴリーアーカイブ

skyという閉じた空間

バックミンスター・フラーがskyという言葉を使用する場合、
その意味は3通りあるだろう。
skyとは、

1.
Sky-Oceanは Airoceanであり
浮遊する都市(Floating City)は、
衛星都市(Sky Dwellingであり、 Habitable Satellite) である。
つまりskyは大気圏を意味する場合。

2.
コンラート・ローレンツの発見した<アクアリウム>のように
skyはバイオスフィアそのものであり、地球システムが含まれている場合。

3.
上・下の概念を伴った<天国>を意味するskyを
牢獄的システムとして批判する場合。
1と2の閉じた空間と違って無限の空間を伴う3番目の概念は、
太陽は東から昇る(Sun Rise)と考えていた時代に考えられた。

そして、Your Private Skyを「きみだけの空」と翻訳してしまった人は
エデンドームやバイオスフィア計画の初期の概念(1927,1949)の歴史性を逃している。

間違った翻訳にも歴史性がある。
高度資本主義消費社会の末期的な「きみだけの空」は、
「 Think global, Act local」(2000年のローマクラブの標語)
とセットで広く誤解された概念である。
エコロジーに所有の概念を結合させることは軍事的以上だ。

Your Private Skyとは、ジオデシック・テンセグリティ構造で包囲された
個人のための小さな透明なバイオスフィアのことである。

シナジェティクスでは、こうしたプリミティブな
言語と形態、そして概念とモデルの相互関連を
包括的に探査する。

参考書籍
『バックミンスター・フラーの世界』J.ボールドウィン  美術出版社
『宇宙エコロジー』バックミンスター・フラー+梶川泰司 美術出版社

テンセグリティの確率

どの家庭にも、棒とひもは備わっている
棒とひもを空中に放り投げて落ちてきたとき
たまたま、それらが互いにから絡まって、
テンセグリティになって落ちてくる確率を信じてみよう。

猿から人間は進化したと考える場合の確率と同じだとしても、
重要なことは、この確率が成立するには
観察者はテンセグリティが棒とひもから構成されているという
ことを予め知っている必要がある。

テンセグリティ・モデルの作り方

テンセグリティ・モデルの設計方とその制作には、
その人のテンセグリティの概念の理解の深さと
エンジニアリング(engineering)のほとんどすべてが表れると考えてよい。
構成要素の単純さとその相補性から生じるために
人為性から定義するデザインの限界が、すべて見えてしまうからだ。

エンジニアリングとは内部に生じさせる巧みな処理力である。
内部から生じるこのベクトルを無視したり、
テンセグリティ概念をその起源からの理解を軽視すると、
骨と筋肉と言った生物的アナロジーや
非連続の連続と言った量子物理的アナロジーで満足することになる。
さらに反家父長的社会構造といった社会学にまで拡張すると、
すべて純粋な存在が具体性に置き換えられていく過程で生じる重大な誤謬について
無視できなくなるだろう。
なぜなら、発見者と発明者( 1927年のバックミンスター・フラー以上には遡れない)は、
そのようなアナロジーとはたいてい無関係に発見または発明をしているという事実である。

ではいったい何に触発されてそれが可能であったのか。
私には、人間のデザインを越えたテクノロジーを受け入れているか否かで
エンジニアリングのベクトルの向きが決定されているとしか思えない。
内部へか外部へかである。
内部が enginneringならば、
外部は exgineeringが対応するが、辞書には存在しない言葉である。

テンセグリティ・モデルほど作る人のエンジニアリングの度合いを表すものはない。
そして多くのデザイナーがテンセグリティモデルに挑戦するが、
主にexgineeringの度合いを高めたデザイナーは、
伸度の高いテンション材を選ぶだろう。形態だけは急いで複製できるからだ。

テンセグリティ・モデルは高度な単純さと高潔さを具現する。
『コズモグラフィー』を代表する原理モデルだ。
けっして高級なコーヒーテーブルに甘んじることはないだろう。
テンセグリティは人類の2億戸の住居のために生まれたのだから。

テンセグリティ

フラーレンはダイヤモンドの表面を傷つけるほどの強度を持っている。
しかし、それはけっしてダイヤモンドよりは堅いことを意味しない。
圧縮と張力に注目しなければ、この分子的世界像を記述できないにちがいない。
圧縮と張力という相補的な概念を理解するには、もはやシナジェティクス・モデル以外には存在しない。

テンセグリティモデルは、多頂点体(polyvertexia)の一般化である。  Y.K

テンセグリティ構造とアンチ・リダンダンシー

リダンダンシー(Redundancy 冗長性)は、語源的に波立ち、あふれでて、流れ帰る状態を意味する。
遊びや余裕、余地を意味し、遂に人間が建造物や機械類・システムの設計において、
緊急事態に備えて付加するモノを意味するようになった。
地震などの緊急事態以外では、過剰なモノでもあるが、
システムの構成要素の一部が故障してもシステムとしての機能がまっとうできるように
余分な構成要素を完全に省略できるデザインはないという前提を支持してきたのは、
われわれの生命の安全を保障するためである。

ところがこの概念では、テンセグリティ構造を説明できない。
過剰なモノはすべて排除した構造でありながら、テンセグリティ構造は、
振動数というきわめて純粋な原理に基づいてデザインされた
真のニューマティック構造である。

これまでのテンセグリティ構造の発見によって、設計者が定義するリダンダンシーは、
計画的陳腐化を擁護する疑似科学理論となった。
ビジネスでは、余計なコストの集積を合法化するための巣窟となった。
なぜなら、航空機産業以外で定義されるリダンダンシーは、
専門家を利用した生命の安全を保障する記号的な疑似テクノロジーで、
隠れた余剰生産を専門家集団に提供できるからである。

リダンダンシーを否定する構造システムと対立しているのは、
もはや古い構造理論ではなく、われわれの暗黒時代から継承されている
輪郭が不明瞭な社会システムそのものである。

テンセグリティ構造は、<でたらめさ>と<冗長度(リダンダンシー)>をあらかじめ未然に回避できる唯一の理論である RBF『コズモグラフィー』(2007年6月近刊)

自然は、 do more with lessによってアンチ・リダンダンシーを選択している。
それこそが、自然に内在する先験的デザインなのである。
自然の冗長美は、われわれの無知から、波立ちあふれでて流れ帰る状態に見えているだけである。  Y.K

テンセグリティのヤング率は誰が決めるのか

力が働いても、形が変わらないように見える物体は剛体と言われている。
それに対して、力が働くと形が変化するように見える物体は弾性体と言われている。

物理学が、すべての固体が弾性体であると定義した瞬間に
すべての物体において理想的な固体は存在しなくなる。
弾性体には必然的に相対的な硬さの値を表すヤング率が存在する。
合金でさえ原子間の凝集力が弾性的性質を決めている。

テンセグリティモデルの弾性的性質を自由に決めて良い場合、
張力体をゴム材で構成することは、
自動車のタイヤをタイヤよりもヤング率の大きい金属や木でデザインするようなものだ。

つまりエンジニアリングの決定的な欠如があるのである。

自然が構造の作りやすさのために、原子間の凝集力を犠牲にすることはあり得ない。

フラーレンもナノチューブのヤング率も、
テンセグリティ構造以外では再現できないだろう。  Y.K

—ヤング率の比較—
ナノチューブ 1200
炭素繊維  345
鋼鉄 208
木 16
エポキシ 3.5
ゴム (1.5-5.0)×10-3
ポリエチレン 7.6×10-1             単位[GPa]

テンセグリティ球(30struts-Tensegrity)

テンセグリティ原理はモデリングによって学ぶことができる。
しかし、複数の経験によって理解できるのはずっと後だ。

私は、30sstruts-Tensegrityモデルを1時間以内に
誰もが簡単な説明で制作できるようにするという
私の最優先課題の解決までの20年間に、
300個程度の大小様々なテンセグリティモデルを制作した。
その内最大の直径は11mであった。

精密な張力材によるテンセグリティ球モデルの制作に従事した経験のある人なら、
この方法が革命的な方法であることに同意するだろう。
同時に、テンセグリティのことはまだよく分かっていないということに
異論はないだろう。  Y.K

無重力

テンセグリティを見て驚かないこどもが確かにいる。
その理論をテンション材がゴムひもからできた劣悪なエンジニアリングによるモデルで、
宇宙での応用デザインによる産業的可能性を論じる科学者もいる。

重力は断面積がゼロの究極の見えないテンション材だ。
見えない重力に驚かない科学者が確かにいる。
地球上の固体的世界観で無重力に憧れている生活をしているからだ。

彼らは圧縮材が浮かんでいるテンセグリティがどこか無重力的だと思っている。
理解と感性がしばしば分断された知識のままだ。
テンセグリティは引力と斥力の調和を最初に視覚化したモデルだ。
現在、電磁力にのみ、引力と斥力の両方が存在している。
重力には、引力だけが確認されており、斥力としての重力は確認されていない。
このモデルが、 1952年プリンストン大学で
統一場理論の探求に明け暮れていた物理学者アインシュタインを驚嘆させたのは言うまでもない。
しかし、この物理学の事件を、物理学者は知らない。

誰がテンセグリティ構造システムを発見したか

テンセグリティに関するサイト上で提供される情報に、
テンセグリティ概念とそのモデル化の歴史的事実認識に重要な誤りがあり、
それがこの数年間で常識化し拡大しつつある事態を
これ以上放置すべきではないと感じている。
1981年から2年間にわたってバックミンスター・フラー研究所の
膨大なクロノファイルを閲覧しているときに、私はテンセグリティのオリジナリティ論争に
直接触れた数回に及ぶ往復書簡を見つけた。
また、その関連するすべての書簡のコピーを入手した。

その書簡で、フラーとスネルソンが相互に合意した内容の一部を要約すれば、

1.
1917年、最初のテンセグリティをつくる10年前に、シナジェティクスを創始している。

2.
バックミンスター・フラーは1927年からは、ワイヤー・ホイール状のリムを平行
または同心円状に複合的に配置した段階にあったテンセグリティを、
マストから床を吊ったタワー型多階層構造物〈4D〉とダイマクシオン・ハウスに利用していた。

3.
フラーはケネス・スネルソンに出会う前の21年間、
発見したテンセグリティの概念化を求めて試行錯誤を繰り返していた。

しかし、現在のスネルソンはここまでの合意事でさえ、
合意していないような発言をしている。
「テンセグリティはスネルソンが最初に発見した」という彼自身の主張である。

手紙での合意事項から見れば、この主張の根拠は<死人に口なし>的に捏造されている可能性は大きいと言わざるを得ない。
クロノファイルはこうした事態を想定して継続されたものではないが、時系列的な事実確認こそが、
この種の混乱を解消する効果的で民主主義的な方法である。

テンセグリティのシミュレーションモデルの間違い

http://www.childrenshospital.org/research/Site2029/mainpageS2029P23sublevel2

このシミュレーションはDr.イングバーの細胞テンセグリティの原型モデルをシミュレーションした場合である。
これは、ゴムひもをテンション材にしたテンセグリティモデルにほとんど近似しているように見える。
本質的なテンセグリティモデルの機能を再現しているとはいえない。
そもそもシミュレーションは、現実に行う事が危険を伴う困難か、またはコスト的に不可能ある場合、あるいは種々の選択条件を量産前に検証する場合などで用いられるのであるが、このシミュレーションは特定要素をデフォルメさせているだけである。

テンセグリティモデルは、
テンセグリティが概念的に把握できていない以上、
テンセグリティのシミュレーションモデルをプログラムできるはずもない。 (実際彼らは、ゴムひものテンション材の市販のキットから理論を形成しているので、落下させても、ボールのようにバウンドすることはないだろう。テンセグ リティがテンセグリティを内包する場合のモデルの場合も実際のモデルを制作して比較すれば一目瞭然である。)

言い換えれば、構造としてのテンセグリティのこの種のシミュレーションモデルは、モデル化が不完全なので、現実のテンセグリティモデルを再現できていないのである。
テンセグリティがわれわれの想像力で類推できるほど、シナジーのシナジー乗が超越的であるのではなく、テンセグリティモデルを観察する側の、形態と概念モデルの差異が明確に再現されるのである。

本質的なテンセグリティモデルの劇的な外力の分散機能は簡潔に再現される。密閉された空気をもったテニスボールやサッカーボールのように、落下後に高くバウンドするといった単純で高度な相互作用に変換される。